更新日: 2023.11.10 子育て
児童手当が増えて、大学も無償化! それでも子育てにお金はかかる?「扶養控除の縮小」「所得制限」のせいで恩恵を受けられるのは一部の家庭のみ? 注意点を解説
ただ、表の良い面だけを見て安心するのは少し早いかもしれません。その裏にある不安な部分を知ると考え方が変わるのではないでしょうか。本記事で解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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児童手当が増える!? 大学無償化とは
児童手当は中学校卒業までの子どもを持つ家庭に対して、3歳未満は月1万5000円、3歳から中学校卒業までは1万円が支給されています。ただし、収入が一定額以上の世帯に対しては、一律5000円の支給、または支給停止となる所得制限があります。
これが2024年12月支給分より、支給期間を高校卒業まで延長、所得制限は撤廃、第3子以降に対しては月3万円に改正される予定です。
大学無償化は高等教育にかかる費用を文部科学省が支援する制度で、正式名称を「高等教育の修学支援新制度」といい、2020年4月から始まっています。対象となる学校は、大学、短期大学、高等専門学校(4年・5年)、専門学校となっており、授業料・入学金の免除・減額や給付型奨学金を受けられます。
児童手当が増えて大学無償化だからお金はかからない?
児童手当が増えて、大学にもお金がかからないのであれば、子どもの教育資金を準備しておく必要はないのでしょうか。結論からいうと、世帯によってはこれまでと変わらない準備が必要です。
児童手当の拡充は子育て世帯にとってうれしい改正ではありますが、子ども2人世帯においては支給期間が3年伸びただけで、受け取れる金額が36万円増えたにすぎず、子どもの教育資金準備から解放される金額ではありません。
また、第3子以降には3万円となりますが、この金額が18年間ずっと支給されるわけではない場合がほとんどである点に注意しましょう。第3子のカウント方法は「児童手当を受け取っている3番目の子」ということになります。つまり、第1子が高校を卒業すると、第3子は第2子扱いとなるのです。
大学無償化は世帯収入によって支援額が決まる仕組みとなっており、限られた世帯の話になります。
例えば、4人家族で働いているのが親1人であれば年収380万円まででなければ適用を受けられません。適用がないのであれば高等教育にかかる費用は全額自己負担となります。大学は無償だと思って子どもの貯金をしていなくて、いざ、ふたを開けてみたら適用対象外だったとなると、子どもは進路変更せざるを得なくなるかもしれません。
扶養控除縮小の可能性
政府は児童手当拡充の代わりに、高校生の扶養控除縮小を検討しています。以前は「廃止」が噂されていましたが、どうやら今は「縮小」で検討されているようです。
もし扶養控除が縮小されれば、親の所得税と住民税が増えます。高校生1人当たりの扶養控除額は38万円なので、これがもし半額に縮小されたとしましょう。すると、所得税率が10%の人だと住民税(一律10%)と合わせて年間3万8000円の税負担増となります。
児童手当が年間12万円増えても税金で3万8000円出て行くことになり、実質的な純増は8万2000円ということです。
まとめ
児童手当が拡充されても、子ども用の貯金が不要となるほどの金額が支給されるわけではありません。
大学無償化は対象となるには要件があり、国税庁が公表している給与所得者の平均給与458万円の世帯であれば適用を受けられない可能性が高いでしょう。
高校生の扶養控除が廃止される可能性もあり、子どもの教育資金準備から解放されるほどの政策ではないことを理解しておきましょう。
出典
内閣府 児童手当制度のご案内
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー