【自販機キラー】そもそもどうして「500円硬貨」のデザインを変えたのですか? 税金を使うほどのことでしょうか?
配信日: 2024.01.30
硬貨のデザイン変更は問題が生じやすいという声もあります。今回は、新硬貨発行の際に生じやすい問題や、硬貨のデザインを変える理由を考えてみます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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新硬貨の問題とは
硬貨のデザインが変更されると、新硬貨を持っていても、一時的に買い物などに使えないお店や機械が出てくるといった問題が生じます。
例えば、自動販売機や自動券売機、硬貨を投入するタイプのレジなどでは、新硬貨に対応していなければ使用できません。新500円硬貨は旧500円硬貨とはデザインが異なるので、新硬貨に対応していない機械では偽造硬貨とみなされてしまうためです。
店員などが消費者と直接現金のやり取りをするタイプの店舗の一部でも使えない可能性があります。
新硬貨が発行されたことを知らない、あるいは具体的なデザインを把握していない店員は、やはり偽造硬貨だとみなし、受け取るのを拒否するケースも少なくありません。新硬貨の発行とデザインが浸透するまでは、使えない店舗が数多く残ってしまうでしょう。
新硬貨の発行により、消費者だけではなく企業や業者の負担も増加します。上記の自動販売機や自動券売機、レジを導入している企業や業者は、新硬貨に対応している機械に変更しなければいけません。
一部の機械はプログラムの変更により対応が可能ですが、機械そのものを買い替えなければならない店舗などもあるでしょう。自動販売機のメーカーが、一つひとつの機械に対応しなければならないケースもあります。
硬貨のデザインを変える理由
消費者にも企業や業者にも負担が生じる新硬貨の発行ですが、硬貨のデザインの変更には、もちろん理由があります。最大の目的は偽造防止です。
令和3年から発行が始まった新500円硬貨は、従来のものと比べて高度な技術と繊細な加工により作られています。精巧な作りであるほどコピーがしづらいため、新500円硬貨を偽造するのは容易ではないでしょう。
硬貨の偽造防止技術とともに、偽造技術も進化しています。偽造を防止するには、ある程度の期間ごとに最新の技術を用いて新硬貨を発行するほかありません。
警察庁によると、令和4年に発見された偽造500円硬貨は825枚です。数としてはさほど多くはないものの、依然として偽造500円硬貨が発見されています。新硬貨が発行されなければ、この数は増えていく可能性が高かったでしょう。
長い目でみれば国や国民のためになる
硬貨のデザイン変更はさまざまな問題を生じさせます。しかし、デザインを一切変更せず、偽造された硬貨や紙幣が大量に出回ると、やがて誰も日本円を使いたがらなくなってしまいます。
結果、日本円の信用も落ちかねません。通貨は、信用により成り立っています。各国が最新技術を駆使して偽造が困難な紙幣や硬貨を発行しているのは、自国の通貨の信用性を保つためです。
ある程度の期間ごとにデザインを変更しておけば、偽造された通貨や紙幣を用いた犯罪も増えずに済むでしょう。被害に遭うお店や業者が増えなければ消費者を疑うことなく商売ができ、消費者も安心して買い物ができます。
新硬貨の発行は、国や国民を守るためといっても過言ではありません。長い目でみたときには、とりわけ、その意義は大きくなります。
硬貨のデザインの変更は大きな問題を防ぐためには不可欠
硬貨のデザインを変更し新硬貨を発行すると、一時的に自動販売機で使えないなどの問題が生じます。自動券売機やレジを調整したり買い替えたりなどする手間や費用もかかるでしょう。
それでも硬貨のデザインを変えることがあるのは、偽造を防止するためです。偽造硬貨が出回ると、被害に遭う人やお店が増えます。ひいては、日本円の信用も落ちかねません。大きな問題を防ぐためにも、硬貨のデザイン変更は不可欠だと理解しておきましょう。
出典
警察庁 偽造通貨の発見枚数
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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