更新日: 2019.01.10 その他暮らし

マンションと一戸建てどちらがいい? ―住宅選定のためのポイントその1 経済性の比較

マンションと一戸建てどちらがいい? ―住宅選定のためのポイントその1 経済性の比較
「マンションと一戸建てどちらがいいか」という問題は、家を買う際に決して避けて通ることができません。
 
当然のことながら、どちらがいいということは簡単にいえるものではなく、マンションや一戸建ての一般的な特長だけでなく、購入者のニーズや価値観によっても変わってくるものです。
 
それぞれの長所短所を多面的に検討することが、よりよい選択につながるでしょう。今回は、経済性の面から、マンションと一戸建てのメリット・デメリットを比べてみます。
 
浦上登

Text:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

経済性はどちらが優れているか?

人生におけるもっとも大きな買い物ですから、まず、経済性を検討してみましょう。
 
(1)物件価値
 

土地

―戸建ての方がマンションより相対的に大きな土地面積を所有できます。
 
一戸建てでは敷地の100%が自己所有可能なのに対し、マンションは共用部分を含めた総敷地面積に敷地権割合(注)を乗じて求めた面積が自分の持ち分になるため、高層マンションほど自己の土地所有面積は小さくなります。
 
(注)敷地権割合は、通常、「各戸の専有床面積」÷「総専有床面積」または、「各戸の販売価格」÷「総販売価格」で求められます。
 
一戸建ては、建物を壊して、土地単独の価値を考えることができます。
 
それに対し、マンションでは、土地と建物を分離することができず、常に建物プラス土地で取引をすることになります。マンションの価値は共用施設や管理も含めた住居機能にあるということができます。
 

建物

一戸建ては、一般的な木造建築の場合、築20年を経過すると転売価格がほぼゼロになるのに対し、鉄筋コンクリート造りのマンションは築40年~50年程度は転売価値があるといわれます。
 
(2)管理費・修繕費等の保守費用
 

マンション

管理費、修繕積立金、駐車場代などが必要で、居住しているかぎり、支払い続けることになります。
 

一戸建て

管理費不要、敷地内に駐車スペースを設ければ、駐車場代も不要です。ただし、修繕積立金に相当する修繕費は必要です。
 
(3)転売可能性・賃貸可能性
マンション・一戸建てでは、その性格は異なります。
 
転売可能性については、一戸建ては、土地付き建物で売る方法と建物なしの土地で売る方法と2通りの可能性があります。これに対し、マンションは建物プラス土地で売る方法しかありません。
 
つまり、一戸建ての場合、建物が老朽化しても土地の価値は残るのに対し、マンションの場合、建物が老朽化すると全体の価値が大きく低下してしまいます。特に、入居者の意思統一ができず、大規模修繕ができなくなった場合、転売不能ということにもなりかねないのが、マンションの転売可能性におけるリスクと考えられます。マンションの場合、建物が老朽化する前に、転売した方が安全ということもできます。
 
賃貸可能性については、賃借人のニーズにより貸しやすさが決まります。
 
つまり、家族の人数が多く、広い家や庭のある家を好む人は一戸建てを借りようとするでしょうし、駅近で通勤に便利な立地を好む人は、どちらかというと、マンションを選ぶ傾向が強いでしょう。
 
賃貸可能性を考える場合、住居の要件、つまり、通勤・通学へのアクセス、環境、間取り、床面積、家賃などで決まるので、一戸建てがいい、または、マンションがいいという議論は必ずしも適切ではないと思われます。
 
転売可能性・賃貸可能性は、一戸建てであれ、マンションであれ、駅近かつ住環境がいいところの方が可能性は高くなります。そのため、購入する際にも、転売可能性・賃貸可能性を考えて物件を選ぶ必要があることはいうまでもありません。
 

経済性まとめ

経済性に関する比較をまとめると次の通りになります。
 
一戸建ては土地だけでも転売が可能なのに対し、マンションは常に共用施設や管理も含めた住居機能を考えて、転売する必要があります。マンションは鉄筋コンクリート製なので、管理や修繕がしっかりしていれば、築40~50年でも転売は可能でしょう。ただし、マンションの場合、建物が老朽化し、転売が難しくなることがリスクといえるでしょう。
 
マンションには管理費・駐車場代等固定的な費用が将来にわたって発生しますが、一戸建ては発生しません。管理費はマンションの共用施設の保守費用です。これが、マンションに住み続けるかぎり固定費として発生します。管理費の高いマンションを買うと将来年金生活者になったとき、固定費が家計を圧迫する可能性があります。
 
修繕費は一戸建てでもマンションでも同様に発生しますが、マンションの大規模修繕のまとまった出費を年金生活者になってから負担することになると、管理費と同じく支払い不能の事態に陥る可能性があります。
 

まとめ

今回は、マンションと一戸建ての経済性の比較について述べてきました。次回は、経済性と並んで重要なポイントである居住性の比較をしてみます。
 
また、マンション独特の問題である管理組合の問題についても考えてみたいと思います。
 
Text:浦上 登(うらかみ のぼる)
CFP ファイナンシャルプランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集