更新日: 2023.12.28 子育て

就職を考えたら、これからは「文系」ではなく技術系の大学ですか?その分費用は高くなるのでしょうか…?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

就職を考えたら、これからは「文系」ではなく技術系の大学ですか?その分費用は高くなるのでしょうか…?
進学する大学を選ぶときの基準として、何が学びたいかだけではなく、就職で有利になる知識やスキルを身につけられるかどうかを基準にする人は多いでしょう。「理系のほうが就職に直結しやすい」「技術分野は人材が不足傾向にある」というイメージから、技術系大学を志す人もいるのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、技術系大学は本当に就職に有利なのかを解説するとともに、大学の学費が文系と比較して高いかどうかもまとめました。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

技術系大学が就職では有利

厚生労働省が発表した「令和4年度大学等卒業者の就職状況調査」の結果によると、大学の文系・理系別の就職率は、理系:98.1パーセントに対して、文系:97.1%です。その差は1ポイントしかなく、理系と文系で就職の有利さには、それほど違いはないように見えます。
 
しかし大学通信が、医科・歯科の単科大学などを除いた4年制大学を対象に実施した、2023年の実就職率(※)の調査では、トップの愛知工業大学をはじめ、工業系や医療福祉系など、技術系の大学や、技術系の学部をもつ大学が上位に名を連ねています。
※就職者数÷(卒業生〔修了者〕数-大学院進学者数)×100で算出した割合。

 
表1に、2023年の実就職ランキング上位(卒業生1000人以上の大学)をまとめました。この結果からは、技術系の大学・学部は、文系の大学と比べて、就職に強い傾向があることが見て取れます。
 
【表1】

順位 2023年
1 愛知工業大
2 福井大
3 大阪工業大
4 金沢工業大
5 名古屋工業大
6 国際医療福祉大
7 芝浦工業大
8 名城大
9 東京家政大
10 三重大

大学通信「2023年実就職率ランキング」をもとに筆者作成
 

技術系の大学・学部卒業者はどんな職につくことが多い? 需要は?

技術系の大学・学部の卒業者は、エンジニアや建築士、プログラマー、研究員など、専攻分野の技術職に就職するケースが多く見られます。
 

《技術職の例》

・研究
・エンジニア
・品質管理、生産管理
・開発設計
・生産技術
・設備保全
・自動車整備士、航空整備士
・建築士
・プログラマー、システムエンジニア
・土木・測量技術者

 
需要の拡大にともない、人材の不足が指摘されているIT分野や、若手離れが問題になっている製造業など、人手不足にあえぐ分野は多く、技術系の大学・学部の卒業者の就職需要は、今後も続くことが予想されます。

 

技術系の学部で学ぶには文系の大学と比べて費用がかかる

国公立大学に進学した場合は、文系・理系を問わず、法令に定められた標準額(入学金28万2000円、年間授業料53万5800円)に準じた学費が設定されており、かかる費用に大きな差はありません。
 
私立大学に進学した場合は、大学ごとで学費が異なります。理系の学部のほうが、平均的に授業料の設定が高く、また、施設設備費や実験実習費などの負担が大きくなりやすいため、文系と比べて費用が高い傾向にあることには注意が必要です。
 
表2に、私立大学の初年度納付金の平均額を文系・理系でまとめました。
 
【表2】

理系 文系
授業料 113万6074円 81万5069円
入学料 25万1029円 22万5651円
施設設備費 17万9159円 14万8272円
実験実習費 6万1004円 8319円
その他 6万2758円 7万5126円
合計 169万24円 127万2437円

文部科学省「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」をもとに筆者作成
 
文系の学部の授業料は平均約82万円であるのに対して、理系の学部は平均約114万円となっています。また、文系の学部の実験・実習費は1万円未満ですが、理系の学部では年間平均6万あまりが必要です。主な費用を合わせると、年間の負担額に40万円以上も差がある計算となります

 

技術系大学の費用は将来を見据えた投資になる!

私立の技術系大学や学部に進学すると、文系の大学と比べて、在学費用が多くかかる傾向があります。そのため、技術系の進路を志す場合は、教育費の負担が大きくなることを想定して、準備をしておくと安心です。
 
就職面では、技術系を専攻することで、文系の大学と比べて有利に働く可能性が高いというメリットがあります。技術系大学の費用を将来への投資と考えれば、決して損ではないといえるでしょう。

 

出典

厚生労働省 令和5年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します 令和4年度大学等卒業者の就職状況調査(令和5年4月1日現在) 2.調査結果の主な概要 【文系・理系別の概要】
デジタル庁 e-Gov法令検索 国立大学等の授業料その他の費用に関する省令
文部科学省 令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について 令和3年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)
株式会社大学通信 大学通信オンライン 2023年実就職率ランキング
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

ライターさん募集