子ども3人以上世帯の「大学無償化」の落とし穴! 子ども全員の大学費用が「無料」になるわけではないってホント!? 無償化の条件について解説
配信日: 2024.01.24
ただその場合、大学無償化制度に所得制限はありませんが、利用するには一定の要件を満たす必要があるため注意が必要です。本記事では多子世帯の大学無償化の条件について解説します。
執筆者:山田麻耶(やまだ まや)
FP2級
目次
多子世帯の大学無償化とは
政府は「異次元の少子化対策」の一環として、2025年度より「多子世帯の大学等授業料・入学金の無償化」を実施する予定です。
この制度は、3人以上の子どもがいる多子世帯の教育費の負担を軽減するため、大学など高等教育機関の授業料や入学金を無償化するものです。
国公立大学の場合は年間約54万円、私立大学の場合は年間約70万円を上限に授業料が支援されます。現行の大学無償化制度では、所得に応じて支援額の上限が決まっていますが、多子世帯の大学無償化制度では所得制限が設けられていません。
ちなみに無償化の対象となるのは4年制の大学だけではなく、医学部や薬学部など6年制の大学、短期大学、専門学校も無償化の対象です。
無償化の条件は「扶養する子どもが3人以上いること」
気になる多子世帯の大学無償化の条件ですが、単に子どもが3人以上いればいいというわけではありません。ポイントは「扶養する子どもが3人以上いるか」です。3人子どもを産んだとしても、その内の1人が扶養から外れると制度の対象外となります。
例として、年の差がそれぞれ2歳差の3人きょうだいのケースで考えてみましょう。
・第1子:大学1年生
・第2子:高校2年生
・第3子:中学2年生
このようなケースでは、第1子が4年制の大学に進学した場合、4年間の大学費用が無償になります。しかし大学を卒業して就職すると親の扶養から外れることになります。つまり「扶養する子どもが3人以上いる」という条件に該当しなくなるのです。
第1子が就職したときは、第2子が大学3年生、第3子が大学1年生です。多子世帯の大学無償化の条件から外れるため、第2子は2年間、第3子は4年間、大学費用を支払わなければいけません。
3人全員の大学費用が無償になるのはレアケース
仮に子どもが3人いるとして、3人全員の大学費用が無償化の条件に当てはまるのはどのようなケースか考えてみましょう。
3つ子が同時に進学するケース
分かりやすい例としては、子どもが3つ子で全員同時に大学に進学した場合、全員分の大学費用が無料になります。しかし3つ子はなかなか現実的ではありませんよね。
第1子が6年制の大学、第3子が2年制の短期大学に進学するケース
第1子が6年制の大学、第2子が4年制の大学、第3子が2年制の短期大学に進学することで、3人全員が大学無償化の条件に該当する可能性もあります。
例えば3人の年の差がそれぞれ2歳差である場合、次のようなケースでは3人全員の卒業時期が同時(=3人同時に扶養に入っている状態)となります。
・第1子:ストレートで6年制の大学進学
・第2子:ストレートで4年制の大学進学
・第3子:ストレートで2年制の短大進学
まとめ
3人全員が無償化の条件に該当するのはかなりレアなケースです。また出産時期や進学先、大学受験の合否は自分でコントロールできるものではないので、全員が無償化されるのはかなり難しいと思っていた方が良いでしょう。
「3人全員分の大学費用が無償になる」と思っていると、予期せぬ教育費に苦しむことにもなりかねません。3人目を検討する場合はこの点を踏まえた上で慎重に判断するようにしましょう。
出典
こども家庭庁 こども未来戦略方針の具体化に向けた検討について
執筆者:山田麻耶
FP2級