更新日: 2024.01.15 子育て
生活するのにやっとという3人の子どもの母親です。高校授業料が無償化になれば学資保険は入らなくてもいいでしょうか?
本記事では、高校の授業料無償化の内容や、授業料以外で必要となる費用の目安について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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高等学校等就学支援金制度とは?
高校授業料無償化には、文部科学省が行っている「高等学校等就学支援金制度」と自治体が独自に行っている助成制度があります。
現行の「高等学校等就学支援金制度」の助成内容は、下記のとおりです。(子1人、両親のうち一方が働いている場合)
●公立学校に通う生徒:年額11万8800円(保護者の年収が約910万円以上は対象外)
●私立学校に通う生徒:年額39万6000円(保護者の年収が約590万円~約910万円未満の場合は年額11万8800円、保護者の年収が約910万円以上の場合は助成対象外)
子の数が2人以上の場合や夫婦共働きの場合は、助成金額を判断するラインが異なります。詳細は、文部科学省のホームページを確認してみてください。
東京都では2024年度より所得制限を撤廃して、私立を含めた高校における授業料を実質無償化する方針を掲げています。大阪府も段階的に高校授業料の実質無償化を進める方針を掲げており、他の自治体も追随する可能性が考えられるでしょう。
すべての親が知っておくべき「授業料以外の学費項目」
「高等学校等就学支援金制度」は、授業料に充てるための就学支援金を支給することを目的としています。授業料以外の学習費用に関しては自分たちで用意しなくてはならない点に留意しましょう。
文部科学省の「令和3年度 子供の学習費調査」によると、令和3年度の全日制の高校における学校教育費のうち、授業料以外の年間費用は以下のようになっています。
【公立高校】
●入学金等:1万6143円
●修学旅行費等:1万9556円
●学校納付金等:3万2805円
●図書・学用品・実習材料費等:5万3103円
●教科外活動費:3万9395円
●通学関係費:9万1169円
●その他:4970円
【私立高校】
●入学金等:7万1844円
●修学旅行費等:2万6549円
●学校納付金等:11万5808円
●図書・学用品・実習材料費等:6万4259円
●教科外活動費:4万7013円
●通学関係費:12万9155円
●その他:7291円
また、「学校外活動費」に関しても、公立高校は年間20万4000円、私立高校は年間30万4000円の費用がかかっています。学校外活動費のなかでも、公立・私立高等学校ともに「補助学習費」内訳が最も多く(公立高校で17万1000円、私立高校で24万7000円)、大学受験を見据えて予備校や塾に通っている高校生が多いことが見て取れます。
このように、授業料以外にも必要となる費用があることから、授業料が無償化されるからといって「何も準備しない」のは危険です。子どもが3人いる家庭であれば「子どもの人数×3年間」で9年分の費用が必要になりますから、300万~500万円近くを用意しなければなりません。また、将来のインフレを考慮すると、さらに多くの費用を用意する必要も考えられるでしょう。
教育資金を貯める方法
教育資金を貯める具体的な方法として、預貯金のほかに「学資保険を活用する」「児童手当を専用の口座でプールする」「リスク許容度の範囲内で資産運用(新NISA)を行う」があります。
学資保険は、低金利の昨今では大きく増やせませんが、進学のタイミングで確実に保険金を受け取れるメリットがあります。授業料が無償化されることで用意するべきお金は減ると考えられますが、学資保険を活用して備えておくことは有効な選択肢の1つです。
0歳から15歳まで受け取れる児童手当を全額貯金すれば、子ども1人当たり総額約200万円になります。別プールで貯金しておけば、高校進学・在学に際しての費用をある程度カバーしてくれるでしょう。
加えて、2024年から始まった新NISAを活用すれば、効率よく資産を増やせる可能性があります。もちろん投資にはリスクが伴いますが、投資商品によっては年率5%程度のリターンが期待できるため、リスク許容度の範囲内で資産運用を行うとよいでしょう。
まとめ
高校の授業料無償化は、家庭の教育費負担を軽減するメリットがあります。しかし、高校に関連する費用がすべて無料になるわけではありません。
あくまでも授業料が無償化されるだけで、ほかの費用は自分たちで用意する必要がある点は留意しましょう。学資保険や児童手当、新NISAなどを活用して、計画的に教育資金を貯めることが大切です。
出典
文部科学省 高校生等への修学支援 高等学校等就学支援金制度
文部科学省 高等学校等就学支援金制度 年収目安
文部科学省 令和3年度子供の学習費調査の結果を公表します
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー