更新日: 2024.04.24 その他暮らし

目的地を過ぎたのに走り続けるタクシー。「居眠りをしていたから」と言われましたが、さすがに言い訳になりませんよね?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

目的地を過ぎたのに走り続けるタクシー。「居眠りをしていたから」と言われましたが、さすがに言い訳になりませんよね?
タクシーの利用時には、トラブルにみまわれる場合があります。例えば、乗客が居眠りしてしまったときに目的地を通り過ぎてしまった場合などが挙げられます。本ケースにおける責任の所在は、利用時の状況によりますので、必ずしもタクシードライバーに責任があるとは限りません。
 
そこで今回は、居眠り中にタクシーが目的地を過ぎてしまったケースについて解説します。
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故意の遠回りは旅客運送契約に反する

タクシーに乗車する際、タクシー運転手と乗客の間に「旅客運送契約」の義務が生じます。この義務は商法第590条に明記されており、法務省が定めたものです。法律上タクシー運転手側は、利用者が告げる目的地に向かって合理的なルートを使い、乗客を送り届けなければなりません。
 
そのため、今回のケースは「合理的なルート」とかけ離れた走行を行っていることから、タクシードライバーは義務に違反していると判断できます。
 

目的地は具体的に伝える必要がある

前述した旅客運送契約における「目的地」は、状況によって曖昧な場合があります。例えば「◯◯駅」までと伝えた場合を想定しましょう。
 
これが地方の小さな駅なら、通常タクシーは近くのロータリーや入り口前に止まるでしょう。しかし、大型の駅や出口間の距離が長い地下鉄の場合、タクシードライバーもどのあたりを目指せばよいか分かりません。
 
運転手によってはざっくりと目的地を聞いたあと、ひとまず発進して目的地に近くなってから具体的な場所を聞く場合があります。しかし、詳細を聞きたいときに乗客が眠っていた場合、停車場所を尋ねるのは難しいでしょう。
 
そのため、本来の目的地とは離れた場所に停車せざるを得ない場合があるのです。タクシードライバーが詳細を聞き出す努力をしたにもかかわらず、それが叶わなかったならタクシードライバー側に責任を問えません。
 
ただし、事前の確認がなければ責任の所在がタクシードライバー側に生じる可能性があります。
 

待機料金の有無

乗客が眠っている中の走行では、タクシードライバーが乗客を起こすために一度停車する場合があります。この場合、停車時間次第ではタクシーの待機料金が発生するかもしれません。タクシーの待機料金とは、乗車客がタクシーに一時的な待機を依頼した場合や時速10km以下で走行する場合にかかる別料金です。
 
待機料金は、降車時に走行料金と合算して請求されます。そのため、居眠りでタクシーが一時停車した場合、待機料金が加算されている可能性があるのです。
 
もし料金が割高と感じたら、タクシードライバーに待機時間があったかを確認しましょう。眠っていることを理由にタクシードライバーが故意に待機していた場合、その分の待機料金を請求できる可能性があります。
 

タクシーの利用でよくあるトラブル

タクシーの利用で起こり得るトラブルは、目的地の通り過ぎだけではありません。そこで、タクシーでよくあるトラブルについて解説します。
 

故意に遠回りされる

今回のケースに似ていますが、タクシードライバーが目的地に遠回りして向かう場合もあります。タクシーには合理的経路を選択する義務があるため、遠回りが料金のかさ増しを目的にした故意の行為であるなら、代金の返却を要求できる可能性があります。
 
ただし、遠回りが必ずしも悪い行為だとは限りません。例えば、本来の最短ルートに渋滞のリスクがある場合、違う経路から進んだほうが目的地に早く着く場合があります。また、利用者が想定するルートとタクシードライバーにとっての最短ルートが異なることもあるでしょう。
 
そのため、例え遠回りだとしても、タクシードライバー側のルートが合理的とみなされる場合はタクシードライバー側に責任は問えません。
 

目的地と違うところで降ろされる

運転手にとって不慣れな場所や新任のドライバーだと、伝えた目的地とずれた場所に着く場合があります。このとき、本来の目的地まで行くのにかかった交通費を請求できる可能性があります。
 
ただし、このようなケースでは、利用者が正しく目的地を伝えていたかどうかという点も判断の基準に含まれます。もし目的地の所在に誤解や曖昧さが認められる場合は、請求が認められないこともあるでしょう。
 

責任の所在は状況次第

最近のタクシーには位置情報が分かるGPSやドライブレコーダーが搭載されています。そのため、タクシードライバーが故意に走行距離を伸ばしたり、不当に代金を請求したりする事態は起こりにくいと考えられます。
 
しかし、もし運賃や対応に疑問がある場合は、タクシー会社に事実確認する方法をおすすめします。
 

出典

法務省 商法(旅客運送関係)の改正に関する要綱案の取りまとめに向けた検討⑴
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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