公立大学へは、「県外」から自宅通学するよりも「県内」へ下宿したほうが安く済む?
配信日: 2023.12.27
そこで本記事では、公立大学の学費の仕組みを紹介するとともに、公立大学生の一人暮らしの平均額を紹介します。参考にして、実際にかかる費用をシミュレーションしてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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公立大学とは
公立大学と国立大学の最も大きな違いは、学校の設置・管理をする母体にあります。国立大学は、国からの交付金などを財源として、国の管轄下で国立大学法人が運営する高等教育機関です。一方の公立大学は、都道府県や市町村が設置・管理を行う高等教育機関で、地域社会での知的・文化的な拠点としての役割も担っています。
公立大学は年々その数を増やしており、令和5年度時点では、国立大学の86校を上回る100校が設置されています。
公立大学の学費の仕組みと金額
公立大学と国立大学には、学生が大学に納める学費の仕組みにも違いがあります。ここでは、公立大学の学費がどのように決められているのかについてと、実際にかかる費用の目安を見てみましょう。
ポイントは、次の2点です。
●基本は国立大学と同水準である
●地域内・外の通学者で学費に差をつけている大学が多い
以下でそれぞれ詳しく解説します。
基本は国立大学と同水準
公立大学の入学検定料や入学料、授業料は、国立大学の水準とほとんど同じ水準である場合が一般的です。国公立大学の入学検定料、入学料、授業料は、国立大学等の授業料その他の費用に関する省令に定められた、次の標準額に準じて決められています(いずれも昼間部の場合)。
●検定料:1万7000円
●入学料:28万2000円
●授業料(年額):53万5800円
公立大学の多くは、国立大学の学費の標準額と同じか、大きく超えない範囲で学費を設定しています。ただし、学校や学部によっては、国公立大学よりも高めの金額設定になっていることがあるため、志望校を決める前に確認しましょう。
地域内・外の通学者で差をつけている大学が多い
公立大学の学費の特徴的な点として、地域内の学生と地域外の学生で、入学料に差をつけている学校が多いことが挙げられます。
よく見られるのは、地域内の学生の入学料を、国立大学の入学料水準の半分程度に設定しているパターンや、地域外の学生の入学料を、国立大学の入学料水準の2倍程度としているパターンです。また、独自の金額を設定している学校も多くあります。
表1に、地域内外で公立大学の入学料に、どのような差が設けられているのかを示す例をまとめました。
【表1】
大学名 | 地域内の入学料 | 地域外の入学料 |
---|---|---|
宮城大学 | 28万2000円 | 56万4000円 |
札幌市立大学 | 14万1000円 | 28万2000円 |
旭川市立大学 | 21万円 | 30万円 |
京都府立大学 | 16万9200円 | 28万2000円 |
九州歯科大学 | 28万2000円 | 52万円 |
名桜大学 | 12万5000円 | 25万円 |
※文部科学省「2023年度 学生納付金調査結果(大学昼間部)」をもとに筆者作成
公立大学生の下宿暮らしの費用はどれくらいかかる?
地域外から公立大学を受験する場合、合格後は地域内で一人暮らしをする選択をしたほうが、初年度の費用をおさえられる可能性があります。地域外からの入学金の金額と、一人暮らしにかかる費用を比較して、トータルコストを検討してみるとよいでしょう。
独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査」によると、公立大学生の生活費の平均額は、自宅生が約35万円、学寮に入った場合で年間約74万円、下宿やアパートなどで暮らす場合は約111万円です。内訳は、それぞれ表2のようになっています。
【表2】
費目 | 自宅 | 学寮 | 下宿、アパート、その他 |
---|---|---|---|
食費 | 7万2600円 | 19万900円 | 26万5600円 |
住居・光熱費 | ― | 27万7400円 | 49万3000円 |
保健衛生費 | 4万1300円 | 3万300円 | 4万3900円 |
娯楽・し好費 | 11万1300円 | 9万9500円 | 13万7400円 |
その他の日常費 | 12万5000円 | 14万6600円 | 17万3400円 |
合計 | 35万200円 | 74万4700円 | 111万3300円 |
※独立行政法人日本学生支援機構「令和2年度 学生生活調査結果」をもとに筆者作成
地域外から公立大学を受験する場合、合格後は地域内で一人暮らしをする選択をしたほうが、初年度の費用をおさえられる可能性があります。地域外からの入学金の金額と通学のための交通費を、一人暮らしにかかる費用と比較して、トータルコストを検討するとよいでしょう。
実際の寮費や大学周辺の家賃相場、自宅から通う場合の交通費なども含めて、かかる費用を試算してみましょう。
交通費や所要時間そのほかのコストも含めて検討しよう
公立大学の多くは、地域内外の学生の入学金に差を設けています。差額が約28万円にもなる大学もあるため、受験前に確認しておきましょう。
入学金の差額や交通費、通学の労力などを考えると、寮などに入って地域内から通学したほうがよいケースも考えられます。いろいろなパターンをシミュレーションしてみて、費用面だけではなく、トータルの負担を比較してみることをおすすめします。
出典
文部科学省 公立大学について
文部科学省 2023年度学生納付金調査結果(大学昼間部)
デジタル庁 e-Gov法令検索 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
独立行政法人 日本学生支援機構 令和2年度学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専修学校生生活調査 1-1表 居住形態別・収入平均額及び学生生活費の内訳(大学昼間部)(49ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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