更新日: 2024.06.11 その他暮らし
入院時に大部屋が空いていないからと「個室」に入ることに。「差額ベッド代」を請求されないか心配です…
そこで今回は「差額ベッド代」の定義について解説します。入院時のベッド代やその仕組みが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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入院費として発生する差額ベッド代とは?
差額ベッド代は、別途利用料が発生する病室に入院した際に請求される費用を指します。原則保険診療の対象ではなく、患者さん自身の負担となるようです。それぞれの病院で、対象の病室や費用には差があるのが特徴です。
ではここで、ベッド代が発生する部屋に7日間入院した場合にいくらかかるのか、例を用いて計算してみます。厚生労働省が発表した「中央社会保険医療協議会総会(第548回)」の議事次第によると、1日あたりの差額ベッド代(特別療養環境の提供にかかわるもの)の平均徴収額は表1の通りです。
表1
部屋 | 1日あたり平均徴収額(推計) | 7日間入院時の金額 |
---|---|---|
1人部屋 | 8322円 | 5万8254円 |
2人部屋 | 3101円 | 2万1707円 |
3人部屋 | 2826円 | 1万9782円 |
4人部屋 | 2705円 | 1万8935円 |
※厚生労働省「中央社会保険医療協議会 総会(第548回)議事次第 総-3-2」を基に筆者作成
表1の金額は、令和4年7月1日現在のものです。表1を見ると、差額ベッド代は一人部屋の個室以外でもかかることが分かります。最も費用が安い4人部屋を利用した場合でも、7日間で2万円近くの費用がかかります。一人部屋では6万円近くとなり、大きな出費になるかもしれません。
差額ベッド代が発生する条件
ベッド代が発生するのは、以下の条件を満たした場合となります。
●病室の病床数は4床以下である
●病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上である
●病床のプライバシーを確保できる設備がある
●特別の療養環境として適切な設備がある
病院によって違いはありますが、病室内に個別の洗面台やトイレ、シャワールームなどが備えられているケースもあるようです。そのため、設備や広さなどによって費用には差が見られます。
さらに、ベッド代が発生する病室への入院は、患者さんの同意が必要です。このことから、自分の希望ではなかった場合には、原則差額ベッド代は支払わなくていいと考えられます。
差額ベッド代がかからないケース
差額ベッド代は、患者さんの同意が得られない場合には請求できない決まりです。具体的には、以下のような場合です。
●同意書による同意の確認を行っていない
●患者本人の治療上の必要によりベッド代が発生する病室に入院した場合
●病棟管理の必要性が理由であり、実質的に患者さんの選択ではない
同意書に「患者の署名がない」「ベッド代の金額が記載されていない」などの不備が見られた場合、同意は無効となることがあります。また治療上「常時看護や介助が必要である」「免疫力低下による感染症罹患(りかん)のリスクが高い」など、特別の療養環境が必要であると判断されたときも費用はかからないことが多いようです。
ほかにも、一般病室(ベッド代が発生しない病室)以外に空きがなく、病院の都合で対象の病室に入院した場合も同様です。
そのため今回のケースのように、入院時に大部屋が埋まっているからとの理由で「差額ベッド代が発生する個室」に入ることになった場合には、費用はかからない可能性が高いと考えられます。
病院の都合による場合には「差額ベッド代」は原則請求されない
差額ベッド代は、条件を満たした個室や少人数制の病室にかかる費用です。原則、患者さんの同意がないと差額ベッド代は請求できません。
そのため、今回のケースは病院の都合によるものなので、ベッド代は請求されないでしょう。
一方で、自らベッド代が発生する病室を希望した場合には費用が請求されます。差額ベッド代は保険適用外となるため、入院が長引く場合や1日当たりの費用が高額な場合には注意が必要です。
出典
厚生労働省 中央社会保険医療協議会総会(第548回)議事次第 総-3-2(3ページ)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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