高齢運転者の死亡事故の人的要因第1位は「操作不適」! 運転者の事故発生リスクを軽減する「サポカー」とは?

配信日: 2024.03.23

この記事は約 4 分で読めます。
高齢運転者の死亡事故の人的要因第1位は「操作不適」! 運転者の事故発生リスクを軽減する「サポカー」とは?
警察庁の統計によると、自動車の先進安全技術などの普及により、運転者(免許人口10万人当たり)の死亡事故件数は、年々減少傾向にあります。その一方で、高齢運転者の操作ミスによる事故の報道や、運転免許証の返納の話題などが多く聞かれます。
 
本記事では、官民が連携して普及啓発に取り組んでいる、「セーフティ・サポートカー(サポカー)」の現状について確認します。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

サポカーの普及促進

2021年11月より、国産新型車には衝突被害軽減ブレーキの装着が義務化されており、輸入新型車についても2024年7月より義務化されます。政府は、より安全性の高い新型車への買い替えを促進しています。
 
また、自動車保険についても、所定の衝突被害軽減ブレーキが装着されている場合に約9%保険料を割引する「ASV割引」が、2018年より適用されています。それでは、より安全な車を購入する場合の基準は何でしょうか。
 
国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)は、新車販売されている自動車に対してさまざまな安全性能を試験し、その結果を公表する「自動車アセスメント」の事業を実施しています。
 
予防安全性能と衝突安全性能の総合得点により、★1つから最も安全性能が高い★5つまでの5段階で評価され、サイト上では自動車の「ブランド名」や「車種名」などにより、評価結果を検索することができます。
 

サポカーの種類

サポカーの種類は、「セーフティ・サポートカー(サポカー)」と「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」に分かれ、さらにサポカーSは、衝突被害軽減ブレーキの機能に応じて、「ワイド」「ベーシック+」「ベーシック」の3つに区分されます。
 
図表1


経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)」より筆者作成
 
また、サポカーに登載される主な装置の概要は、以下のとおりです。
 

(1)衝突被害軽減ブレーキ

車載のレーダーやカメラにより前方の車両や歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には、運転者に対して警報する。さらに衝突の可能性が高い場合には、自動でブレーキを作動させる。
 

(2)ペダル踏み間違い急発進抑制装置

停止時や低速走行時に、車載のレーダー、カメラ、ソナーが前方(および後方)の壁や車両を検知している状態でアクセルを踏み込んだ場合には、エンジン出力を抑える等の方法により、急加速を防止する。
 

(3)車線逸脱警報装置

車載のカメラにより道路上の車線を検知し、車線からはみ出しそうになった場合や、はみ出した場合には、運転者に対して警報する。
 

(4)先進ライト

この装置の一例である自動切替型前照灯は、前方の先行車や対向車等を検知し、ハイビームとロービームを自動的に切り替える機能を有するヘッドライト。
 
※経済産業省「サポカー(安全運転サポート車)」より引用
 

高齢運転者の死亡事故原因の第1位は「操作不適」

「令和5年における交通事故の発生状況について(警察庁)」によると、75歳以上の高齢運転者による死亡事故で人的要因の第1位は「操作不適」(全体の27.6%)となっており、そのうち「ハンドルの操作不適」が14.9%、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が6.6%となっています。
 
その一方、75歳未満の運転者の場合は、「操作不適)が全体の9.9%、うち「ハンドルの操作不適」が5.8%、「ブレーキとアクセルの踏み間違い」が0.8%であり、高齢運転者の場合はこれと比べて、数値が格段に上がっていることが分かります。
 

後付けできるペダル踏み間違い急発進抑制装置

先述のとおり、高齢運転者の死亡事故の大きな要因は、ペダルの踏み間違いです。そのリスクの軽減のため、利用中の自動車や中古車に後付けで装置を取り付けることができる場合もあります。通常、後付けの装備費用は4~5万円程度とされますが、2021年までは補助金の対象となっていました。
 
現在、国土交通省がその効果や安全性を調査し認定した、後付けができるペダル踏み間違い急発進抑制装置が、自動車メーカーや部品メーカーから販売されています。認定装置は、「障害物検知機能付きペダル踏み間違い急発進等抑制装置」「ペダル踏み間違い急発進等抑制装置」「ペダル踏み間違い防止装置」の3分類があります。
 

まとめ

自動車の先進安全技術は今後も進展し、それらを登載したより安全性能の高い自動車が普及することが、交通事故の防止や被害の低減につながっていくものと考えられます。
 
ただし、これらの技術は必ずしも万能ではないため、装置の機能のみを過信することなく、個々の運転者が安全運転を心掛けることが、最も重要でしょう。
 

出典

独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA) 自動車アセスメントのご案内
経済産業省 サポカー(安全運転サポート車)
警察庁 交通事故分析資料
国土交通省 ペダル踏み間違い急発進抑制装置性能認定結果一覧
 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集