更新日: 2024.03.17 その他暮らし

悪質なホストクラブに要注意! 被害に遭ってしまったらどうするべき?

悪質なホストクラブに要注意! 被害に遭ってしまったらどうするべき?
ホストクラブでは、お気に入りのホストが親しみを込めた接客をしてくれます。ホストに喜んでもらいたくて、ホストの特別になりたくて、高級なお酒を注文する女性たちもいるでしょう。
 
近年、悪質なホストクラブで、ホストが若い女性に対してその好意の感情を利用して、飲食などの契約を結ばせて多額の負債を負わせる、という事例が増えています。もちろん、多くのホストクラブは正しい運営を行っています。
 
しかし、ごく一部では悪質なホストクラブが存在するので注意が必要です。本記事では、悪質なホストクラブで被害に遭った際の対策と防止法について説明します。
林智慮

執筆者:林智慮(はやし ちりよ)

CFP(R)認定者

確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。

不当な勧誘による契約は取り消しできます

消費者契約法では、不当な勧誘によって締結した契約の取り消しを定めています。第4条第3項第6号には、好意の感情を利用した契約(いわゆるデート商法)の取り消しが定められています。ホストクラブでの飲食の契約は、これに当たります。
 
消費者契約法第4条第3項第6号を読み換えると、次のようになります。
 
若い女性客が、社会生活上の経験が乏しいことから、ホストに対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、ホストも当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、高額のシャンパンの注文をしなければホストとの関係が破綻することになる旨を告げる。
 
これにより、女性客が困惑して高額のシャンパンの申し込みをした場合、消費者契約法により注文を取り消すことができます(もし、客が18歳未満の場合であれば、法定代理人の同意を得ずに結んだ契約は、民法5条の未成年者取消権により取り消すことができます)。
 
ここで、ホストが、この契約は恋人同士の間の個人的なやりとり(売掛金の立て替え等)であると主張した場合でも、ホストが事業者に該当し(従業員)、不当な勧誘の要件に該当すれば、その契約は取り消すことができます。
 
また、ホストクラブの従業員が、勧誘する際に価格や内容を偽って締結させた契約や、客が帰ると言ったのに無理に引き留めて結ばせた契約なども、要件を満たせば取り消しできます。
 
消費者契約法に定められた不当な取引により契約したものは、事業者に対して取り消しの意思表示をすることで、契約の取り消しができる可能性があります。まず、事業者に契約の取り消しを主張することが必要であり、その後は当事者間で解決する必要がありますが、最終的には司法の場で判断されます。
 

悪質ホストクラブでは、被害者が犯罪行為をさせられる

その場では「ツケでいいから」と言われても、当然後から支払わなくてはなりません。支払いのために店に行けば、また新たなツケが発生します。そのうち、売掛金がかさむと客本人の収入だけでは払えなくなります。
 
払えなくなってしまうと、それまではまるで恋人のように扱われていたのに、態度がコロッと変わります。勤務先に取り立てに行くと脅されることや、性風俗や売春等で働くよう仕事を紹介されることがあります。
 
売春は犯罪です。あなたのことを大切に思っているのなら、その仕事を紹介するでしょうか。その時点で目を覚ましましょう。
 
また、ホストクラブでの飲食代などの返済に、マインドコントロールにより精神的自由を不当に拘束して仕事を紹介することや、性風俗や売春などの仕事を紹介することは、職業安定法第63条で禁止されています。
 
これに違反した場合、1年以上10年以下の懲役、または20万円以上300万円以下の罰金の対象になります。
 

どこに相談したらいいの?

では、悪質ホストクラブのトラブルを抱えている場合、どこに相談したらよいのでしょうか。
 
悪質ホストクラブのトラブルを抱えていらっしゃる方は、膨れ上がった借金や性風俗で働かされるという問題だけでなく、ホストに追われて逃げている、居住先がないなど、さまざまな問題を抱えているケースがあります。
 
どこに相談していいのか分からない場合は、まず、各都道府県の婦人相談所へ相談しましょう。相談内容に応じた専門機関につないでもらえ、包括的な支援を受けられます。その他、相談内容に応じた主な窓口は以下のとおりです。
 
○悪質ホストクラブ等との契約を消費者契約法による取り消しが可能かどうか、消費者トラブルに関する相談
=地方自治体の消費者センター、消費者ホットライン
 
○売掛金の契約の取消手続き、各種法律トラブルの相談
=日本司法支援センター(法テラス)
 
○ホストに売春を強要されている・追われている等の犯罪被害
=警察署へ通報、警察相談専用電話 
 
○性犯罪・性暴力被害者の相談
=ワンストップ支援センター
 
被害に遭われたら、勇気を持って相談しましょう。
 

まとめ

悪質なホストクラブでは、「持ち合わせがない」と言っても、「売り掛け(ツケ払い)でいいから」と押し切られてしまいます。ホストに囲まれて、仕方なく契約する場合もあります。
 
結果、普通の会社員の収入では支払えないほどの総額となり、返済のために売春等させられる事例や、被害者家族への取り立ても発生しています。
 
「自分だけはきっと大丈夫!」と思っていても、何がきっかけで悪質ホストクラブにはまってしまうかは分かりません。マッチングアプリが入り口になることもあります。
 
少しでも不信感があったら、誰かに相談する勇気を持ちましょう。被害に遭ってしまった場合にどうするべきか、対策を知っておきましょう。
 

出典

厚生労働省 悪質ホストクラブ対策について
消費者庁 ホストクラブなどにおける不当な勧誘と消費者契約法の適用について(周知)
東京都・警察庁・新宿区 ホストクラブでの高額な請求等に関するトラブルの相談が寄せられています
消費者庁(政府広報) 悪質なホストクラブに注意!悩みがあったら、すぐ相談を!
 
執筆者:林智慮
CFP(R)認定者

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