有効期限が4月末の「通学定期券」、3月の大学卒業後に使うと「3倍」の料金をとられることも!?「うっかり」で違反しないための注意点を解説

配信日: 2024.04.04

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有効期限が4月末の「通学定期券」、3月の大学卒業後に使うと「3倍」の料金をとられることも!?「うっかり」で違反しないための注意点を解説
卒業後も通学定期券の有効期限が切れておらず、「買い物などに便利だから使いたい」もしくは「4月から働く職場が同じ方向だからそのまま使ってしまおう」と考える人はいませんか? 実は通学定期券は学生でなくなると、有効期間内でも使えなくなるので注意が必要です。
 
本記事では、意外と知られていない通学定期券のルールについて解説します。
浜崎遥翔

執筆者:浜崎遥翔(はまさき はると)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

通学定期券は卒業・退学後は使えない

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の旅客営業規則第168条には、「通学定期乗車券を使用する旅客が、その使用資格を失った後に使用したとき」には定期乗車券を無効として回収する」旨、定められています。
 
つまり通学定期券は仮に有効期間内であっても、卒業や退学をして使用資格を失うと使えません。使ってしまうと不正乗車になってしまうのです。
 
学校教育法施行規則によると、3月卒業の学生の場合は3月31日まで籍が残っているとされています。卒業式のあとでも3月31日までは使用資格があるので、通学定期券を使うことに問題はありません。
 
あまり知られてはいませんが、通学定期券を使う条件に「使用資格を有することの証明証(学生証)を携帯すること」があります。厳密に言えば、学生証を持たずに通学定期券を使用すると規約違反となってしまうため、注意しなければなりません。
 

通学定期券を不正使用すると3倍の料金が取られることも

さらにJR東日本の旅客営業規則第265条には、「無効として回収した場合には増運賃を収受する」と記載があります。
 
請求される金額は「使用資格を失った日から、無効の事実を発見した当日まで、その定期乗車券を使用して券面に表示された区間を、毎日1往復(または2回)ずつ乗車したものとして計算した普通旅客運賃と、その2倍に相当する額の増運賃とを合わせた額」です。
 
では以下のケースで考えてみましょう。

●3月に大学を卒業
●通学定期券の有効期間は4月末まで
●駅員に不正使用を指摘されて定期券が回収されたのが4月7日
●通学定期券に記載されている片道の料金は1000円

資格を失った日から発覚した日までの普通旅客運賃と増運賃として請求される金額は、以下の計算のとおり4万2000円です。
 
(1000円×2(1往復)+2000×2(増運賃))×7日間=4万2000円
 
つまり、1日分の運賃が通常の1往復運賃の3倍請求されることになるため、たった数百円、数千円のために受ける制裁としては決して小さくありません。
 

定期券の払いもどしができるのは有効期間が1ヶ月以上の場合のみ

JR東日本の場合、有効期間が1ヶ月以上ある場合、220円の手数料を支払うことで定期券を払い戻せます。
 
有効期間が1ヶ月未満の場合は払いもどしの対象外となるため、卒業前に定期券の使用頻度が少なくなった時点で払いもどしを検討しましょう。
 
定期券の払いもどしは1ヶ月単位で行われるため、例えば有効期間が「2ヶ月残っている状態」と「1ヶ月と30日しか残っていない状態」では、払いもどし金額に丸々1ヶ月の差が生じます。払いもどしのタイミングには注意が必要です。
 

うっかり違反行為を犯さないように気をつけよう

通学定期券は有効期間内であっても、卒業や退学で学生ではなくなった時点で使えなくなります。知らなかったでは済まされず、もし使ってしまった場合のペナルティは決して小さくありません。また他のサービスでも、継続して学割サービスを受けてしまうことが規約違反となることもあるので気をつけましょう。
 

出典

東日本旅客鉄道会社 旅客営業規則 ■第2編 旅客営業-第4章 乗車券類の効力-第2節 乗車券の効力
東日本旅客鉄道会社 旅客営業規則 ■第2編 旅客営業-第7章 乗車変更等の取扱い-第3節 旅客の特殊取扱-第2款 乗車券類の無札及び無効
e-Gov法令検索 学校教育法施行規則
 
執筆者:浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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