更新日: 2019.01.10 その他暮らし

30年以内の発生確率が70~80%と試算される南海トラフ地震 きめ細かい備えとはどんな備えなのか

30年以内の発生確率が70~80%と試算される南海トラフ地震 きめ細かい備えとはどんな備えなのか
今年の夏は大雨や地震などが相次ぎ、かつて経験したことのない被害を各地にもたらしました。災害はいつ起こるかわからず、予測できないことが多いため、「備え」に対してつい気を緩めがちです。
しかし、めったに起きないといわれていたことが、こうも頻繁に起きるとなると、「備え」の重要性を認識せざるを得ません。
 
30年以内の発生確率が70~80%と試算される南海トラフ地震や首都直下地震は、東日本大震災を超える甚大な被害が予想されています。
 
死者・行方不明者数は、東日本大震災が約2万人であったのに対し、南海トラフ地震では約32万人と推定されています。
 
黒澤佳子

Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)

CFP(R)認定者、中小企業診断士

アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。

https://www.atharmony-office.jp/

ハザードマップ、確認していますか?

2015年9月、鬼怒川の堤防が決壊し、茨城県常総市の面積の約3分の1が浸水しました。2万棟近くの住家が被害にあうという甚大な被害光景は忘れることができません。この時の被害区域は、常総市が公表していたハザードマップの予想浸水地域と、概ね一致していたといわれています。
 
今年の夏の西日本豪雨においても、土砂災害などによって多くの犠牲者が出てしまいました。広島市や宇和島市などの自治体のハザードマップも、ほぼ予測通りの区域だったことがわかっています。
 
ハザードマップの作成・周知は、2005年に義務化され、各自治体における取り組みが進みました。自治体によって、マップを配布したりホームページに掲載したり、積極的な情報開示をしています。
しかし、住民の認知度はあまり高いとはいえない状況です。「不動産価格に影響する」などの理由から、情報が積極的に広がらないというのは、非常に残念なことです。
 
「自分の身は自分で守る」意識で、こちらから積極的に情報をとりにいきましょう。
 
また、ハザードマップを見ると、実は河川から離れた場所でも浸水が起こると予想されています。都心部などの排水設備は、1時間に50ミリの雨量を想定して整備されています。ここに100ミリを超えるゲリラ豪雨などが発生すると、下水や排水路から水があふれ、周囲より少し低い場所では浸水してしまうというわけです。
 
津波や洪水、地震や火災など災害の種類によっても安全な場所は異なります。どの災害時にはどこに避難すればいいのかを、事前に確認しておきましょう。
 

食料品はローリングストック方式、乳幼児、高齢者世帯の見落としに注意!

災害への備えとして、何から手を付ければよいか、悩むところです。まずは今すぐできることから始めましょう。
 
被災してすぐに避難所に行けるとは限りませんので、食料・飲料の備蓄をしておきましょう。電気やガス・水道など、ライフラインが止まっても、少しの間は自宅等で過ごせるだけの準備が必要です。
 
食料品は、非常用として購入するのではなく、普段使える食料を備蓄し、消費した分だけ新しく買い足す「ローリングストック方式」がよいでしょう。非常用の食料をストックしておいて、賞味期限切れになった経験はありませんか? 私は「もったいないなあ」と思いながらも処分しました。
 
また、保存用食品は水分がないため、あまり美味しくないイメージがありますが、「ローリングストック方式」ならば、食べ慣れた味なので安心です。非常袋は多くの方が実践されている備えですが、乳幼児や高齢者がいる世帯では、一般的な非常用袋にないものが必要になります。見落としに注意しましょう。
 
家族の変化に応じて、定期的な見直しが必要ですね。
 

●追加で必要なもの(例)

乳幼児:紙おむつ、おしりふき、ミルク、哺乳瓶、母子手帳のコピー など
高齢者:服用中の薬、老眼鏡、入れ歯、折りたたみ杖、おむつ、おかゆ など
女性:生理用品、下着、防犯ブザー など
 
Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士

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