更新日: 2023.11.06 子育て

「取るだけ育休」にならないためにはどうしたらいい? 夫婦で育児について話し合おう!

執筆者 : 伊藤秀雄

「取るだけ育休」にならないためにはどうしたらいい? 夫婦で育児について話し合おう!
男性の育休取得を促す制度がいろいろ出ています。しかし、夫が育休を取ったものの、家事・育児をせずに“休暇”のように過ごしてしまう「取るだけ育休」になってしまうケースがあります。
 
そうならないよう、事前に夫婦で育児について話し合うことが重要です。男性の育休制度の概要説明と併せて、夫婦の育休取得についてFPがアドバイスします。
伊藤秀雄

執筆者:伊藤秀雄(いとう ひでお)

FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

大手電機メーカーで人事労務の仕事に長く従事。社員のキャリアの節目やライフイベントに数多く立ち会うなかで、お金の問題に向き合わなくては解決につながらないと痛感。FP資格取得後はそれらの経験を仕事に活かすとともに、日本FP協会の無料相談室相談員、セミナー講師、執筆活動等を続けている。

男性の育休取得促進策

男性の育休取得を促す施策のひとつに「パパ・ママ育休制度プラス」があります。父母ともに育児休業を取得する場合、休業できる子の年齢を2ヶ月延ばし、1歳2ヶ月に達するまでに1年以内の休業が可能というものです(※1)。
 
2010年度に同制度が導入されてからも男性の育休取得率は1桁台を推移していましたが、ここ数年ようやく10%台に乗ると同時に、相次ぎ新しい制度が導入されています。
 


 

 
2025年度に30%という政府目標にはまだ開きがありますが、一方で厚生労働省の「イクメンプロジェクト」による今年6月の調査では、男性の育休取得率は46.2%に上りました(※3)。
 
調査方法が異なるので単純比較はできませんが、昨年度からの制度改正に加え、育児休業の取得意向確認や取得率公表を義務化したことが、企業の背中を後押しし、育休取得が加速していることは十分に考えられます。
 
ただ反面、取得が目的化してしまうのは避けたいところです。「とりあえず取得しないといけないから……」となると、まさに「取るだけ育休」の大量発生につながります。
 

妻のストレスが増えるだけ?

厚生労働省の令和3年の調査(※4)によると、男性の育休取得日数は5日未満が25%、5日以上2週間未満が26.5%と、2週間未満が半数を超えています。次に多いのが1ヶ月以上3ヶ月未満の24.5%と、傾向が分かれました。
 
ただ、就労志向の女性に行われたアンケート調査(※5)では、最適な取得期間は3ヶ月以上との回答が32.3%と最も多く、男性の取得実態は大きく後れを取っています。
 
同じ調査では、男性の育休取得のメリットは「家事育児の経験が夫の視野を広げる」が最多で69.3%、次が「妻のストレスが軽減される」の64.8%であったのに対し、デメリットと思うトップは「夫が家事育児をせずかえって妻のストレスがたまる」で、48.1%という結果でした。
 
妻にとって大きなメリットになるはずが、育休中の夫の行動しだいで最大のデメリットに変わってしまうことが、女性目線で指摘されています。
 

育休取得から得られること

せっかく育休を取るのですから、家庭にプラス効果をもたらすものにしたいですね。男性の育休取得は、仕事のやり方や職場の変化も期待できますが、最も重要な家族が得られるメリットには、次のようなことが考えられるでしょう。
 


 
夫が育休中にどう時間を使うのか、夫婦の役割分担をどうするのか、などは上記のメリットや夫婦としての成長も期待しながら、2人でしっかり話し合って決めていきたいものです。
 
その際、大切なのは「妻がしてほしいことは何か」を優先することでしょう。育休に前向きな夫の中には、張り切って自分が「育児をマネジメントする」つもりで臨むケースもありますが、ここは会社ではありません。
 
もちろん、育児の知識は必要ですが、妻が自分に何をしてほしいのか、それを素直に受け止め行動する姿勢が最も大切といえます。
 
3ヶ月以上の育休取得はハードルが高そうですが、分割取得もできますし、必要な際には数日単位の年次休暇でやりくりすることが可能ではないでしょうか。「育休期間以外はワンオペ」という極端に陥らないよう、育休後の関わり方にも意識を合わせておくことが必要です。
 
最後に、「産後パパ育休」では、育休中の就業を認めています(※1)。
 
休業中の所定労働日の半分・所定労働時間の半分の範囲で就業することが可能ですので、家庭の状況や家計を見ながら、検討しても良いかと思います。当然、本人が合意した場合に限られますが、生後8週間の大事な期間です。
 
育児と仕事の「両立」を図るはずが、仕事を免罪符に夫婦の約束事が吹き飛ばないよう、お互いに納得のいく選択をしていただきたいと思います。
 

出典

(※1)厚生労働省 育児・介護休業法 令和3年(2021年)改正内容の解説
(※2)厚生労働省 令和4年度雇用均等基本調査
(※3)厚生労働省イクメンプロジェクト 令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査(速報値)
(※4)厚生労働省 令和3年度雇用均等基本調査
(※5)PR TIMES 〜しゅふJOB総研調査〜 男性の育児休業取得について、女性はどう思っているか?「取得すべき」87.5%、最適な取得期間「3か月以上」32.3%、男性育休のデメリット「妻のストレスが溜まる」48.1%
 
執筆者:伊藤秀雄
FP事務所ライフブリュー代表
CFP®️認定者、FP技能士1級、証券外務員一種、住宅ローンアドバイザー、終活アドバイザー協会会員

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