更新日: 2023.11.30 その他暮らし
10月から「NHKの受信料」の免除対象者が拡大! 免除になるのはどんな人? 年収などの要件はあるの?
本記事では、NHKの受信料免除制度全体について詳細に解説し、今回の免除拡大によって追加された新しい免除対象者である学生に焦点を当てて解説します。
執筆者:鳥居佳織(とりい かおり)
FP2級
NHK受信料の免除対象者の条件とは
NHKの受信料は、一定の条件を満たしていれば全額免除または半額免除が受けられます。これらの免除制度は、対象者の経済的負担を軽減することを目的としています。どのような人が対象者なのか見てみましょう。
全額免除と半額免除
全額免除と半額免除の対象者は、図表1のとおりです。
【図表1】
内閣府 放送受信料と障害者免除制度の概要と課題
ほかにも災害による受信料免除についても、随時実施されています。2023年に発生した台風6号、7号、13号により、多大な被害を受けた地域では、NHKが災害救助法の適用区域内の放送受信契約に対し、2ヶ月間の受信料免除を実施しました。この措置は、半壊、半焼、または床上浸水以上の程度の被害を受けた建物に限定されています。
2023年10月からNHKの免除対象者が拡大
NHKの受信料全額免除制度は、2023年10月から学生に対する免除範囲を拡大しました。この制度は、多くの学生が学業に関連した支出を抱え、限られた所得で生活している現実を考慮して設けられたものです。
2019年2月からは、親元から離れて暮らす奨学金受給学生に対して全額免除が適用されてきました。2023年10月の拡大では、社会保険制度で被扶養者となっている学生や、同等の収入水準にある学生も全額免除の対象となりました。この変更は、経済的に困難な状況にある学生への支援を強化するためのものです。
【図表2】
NHK広報局 放送受信料免除基準の一部変更(学生への免除拡大)について
図表2のように学生の全額免除の対象が広がりました。このうち、「国民年金保険料の学生納付特例対象の学生」と「国民健康保険の修学特例対象の学生」とはどのような学生をいうのかと疑問に思う人も多いでしょう。
次項で詳しく解説します。
国民年金保険料の学生納付特例対象の学生とは
「国民年金保険料の学生納付特例」とは、学生が、本人の申請により国民年金保険料の納付が猶予される制度です。この制度を利用することで、将来の年金受給権の確保や障害を負ったときの障害基礎年金の受給資格を確保できます。
対象となるのは、大学や高等学校、高等専門学校、各種学校などに在学する学生等で、学生納付特例を受けようとする年度の前年の所得が基準以下の人です。前年所得の基準目安は以下の計算で求めます。
128万円+(扶養親族の数)×38万円+社会保険料控除等
なお、所得の基準目安は申請者本人のみの所得であり、家族の所得は問われません。
国民健康保険の修学特例対象の学生とは
国民健康保険は通常、居住する市町村で加入する必要があります。しかし、「国民健康保険の修学特例」という制度では、学生が他の市町村の学校に通う場合、転出前の市町村の国民健康保険に継続して加入することが可能です。
この特例を利用する学生には、「国民健康保険遠隔地被保険者証(マル学)」が発行されます。この制度により、国民健康保険料は学生の親に請求され、学生は経済的に自立していないと考えられます。
このように経済的に困難な状況にある学生を支援する目的で、国民年金保険料の学生納付特例や国民健康保険の修学特例を利用する学生が、NHK受信料の全額免除対象に新たに加えられました。これにより、該当する学生は受信料の支払い負担から解放されました。
まとめ
NHKの受信料免除制度は、これまで非課税世帯や障害者世帯を主な対象としていましたが、10月から学生に対する免除枠が拡大されました。この変更により、経済的に困難な状況にある学生も受信料の免除を受けることが可能になり、物価の高騰や税負担の増加が進む現在、学生にとっては大きな支援となります。
ただし、免除を受けるには申請が必要です。免除制度の対象となる学生でまだ申請を行っていない場合は、適切な手続きを進めることをおすすめします。
出典
内閣府 放送受信料と障害者免除制度の概要と課題
NHK 受信料の窓口 受信料免除の対象となる方について
NHK広報局 放送受信料免除基準の一部変更(学生への免除拡大)について
NHK よくある質問集 新たに免除の対象となる「国民健康保険の修学特例」とは何か
執筆者:鳥居佳織
FP2級