【日本の貧困の実情】「給食」が無いと子どもに十分にご飯をあげられない…「子育て世帯」が求めている支援とは?
配信日: 2024.02.16
そこで今回は、日本にはどのような貧困問題があるのか、そしてどのような支援が求められているのかをご紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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日本における子どもの貧困は世界で3位!?
先進国といわれる日本ですが、実は1995年以降、子どもの貧困率は増え続けているというのが実態です。日本財団の調査では、主要7カ国における子どもの貧困率が発表されています。上位3カ国の貧困率を、表1にまとめました。
表1
主要国の子どもの貧困率 | ||
---|---|---|
1995年 | 2012年 | |
アメリカ | 22.3% | 20.8% |
イタリア | 19.6% | 17.2% |
日本 | 12.1% | 16.3% |
※公益財団法人日本財団「子どもの貧困の社会的損失推計レポート」を基に筆者作成
日本は、子どもの貧困率がアメリカとイタリアに続いて3番目に高い国です。さらにアメリカとイタリアの貧困率は、1995年よりも改善が見られているものの、日本は4.2%の増加傾向にあります。
今までは他国の問題だと考えられていた貧困問題は、日本にとっても早急に解決すべき課題のひとつだといえるでしょう。
子どもがおなかいっぱい食べられない家庭もある
日本では、満足にご飯を食べられない家庭も増加しているといいます。
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンによると、2023年の「冬休み 子どもの食 応援ボックス」を申し込んだ世帯のうち、給食のない長期休暇中に昼食を「とれていない」「あまりとれていない」と回答した家庭は、45.0%あるとのことです。
さらに上記を申し込んだ理由では、約9割の世帯が「物価上昇による食費の値上がりにより、十分な食料を買うお金がない」と回答しています。
実際に子どもたちが、どれくらい満足に食事をとれているのかを見てみましょう。同調査による「あなたは、子どもが普段十分な量の食事がとれていると思いますか」という質問に対しての回答は、表2の通りです。
表2
学校がある期間の昼食 | 長期休暇中など 給食がない期間の昼食 |
|
---|---|---|
十分にとれている | 55.4% | 2.7% |
まあまあとれている | 33.5% | 48.9% |
あまりとれていない | 5.9% | 42.1% |
※公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン「2023年 冬休み子どもの食 応援ボックス 申込者アンケート結果」を基に筆者作成
学校がある期間の昼食は、給食によって食事を十分にとれていると感じている家庭が多い反面、夏休みなどの長期休暇中は「あまりとれていない」と答えた割合が42.1%にも及びます。
学校が休みの日でも、子どもたちが十分に食事を食べられる支援が必要なことが分かります。経済的な理由から、子どもに十分な食事を与えられないことは、子どもの健康状態が懸念される問題であるといえるでしょう。
子育て世帯が求めている支援とは?
ではここから、子育て世帯がどのような支援を求めているのかを見てみましょう。
同調査による「子育てをしていくうえでどんな支援が必要だと思いますか」という質問に対して、上位3つの回答は以下の通りです。
●2位:児童扶養手当(主にひとり親家庭対象)の増額(61.6%)
●3位:経済的に困難な子育て世帯への現金給付(60.7%)
学費の無償化を希望する声が最も多く、その次に児童手当の増額や、現金給付などが求められています。高額な教育費用のために、食費などの生活費を切り詰める状況を改善できる支援が、今後は必要になるでしょう。
物価高騰によって子どもの食事にまで影響が出ている
今回の結果により、物価高騰の影響は、子どもの食事や生活にまで影響を与えていることが分かりました。生活のために食費を抑える状態が続くと、子どもたちの健康や成長にまで影響を及ぼすかもしれません。
子どもの貧困は日本でも重要な課題であり、経済的な支援や生活支援を充実させることが、これからは求められるでしょう。
出典
公益財団法人 日本財団 子どもの貧困の社会的損失推計レポート 2015年12月 I 推計の背景・目的1. 推計の背景 図表1 主要国の子どもの貧困率(1ページ)
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン 2023年 「冬休み子どもの食応援ボックス」申込者アンケート結果
<アンケート結果から明らかになったこと>(3ページ)
5. 子どもたちの食をとりまく状況(8ページ)
11. 子育てに必要な支援(13ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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