子ども3人でも「大学タダ」は難しい!? 知っておきたい大学無償化の「落とし穴」について解説

2023年12月、政府は3人以上の子どもがいる世帯を対象に「大学の授業料などを無償化する方針」を打ち出しました。これには、現行の大学無償化制度のように親の所得制限はありません。しかし、無償化には要件があります。そこで、本記事では、大学無償化の要件を紹介するとともに、知っておきたい「落とし穴」について解説していきます。

大学無償化の要件と「落とし穴」とは？

政府は「異次元の少子化対策」を推し進めています。その対策の柱の1つが、2025年度より実施予定の「多子世帯対象の大学の授業料無償化」です。大学の授業料無償化とされていますが、対象となるのは4年制大学だけではありません。短期大学、専門学校も対象です。さらに、医学部や薬学部などの6年制大学も授業料無償化の対象となります。
 
大学の授業料無償化の対象となる要件は、扶養する子どもが3人以上いることです。ただ単に子どもが3人いるというのでは、対象外です。子どもを扶養しているかどうかがポイントになります。つまり、第1子が扶養から外れると、第2・3子は支援の対象外となってしまうのです。
 
例を挙げて考えてみると、子どもが3人いて、第1子が大学1年生、第2子が中学3年生、第3子が小学6年生だとします。第1子の場合、大学入学から卒業まで無償です。しかし、第2子が大学に入学すると同時に、第1子は大学を卒業し、就職をした場合、扶養から外れてしまいます。
 
ということは、扶養する子どもは3人から2人に減ってしまい、第2子は大学の授業料無償化の要件から外れてしまうのです。第2子の大学の授業料については支援を受けることはできません。第3子も同様に大学の授業料無償化の対象外になります。ただし、第2子が大学に入学するまでに第4子が生まれれば、第2子は卒業するまで大学無償化の対象になります。
 
3人の子どもが4年間、大学の授業料無償化の対象となるためには、3つ子で同時に大学に入学し卒業する必要があるのです。これが大学の授業料無償化の「落とし穴」と言えるでしょう。
 
もう1つの落とし穴は、支援を受けることができる授業料に上限があることです。かかる授業料がすべて無償になるわけではありません。無償化の上限は、国公立の場合は授業料約54万円、入学金約28万円、私立の場合は授業料約70万円、入学金約26万円です。上限を超えた部分の授業料については、支払う必要があります。とは言え、私立の四年制大学に通った場合、最大で約306万円の支援が受けられることになります。
 
ちなみに、大学の授業料無償化の要件には、親の所得は関係ありません。親の所得がいくらであろうが、扶養する子どもが3人以上いれば、授業料は無償になります。この点は現行の大学無償化制度と違う点です。
 

授業料の支援には上限あり！ 子どもが扶養から外れると対象外に

2025年度より、「多子世帯対象の大学の授業料無償化」が実施されます。対象となる要件は、扶養する子どもが3人以上いることです。そのため、3人兄弟で第1子が扶養から外れると、第2・3子は支援の対象外となってしまいます。また、授業料の支援額には上限があります。大学の授業料無償化を受ける場合は、これらの落とし穴をきちんと押さえておくようにしましょう。
 

出典

内閣官房 「こども未来戦略」案
内閣官房 こども未来戦略会議（第8回）議事次第
 
執筆者：FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー