更新日: 2024.01.05 子育て

大学無償化の「所得制限」が撤廃に? でも子どもが「2人以下」の人には関係ないって本当? 注意点についても解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

大学無償化の「所得制限」が撤廃に? でも子どもが「2人以下」の人には関係ないって本当? 注意点についても解説
政府の「異次元の少子化対策」の1つとして、大学無償化制度の所得制限が撤廃されることが決定しました。2025年度から所得制限の撤廃が始まります。しかし、すべての世帯が対象とはならないので注意が必要です。
 
そこで本記事では、現行の大学無償化制度について紹介するとともに、2025年度の変更点と大学費用の平均について解説していきます。
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現行の大学無償化制度

現行の大学無償化制度は「高等教育の修学支援新制度」の通称です。給付奨学金と授業料の減免制度の2つをそれぞれ受けられます。
 
給付奨学金は返済の必要がない奨学金で、「国公立の大学の場合は年間で約35万円(自宅通学)」、「私立の大学の場合は約46万円(自宅通学)」の給付が受けられるのが特徴です。自宅外通学の場合は国公立の大学だと約80万円、私立大学だと約91万円の給付になります。返済の必要がないので教育費の負担を大きく軽減できる点が大きなメリットです。
 
授業料の減免制度は入学金や授業料の支援を受けられる制度で、国公立大学だと入学金は約28万円、授業料は年間約54万円の支援を受けられます。私立大学の場合は入学金が約26万円、授業料が年間約70万円です。
 

これまでの大学無償化制度には所得制限が

教育費の負担を軽減できる大学無償化制度ですが、支援を受けるためには所得制限を満たす必要があります。この制度は住民税非課税世帯およびそれに準じる世帯を対象にした制度だったからです。
 
そのため4人家族で子が2人(18歳と中学生)、片親のみが働いているという家族構成だった場合、上限額の給付金が受けられる世帯年収の目安は270万円までとなっています。世帯年収が300万円の場合は上限額の3分の2、380万円の場合は上限額の3分の1の支給です。
 
このような所得制限により住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯にしか、大学無償化制度を利用できない点がデメリットとなっていました。
 

2025年度から所得制限が撤廃に! しかしここでも注意が必要

住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯にしか利用できなかった大学無償化制度でしたが、2025年度からは所得制限が撤廃になります。これによって今までよりも多くの世帯で大学無償化制度を利用できるようになるはずです。
 
しかし、2025年度の改定による所得制限撤廃についても注意点があります。それは、扶養する子どもが3人以上の多子世帯が対象であるということです。扶養する子どもが3人に満たない場合は所得制限が撤廃されず、これまでの無償化制度と同じで住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が対象になります。
 
つまり、扶養する子どもが1人や2人の場合は所得制限が撤廃されないので無償化制度を利用できないのです。また3人の子がいる家庭でも、例えば第1子が大学を卒業し扶養家族から抜けた場合は、第2子以降は対象外となります。
 
なお、2025年度の大幅な拡充に先駆け、2024年度には年収600万円以下の多子世帯および理工農系進学者も支援対象となります。支給額は前者が上限の4分の1、後者は文系学部平均授業料との差額(約30万円)となります。
 

大学費用の平均は149万9000円!

大学在学費用の平均は年間で149万9000円です。国公立大学は103万5000円、私立大学の文系は152万円、私立大学の理系は183万2000円となっています。大学無償化制度を利用できない場合はこのような大きな金額を準備しなければいけません。貯金を取り崩す、返済の必要がある貸与奨学金や国の教育ローンの利用も検討することになるでしょう。
 

これからも少子化対策について注視していきましょう

2025年度から大学無償化制度は大きく変わり、現行の制度よりも多くの世帯で利用できるようになります。しかし、「扶養している子どもが3人未満の世帯」では、住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯でなければ利用できないので、まだまだ効果的ではないのが現状です。
 
今後もさらに所得制限が緩められる可能性もあるので、これからも少子化対策について注視していきましょう。
 

出典

文部科学省 2020年4月から新しい給付奨学金・授業料等減免制度がスタート!
内閣官房 こども未来戦略方針の具体化に向けた検討について
日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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