更新日: 2024.02.13 子育て

保活に苦労しています。「こども誰でも通園制度」はどうなったのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

保活に苦労しています。「こども誰でも通園制度」はどうなったのでしょうか?
共働きが一般的となった現在、出産後にキャリアの中断をできるだけしないよう、早めに職場復帰をする方も増えています。そのため、保活に熱心に取り組む方もいるでしょう。
 
保活は住んでいる地域によって差があり、保育園の入園希望者が多い地域では入園できるまで苦労します。そこで、令和8年(2026年)度から全ての自治体で実施が予定されている、「こども誰でも通園制度」について気になる人もいるでしょう。本記事で、概要や現状を紹介します。
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7割の両親が保活で何かしらの問題を経験している

有料職業紹介事業のSimple株式会社(東京都品川区)が2023年11月、保育園児がいる一都三県に在住の家族100人を対象に行った「保育園選びの大変さと、抱えるストレスに関する調査」によると、保活を始めた時期は子どもが生後半年~1年未満のときが最も多く、28.0%でした。また、生後すぐ~半年未満のときに保活を始めた方も15.0%おり、保活の大変さが分かる結果となっています。
 
また、保活で特に問題は起こっていないと回答した方は29.0%にとどまり、残りの約71%は何らかの問題を経験したという結果になりました。保活中に発生した問題で最も多かったのは「保育園に入れず育休を延長した(35.0%)」です。次いで、「希望の保育園に入れず空きを待った(33.0%)」となりました。この結果を見ると、子育てと仕事の両立が難しいことが分かります。
 

「こども誰でも通園制度」の概要と現状

「こども誰でも通園制度」とは、親が就労しているなどの条件を満たさなくても、子どもを保育施設へ預けられる制度です。2023年6月に政府が発表した「こども未来戦略方針」において創設が発表され、令和8年に全国の自治体での実施が予定されています。
 
「こども誰でも通園制度」が実施されれば、保活に苦労する親はいなくなると考えられていますが、実際はどうなのでしょうか? 本項では、「こども誰でも通園制度」の概要や現状を解説します。
 

令和5年度時点における「こども誰でも通園制度」の現状

2023年12月5日に行われた「第4回こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会」において、「保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業具体的な実施状況」が資料として発表されました。令和5年度は全国の幼稚園や保育園、こども園で子どもを預かる事業を実際に行い、その結果を基に改善点や課題を洗い出している状態です。
 
資料によると、未就園児の定期的な預かりモデル事業を利用したのは、2歳の子どもが最も多く、利用日数は1週間当たり1日、1回に預ける時間は2~3時間が最多という結果でした。その一方で、8時間以上預ける方も全体の12.6%いました。
 

解決しなければならない問題も多い

こども家庭庁が公開した「保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業具体的な実施状況」によると、未就園の定期的な預かりを行った施設の保育士の現状として、「普段の保育に加え、預かりモデル事業のこどもの対応にかける時間・労力が増えた」「事務仕事をはじめとする仕事の負担が増えた」などの意見が多くありました。
 
「こども誰でも通園制度」が本格的に実施されれば、保育士の負担が増えることが予想されるでしょう。
 
一方、厚生労働省が公表している「令和4年版 厚生労働白書」によると、保育士の有効求人倍率は令和3年で2.50倍と高い水準になっており、保育士が現場で不足している状況が分かります。
 
このような状態で制度が本格的に始まれば、保育士不足で子どもが預かることができないといった施設も増えることが予想されます。「こども誰でも通園制度」がスムーズに実施されるためにも、保育士不足の解消など解決しなければならない問題も多いです。
 

令和8年度の実施を目指し「こども誰でも通園制度」を整えているのが現状

「こども誰でも通園制度」は、令和8年(2026年)度の全国での実施を目指し制度を整えているのが現状です。ただし、実施されても通常の入園のように平日毎日6時間以上誰でも子どもを預けられる、といった状態になるのは難しいでしょう。
 
その一方で、ちょっとした用事を済ませるときに子どもを預けたい場合などは、利用しやすくなりそうです。例えば、祖父母に週2回子どもを預け、「こども誰でも通園制度」を利用して週3回保育施設に子どもを預けるといった使い方ができれば、両親の仕事復帰もしやすくなるでしょう。
 

出典

Simple株式会社 保育園選びの大変さと、抱えるストレスに関する調査

子ども家庭庁 こども誰でも通園制度(仮称)の本格実施を見据えた試行的事業実施の在り方に関する検討会(第4回)

子ども家庭庁 保育所の空き定員等を活用した未就園児の定期的な預かりモデル事業具体的な実施状況

厚生労働省 令和4年版 厚生労働白書 図表1-2-59 保育士の有効求人倍率の推移(全国)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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