更新日: 2024.03.29 その他暮らし

アパートの隙間風がひどいのですが、大家に話しても「お金がなくて…」の一点張り。修繕するのは「義務」ではないのですか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

アパートの隙間風がひどいのですが、大家に話しても「お金がなくて…」の一点張り。修繕するのは「義務」ではないのですか?
持ち家と賃貸、どちらにもメリット・デメリットがあります。持ち家の場合、設備の老朽化による修繕費が大きな負担となります。その点、賃貸では原則として修繕費は大家の負担となります。
 
今回紹介するのは、アパートの隙間風がひどく、大家に相談してもお金がないことを理由に修繕してくれないケースです。賃貸物件における隙間風の修繕は義務なのかを解説します。
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賃貸人には修繕義務がある

民法第606条には「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と記載されています。賃貸物件で設備の故障や不具合があった場合は、原則として大家が全額負担で修理する義務があるということです。
 
さらに「ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」と続きます。つまり、賃借人(入居者)の過失によって設備が故障した場合などは例外となり、大家側に修繕義務は発生しなくなります。
 
今回は「隙間風がひどい」という相談のため、入居者側の過失によるものではない可能性が高いでしょう。よって、大家側に修繕義務が発生する可能性が出てきます。
 

隙間風は修繕義務の対象になる?

ここで気になるのが、隙間風は修繕義務の対象になるのかという点です。民法第606条には「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕」とあるため、例えば雨漏りや風呂釜の故障などその物件に住むにあたって大きな支障が出る場合は、修繕義務の対象になるでしょう。
 
隙間風の原因は、窓や窓枠などの経年劣化・ひずみが原因となっている可能性が高いです。古い物件では多少の隙間風は致し方なく、生活に大きな支障もないことから、大家は早急に修繕する義務は負いません。
 
ただし、生活に支障をきたすほどの風が吹き込んでくる、風の音がうるさくて眠れないなどの場合は、修繕義務の対象となる可能性があります。また、地震や台風などの天災により窓枠がゆがみ、隙間風が吹き込んでくるようになったケースなども修繕義務の対象となるケースがあります。
 
破損状況や隙間風の度合いにもよりますが、ここまでの内容を踏まえて再度大家に相談してみるとよいでしょう。また、管理会社や入居時に仲介してもらった不動産業者に相談するのも1つの手です。
 

賃貸物件の設備を自分で修繕してもよいの?

大家の了承なく自分で設備を修繕することはおすすめできません。民法第607条2では、大家が修繕に応じないときや急迫の事情があるときは入居者が修繕してもよいと記載されています。
 
また、民放第608条では「賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる」とあります。
 
つまり、入居者が修繕することは可能で、そのための費用を請求することも可能です。ただし、大家の了承なく修繕すると費用の負担を拒否される可能性があるため注意しましょう。まずは大家に交渉することが鉄則です。
 
軽度の隙間風なら自分で対処できるケースもあります。できる限りお金をかけたくない場合は、ホームセンターや100円ショップで購入できる、窓の隙間を埋めるテープなどがおすすめです。
 
ポリウレタンにテープが付いており、貼り付けるだけで引き戸や窓などの隙間を防ぐことができます。まずはこのようなアイテムを試してみるのも1つの手です。
 

大家が対応しない場合は、自分で実施できる対策を

賃貸物件において大家には修繕義務があります。ただし、生活に支障があるかが大きなポイントとなるため、隙間風程度なら修繕義務の対象にならない可能性があります。
 
隙間風の原因や度合いによるものの、この点を踏まえ、改めて大家や管理会社に交渉するとよいでしょう。トラブル防止のためにも自己判断で修繕するのはNGです。我慢できる範囲の隙間風なら、市販の隙間テープなどで対処することも検討してみてください。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
 
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