ご祝儀って「新札」じゃないとダメ? 元銀行員が伝えたい新札事情と、ご祝儀に「新札を勧めないワケ」を解説
配信日: 2024.01.25
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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新札は銀行にどのくらいある?
金融機関は新札をどれくらい保有しているのでしょうか。元銀行員の筆者が、自身の経験をもとに解説します。
金融機関にある現金
金融機関が保有している「現金」についてみていきましょう。「金融機関の金庫」というと、大人が2人がかりで開けるような重くて分厚い金属製のドアの金庫室があり、その中には現金が山積みというイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。
ところが、一部の金融機関を除き、このように現金が山積みとなっている大きな金庫がある金融機関はほとんどありません。
厳密にいうと金庫室はあるのですが、その中は現金で埋め尽くされているのではなく、金融機関で扱っている伝票やマニュアルのファイルなどの書類が収納されています。現金に関しては別に現金庫があり、厳重に保管されています。
ちなみに金融機関で保管されている現金は、おそらく読者の皆さんが想像するよりもずっと少ない額です。
金融機関が大量の現金を持たない理由としては、経費の節約、防犯上の危険を避ける、融資や振込といった大口取引のほとんどは紙面での取り扱いで、現金は必要がないといったことが挙げられます。筆者の勤めていた金融機関でも、本部から現金を持ちすぎない管理をするようにいわれていました。
現在新札は不足している可能性がある
紙幣・硬貨は数年おきに新しいデザインが採用され、流通する紙幣・硬貨が変更になります。現在日本銀行では2024年7月をめどに1万円札、5000円札、1000円札の新紙幣と500円玉の新硬貨を発行する予定です。
つまり、日本銀行から公式の発表はありませんが、新紙幣発行が迫っている現在は、現行紙幣は増刷していない可能性があるのです。そのため、各金融機関でも現行紙幣の新札の保有枚数が少なくなっていることが予想されます。
ご祝儀に新札をおすすめしないワケ
「ご祝儀には新札でなければいけない」と考える人がいるかもしれませんが、元銀行員としては、実はご祝儀に新札は向かないと考えます。それには次の理由が挙げられます。
・新札には限りがあるため
・ご祝儀は折りたたむことが多いから
・新札は側面が鋭利で危険な側面があるから
前記のとおり、新札は金融機関に無限にあるわけではありません。さらにご祝儀を小さなポチ袋に入れる場合、せっかくの新札を折り曲げてしまうことになります。
また、新札はすでに流通している紙幣と比べてお札自体が固く、側面が鋭利なため、手を切ってしまう危険があります。実際に筆者も新札で手に軽いけがをしてしまったことがあります。ご祝儀を渡したい相手の手を守るためにも新札はあまりおすすめしません。
ご祝儀は新札でなくて大丈夫
新紙幣の発行準備に伴い、各金融機関では新札が不足していることが考えられます。そのため、金融機関に新札の両替に行っても新札がないということも考えられるでしょう。
また、ご祝儀は折り曲げて渡すことが多いこと、ご祝儀を渡したい相手の手を切ってしまう危険があることを加味すると、新札にこだわる必要はないと筆者は考えます。
とはいえ、あまりにも汚れた紙幣をご祝儀としてあげるのは心情的に気が引けるものです。財布の中にきれいなお札が入っていないかチェックして、少しずつ準備することをおすすめします。
出典
日本銀行 改刷・改鋳
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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