更新日: 2024.02.02 子育て
隣の子が小学校受験をすると言っています。やっぱり親の年収が少ないと、お受験は無理なのでしょうか?
周りの家庭が中学受験をすると聞くと「うちの年収では難しそう」と羨ましく思う人もいるでしょう。どのくらいの年収があれば、問題なく私立中学校に通えるのでしょうか。統計データをもとに考えてみましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
子どもを私立中学校に通わせる親の年収は約6割が1000万円以上
文部科学省が実施した「令和3年度 子供の学習費調査」の結果によると、子どもを私立中学校に通わせている家庭の年収の構成比は図表1のようになっています。
【図表1】
年収 | 構成比 |
---|---|
400万円未満 | 3.8% |
400~599万円 | 6.2% |
600~799万円 | 15.4% |
800~999万円 | 16.8% |
1000~1199万円 | 17.7% |
1200万円以上 | 40.1% |
文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」より筆者作成
全体の約7割が年収800万円以上、約6割は年収1000万円以上の世帯です。年収1200万円以上に絞っても4割を超えており、私立中学生の大半が、一般的には高所得と言われる年収の家庭の子どもであることが分かります。
一方で、年収400万円未満の世帯も3.8%あることから「年収が高くなければ絶対に私立中学校には」通えない、と言い切れるものでもありません。各家庭の家計に照らして学費や教育費を無理なく負担できるかどうかが、私立中学校を選択できるかどうかの判断のポイントです。
私立中学校の学習費総額は学費だけで年間平均約100万円以上
私立中学校に子どもを通わせるには、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
「令和3年度 子供の学習費調査」では、私立中学校に通う子ども1人当たりの学校教育費は約106万1000円という結果が出ています。費用の内訳は、図表2のとおりです。
【図表2】
費用区分 | 金額 |
---|---|
入学金等 | 12万2368円 |
授業料 | 47万6159円 |
修学旅行費等 | 3万988円 |
学校納付金等 | 16万3233円 |
図書・学用品・実習教材費等 | 6万8578円 |
教科外活動費 | 3万7172円 |
通学関係費 | 15万2487円 |
その他 | 1万365円 |
学校教育費合計 | 106万1350円 |
文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」より筆者作成
公立中学校では公費でまかなわれるため家庭の負担がない授業料が、大きな支出となることが見て取れます。また、公立のような学区がないため、遠方の学校に入学すれば交通費もかかるでしょう。
たとえば年収500万円の家庭の場合、年間106万円超の学費の負担は収入の20%を超えます。さらに、塾や習い事の費用、大学進学に向けた教育費の貯蓄などが必要と考えた場合に、問題なく家計をやりくりしていけるかどうかを十分検討することが大切です。
私立受験対策の塾代なども考慮する必要がある
中学受験をして私立中学校に入学するには、受験対策が必須です。中学受験では小学校の授業で習わないことも出題されるのが一般的なことから、塾に通って対策することになるでしょう。
塾に通うには、当然、月謝を支払わなければなりません。「令和3年度 子供の学習費調査」の結果でも、中学受験を意識する小学4~6年生では学習塾費が大きく増える傾向が見て取れます(図表3)。
【図表3】
学年 | 公立小学校 | 私立小学校 |
---|---|---|
1年生 | 3万1181円 | 17万1797円 |
2年生 | 3万3365円 | 12万7924円 |
3年生 | 5万4172円 | 20万8636円 |
4年生 | 8万1635円 | 30万3449円 |
5年生 | 12万5821円 | 43万3441円 |
6年生 | 15万5013円 | 40万5057円 |
文部科学省「令和3年度 子供の学習費調査」より筆者作成
受験期間に必要となる費用も含めて家計のシミュレーションを行い、子ども自身の希望も聞きながら、家庭に合った進学先を選択しましょう。
かかる費用を試算して家計が回せるかどうかが判断のポイント
私立中学校に子どもを通わせている家庭の多くは、一般的に年収が高いと言われる世帯です。しかし、子どもに受験をさせて私立中学校に通わせられるかどうかは、年収だけでは一概に判断できません。
現在の家計の収支や貯蓄の状況、祖父母からの援助の有無などによって、どの程度の費用を負担できるかは異なるでしょう。家計の見通しと私立中学校に通うのにかかる費用を照らし合わせて、十分な費用を捻出できるかどうかが判断のポイントです。
出典
文部科学省 結果の概要-令和3年度子供の学習費調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー