更新日: 2023.12.17 子育て
奨学金や教育ローンを借りて進学するって大変そうです。大卒のほうが本当にトクなのでしょうか?
奨学金や教育ローンを借りてでも大学に進学したほうがトクであるかについて、大学にかかる費用だけでなく、生涯賃金や退職金と比較しました。大学に行くべきか迷う人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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大学生の学費や1人暮らし費用
大学生となって1人暮らしを始める場合、入学金・授業料・1人暮らし費用が必要になります。
大学生生活を4年間送るとした場合の費用相場について、日本政策金融公庫による令和3年度「教育費負担の実態調査結果」をもとに、本項で解説します。国公立大学か私立の文系や理系によって差はあるものの、目安にすることで必要な費用が分かります。
学費
大学の入学金と、在学費用の平均は以下のとおりです。
・入学金……81万1000円
・在学費用……149万9000円/年
在学費用は、4年で599万6000円になります。入学金と合わせると、大学在学中に必要な教育費は、680万7000円です。
1人暮らし費用
1人暮らしを始める際の初期費用(敷金や家具購入費など)には38万7000円かかります。そして仕送りの平均は年間95万8000円です。仕送りを4年続けた場合は、383万2000円となり、初期費用と合わせると421万9000円の生活費が必要です。
大学在学4年間にかかる費用
大学に入学し、一1暮らしをする場合に必要な費用をまとめたのが、以下の金額です。
入学金81万円+学費599万6000円+1人暮らし421万9000円=1102万5000円
4年間で1102万5000円かかるため、大学に通うための経済的負担は大きいと言えるでしょう。
大卒と高卒が受け取る賃金比較
大学に通うことは、大きな経済的負担を伴います。奨学金や教育ローンを借りてまで進学すべきでしょうか。本項では、労働政策研究・研修機構による「ユースフル労働統計2022」の調査をもとに、生涯賃金や退職金について大卒と高卒で比較します。
大卒と高卒で収入差はあるものの、全員に調査どおりの差が生まれるわけではありません。あくまでも参考程度として、大卒のほうがトクであるか判断するとよいでしょう。
生涯賃金
大卒と高卒それぞれの生涯賃金を見ていきましょう。なお、以下の金額となる条件は、男性・60歳までフルタイム・正社員・退職金は含まないという条件で、大卒高卒とも共通です。
・高卒……2億500万円
・大卒……2億6190万円
高卒と大卒では、生涯賃金に5690万円の差が生まれます。なお、男性、60歳までフルタイム正社員、61歳以降引退まで非正規フルタイム、退職金を含めた場合の生涯賃金は以下のとおりです。
・高卒男……2億5410万円
・大卒……3億2780万円
定年後の収入や退職金を含めると差は7370万円となり、さらに賃金差が広がります。
退職金
退職金のみで、大卒と高卒の男性における賃金差を見ていきましょう。
・高卒……1400万円
・大卒……1890万円
退職金だけでも、490万円の差があると分かりました。
男女を合わせた退職金の学歴差は、大卒(管理・事務・技術)を100とした場合、高卒(管理・事務・技術)は89.9、高卒(現業職)は75です。
退職金の額は学歴のみならず、社会人になってからの職業によっても差が生まれる傾向です。
大卒のほうが生涯賃金ではトクである可能性が高い
学歴による収入の差はあります。その差は定年後の収入や退職金までを含めると、男性の場合7370万円です。そのため、大学4年間の学費や1人暮らし費用をかけた際にかかる1102万5000円を奨学金や教育ローンを借りてでも、大学進学したほうがトクであるといえます。
しかし大学に進んだからといって、かならずしも高卒の人よりも収入が多くなるわけではありません。それでも奨学金や教育ローンを借りたほうがよいのか、慎重に検討しましょう。
出典
日本政策公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2022
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー