更新日: 2024.01.26 その他暮らし

「物価は安い&賃金は高い」そんな都合のよい都道府県ってありますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「物価は安い&賃金は高い」そんな都合のよい都道府県ってありますか?
コロナ禍以降、世界中のさまざまな国でインフレが起こり、日本でも物価が上昇しています。デフレから脱却できていると評価する声がある一方で、急激なインフレは多くの消費者にとっては悩みの一つとなっているでしょう。
 
日本国内でも、都道府県によって物価は異なります。また、賃金水準も地域によって差がある点は否めません。本記事では、物価は安いけど賃金は高い都道府県が果たしてあるのかどうかを検証します。
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都道府県ごとにみる消費者物価指数

まずは、主な都道府県ごとの物価をみてみます。総務省の「消費者物価地域差指数」によると、消費者物価指数の全国平均を100とした場合、東京都の消費者物価指数は、104.7と全国トップでした。東京都の物価が高いことは想像通り、という人は多いでしょう。
 
つづいて高いのは神奈川県で、消費者物価指数は103.1でした。それに北海道と千葉県、京都府がつづきますが、これら3道府県はいずれも消費者物価指数が101.0前後となっています。消費者物価指数が全国平均の100を超えているところは、ほかに山形県と埼玉県のみです。
 
一方、消費者物価指数が96.1ともっとも低かったのは宮崎県でした。群馬県も96.2とほぼ変わらない状況です。鹿児島県も96台、奈良県も97と低い水準となっています。ほかに消費者物価指数が97台だった県は低い順に、岐阜県、福岡県、大分県、長野県、岡山県、佐賀県でした。
 

物価は安いけど賃金が高い都道府県はある?

次に、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査の概況」から、主な都道府県の平均賃金をみてみましょう。ちなみに、毎月の賃金の全国平均は約31万2000円でした。
 
もっとも平均賃金が高かったのは東京都で、約37万6000円です。この結果も物価と同様に、多くの人のイメージ通りでしょう。消費者物価指数が2番目に高かった神奈川県は、約33万6000円で賃金でも全国2位でした。
 
大阪府は、賃金では3番目に多い約33万1000円で平均を上回りましたが、消費者物価指数は平均以下です。東京都や神奈川県と比べると消費者物価指数は大幅に低いため、物価は比較的安いけど賃金は高い都道府県の一つといえます。愛知県も平均賃金は約31万3000円と平均を超えているものの、消費者物価指数では98台と全国で30番目でした。
 
兵庫県は、平均賃金が約31万2000円で全国平均と同水準ですが、消費者物価指数は99台と全国で15番目となっています。奈良県の平均賃金は、約31万1000円で全国平均を少し下回る程度であるものの、消費者物価指数はすでに紹介している通り全国で44番目と非常に低い水準です。
 
福岡県も約29万7000円の平均賃金に対して、消費者物価指数は全国で42番目となっています。岐阜県は平均賃金が約29万3000円で、消費者物価指数は全国で43番目でした。茨城県も平均賃金は約30万5000円で消費者物価指数は全国33番目と差がありますが、福岡県や岐阜県とともに奈良県ほどではありません。
 
物価は安いけど賃金は高い「都合のよい都道府県」があるとすれば、平均をみるかぎりは奈良県といえるでしょう。
 

物価を下げるのは難しいが収入は上げられる

「物価は安いけど賃金は高い」、そのような都合のよい地域に住みたいと考える人は少なくないでしょう。その一方で、現在住んでいる地域に愛着もあり、そこから離れずに生活がしたいという人もいます。住んでいる地域の賃金を、個人の力で上げるのは困難です。
 
しかし、個人の収入を上げることで、物価高への対応ができるようになります。同じ地域でも、転職によって収入を上げることは可能です。また、副業を始め、全体の収入を増やす方法もあります。行動や努力により自分の収入を増やせれば、物価に対する比率が変わり、今よりも豊かな生活が送れる可能性が高まるでしょう。
 

物価は安いけど賃金は高い都道府県への移住が簡単ではない場合は収入を増やそう

都道府県によって物価には差があり、また、収入にも差があります。消費者物価指数と平均賃金を比較した場合、奈良県がもっとも差がある状況です。福岡県や岐阜県、茨城県なども、物価は安いけど賃金が高い地域といえるでしょう。
 
そのような地域に移り住むのも選択肢の一つですが、多くの人はそう簡単に移住はできません。ただ、自分の収入を上げることで、物価高などには対応可能です。収入を増やすために、転職や副業を検討するのもよいでしょう。
 

出典

総務省 消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2022年(令和4年)結果-
厚生労働省 令和4年賃金構造基本統計調査の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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