世帯年収2000万円ですが、児童手当や高校無償化の「対象外」と思っていた方がいいでしょうか…?

配信日: 2024.01.12

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世帯年収2000万円ですが、児童手当や高校無償化の「対象外」と思っていた方がいいでしょうか…?
子育てに関する公的な手当てや補助金の多くは所得制限が設けられているため、所得の多い世帯では、当てにできずにがっかりすることも多いでしょう。年収2000万円世帯の場合は、児童手当や高校無償化制度の対象にはなれないのでしょうか。
 
本記事では、児童手当と高校無償化の所得制限の仕組みを整理するとともに、年収2000万円の家庭が対象になる可能性についてと、所得制限に関する今後の動きを解説します。
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児童手当の所得制限の仕組み

児童手当には「所得制限限度額」「所得上限限度額」という、2段階の所得制限があります。
 
所得制限限度額は、児童手当の支給を満額分受けられるかどうかのボーダーラインです。対象の児童を養育している人の所得が所得制限限度額以上になると、月額1万円または1万5000円の児童手当の代わりに、月額一律5000円の特例給付が支給されます。
 
所得が所得上限限度額以上になると、児童手当も特例給付も支給されません。
 
所得制限限度額、所得上限限度額は、対象児童を含めた扶養親族などの数で決まります。目安は表1のとおりです。
 
【表1】

    

扶養親族などの数 所得制限限度額 所得上限限度額
所得制限限度額 収入額の目安 所得上限限度額 収入額の目安
0人 622万円 833万3000円 858万円 1071万円
1人 660万円 875万6000円 896万円 1124万円
2人 698万円 917万8000円 934万円 1162万円
3人 736万円 960万円 972万円 1200万円
4人 774万円 1002万円 1010万円 1238万円
5人 812万円 1040万円 1048万円 1276万円

※子ども家庭庁「児童手当制度のご案内」より筆者作成
 
世帯年収2000万円の世帯の場合、夫婦共働きで扶養家族が4人以上、世帯主が年収1000万円程度であれば、満額の児童手当を受給できる可能性があります。
 

児童手当の所得制限は撤廃される方針

日本政府は、令和5年6月に閣議決定した「こども未来戦略方針」の中で、児童手当の拡充策の一つとして、所得制限を撤廃して、全員に満額の児童手当を支給する方針を示しました。また、高校生まで支給期間を延長することも検討されています。
 
制度が改正されれば、世帯年収にかかわらず、子どもが高校を卒業するまで、児童手当を受給できるようになるでしょう。
 

高校無償化の所得制限の仕組み

高校無償化の所得基準には、公立高校の授業料相当の11万8800円の支給対象となる所得基準と、私立高校通学者の加算(最大39万6000円)の支給対象となる所得基準の2種類があります。それぞれのボーダーラインとなる世帯年収の目安は、子の人数と両親の就業状況などに応じて、表2のように設定されています。
 
【表2】

   

子の人数 11万8800円の支給対象となる年収の目安 39万6000円の支給対象となる年収の目安
共働き世帯 1人(高校生) ~約1030万円 ~約660万円
2人(高校生・中学生以下) ~約1030万円 ~約660万円
2人(高校生・高校生) ~約1070万円 ~約720万円
2人(大学生・高校生) ~約1090万円 ~約740万円
3人(大学生・高校生・中学生以下) ~約1090万円 ~約740万円
一方が働いている世帯 1人(高校生) ~約910万円 ~約590万円
2人(高校生・中学生以下) ~約910万円 ~約590万円
2人(高校生・高校生) ~約950万円 ~約640万円
2人(大学生・高校生) ~約960万円 ~約650万円
3人(大学生・高校生・中学生以下) ~約960万円 ~約650万円

文部科学省「高校生等への修学支援 所得基準に相当する目安年収(例)」より筆者作成
 
子ども3人の世帯でも、年収約1090万円がボーダーラインであり、年収2000万円の世帯が制度の対象となるケースはまずないでしょう。
 

高校無償化の所得制限撤廃を表明する自治体もある

高校無償化の所得制限については、東京都が令和6年度からの所得制限撤廃を表明して、ニュースになりました。また大阪府も、令和6年度から令和8年度にかけて、段階的に所得制限を撤廃する改正案を発表しています。
 
今後は、大阪府や東京都以外の自治体でも、独自に、高校無償化の所得制限の緩和や撤廃にかじを切る可能性があるでしょう。
 

世帯年収2000万円だと現行の児童手当・高校無償化の恩恵を受けるのは難しい

世帯年収2000万円の家庭の場合、夫婦の収入のバランスや扶養家族の人数次第では、児童手当の対象になる可能性があります。しかし、満額の児童手当を受給するための条件は厳しく、該当する家庭は多くないでしょう。また、高校無償化の所得制限を大きく超えているため、現行の制度は利用できません。
 
ただし、両制度ともに所得制限は撤廃される可能性があるため、将来的には手当てを受けられるようになるかもしれません。
 

出典

子ども家庭庁 児童手当制度のご案内
内閣官房 こども未来戦略方針の具体化に向けて
文部科学省 高等学校等就学支援金制度 所得基準に相当する目安年収(例)
大阪府 令和6年度以降の私立高校等授業料無償化制度の改正(案)について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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