更新日: 2024.02.19 その他暮らし

生活が苦しくても「NHK受信料」は免除されない!? 年収100万円の「住民税非課税世帯」ですが、テレビは絶対に捨てたくありません。免除の制度はないのでしょうか?

執筆者 : 山田麻耶

生活が苦しくても「NHK受信料」は免除されない!? 年収100万円の「住民税非課税世帯」ですが、テレビは絶対に捨てたくありません。免除の制度はないのでしょうか?
NHK放送を受信できるテレビなどを持っている家庭では、NHK受信料の支払いが義務付けられています。ただし一部の世帯では受信料が免除されることがあります。そのため「非課税世帯だと受信料が免除されるのでは?」と思う人もいるかもしれません。
 
本記事ではNHK受信料の支払いが免除になる基準について解説します。
山田麻耶

執筆者:山田麻耶(やまだ まや)

FP2級

NHK受信料の支払い義務と費用

放送法第64条第1項によると「NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、NHKと受信契約を締結しなければいけない」とされています。
 
テレビを持っていなくても、ワンセグ搭載のスマートフォンやカーナビなどを所持していればNHK受信料の支払い義務の対象となります。
 
2024年2月現在の受信料は、衛星契約(地上+衛星)の場合は月額1950円、地上契約(地上のみ)の場合は月額1100円です。受信料の支払いは「2ヶ月払い」「6ヶ月前払い」「12ヶ月前払い」から選択でき、まとめて支払うほど1ヶ月あたりの料金が安くなります。
 
地上契約を2ヶ月払いで契約した場合、年額1万3200円になります。支払いが大変だと感じる家庭もあるでしょうが、NHKとの契約を解約し受信料の支払いを止めるためには、テレビなどの受信機器を手放すしかありません。どうしてもテレビ放送を見たくて受信機器を処分できない場合、非課税世帯という理由で受信料が免除されることはあるのでしょうか?
 

経済苦を理由に受信料の免除を受けられる?

結論からいうと、「支払いが大変」「生活が苦しい」というような個別事情に応じてNHKの受信料が免除されることはありません。NHKの放送を受信できる機器を持っている場合は、たとえ非課税世帯であってもNHK受信料の支払い義務が生じます。
 
放送法第64条2項によると、「総務大臣の認可を受けた受信料の免除の基準によるのでなければ、受信料を免除してはならない」とされています。受信料の免除される条件については「日本放送協会放送受信料免除基準」で定められており、この基準のなかに「非課税である」「低所得である」などの所得や収入による条件は規定されていません。
 

受信料が免除になるための条件

「日本放送協会放送受信料免除基準」に当てはまり、受信料が免除になるのはどのような人なのでしょうか。具体的には次のとおりです。

全額免除対象者

●公的扶助受給者
●市町村民税非課税の身体障害者
●市町村民税非課税の知的障害者
●市町村民税非課税の精神障害者
●社会福祉施設等入所者
●年間収入が一定額以下等の別住居の学生

半額免除対象者

●視覚・聴覚障害者
●重度の身体障害者
●重度の知的障害者
●重度の精神障害者
●重度の戦傷病者

簡単にいうと「生活保護を受けている」「施設に入所している」「親元を離れた学生である」に該当すれば全額免除になります。また「障害者手帳」を持っている人が世帯にいて、世帯所得や手帳の等級など一定の条件を満たせば全額免除または半額免除になります。
 

「非課税だから」では受信料は免除されない

「家計が苦しいから」「非課税世帯だから」などの経済状況を理由に、NHKの受信料の免除や減免を受けることはできません。
 
受信料が全額免除になるのは、生活保護世帯や施設に入所している人、親元を離れた学生です。障害者手帳を所持していても免除の対象となりますが、世帯所得や手帳の等級など細かい基準があるため、該当する人は多くはないでしょう。
 
NHKの受信料の支払いが経済的に負担である場合、テレビなどの受信機器を処分するしかありません。地上波放送を受信しないチューナーレステレビに買い替え、TVerなどのテレビ番組の配信サービスで視聴することを検討するとよいでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 放送法
NHK よくある質問集 生活が苦しいので受信料を免除してもらいたい
NHK 受信料の窓口 日本放送協会放送受信料免除基準
NHK 受信料免除の対象となる方について
 
執筆者:山田麻耶
FP2級

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