友人が「北海道旅行で、住んでた頃に作った北海道の銀行口座から引き出そうとしたら引き出せなかった」と言っていました。そんなことってあるんですか?
配信日: 2024.06.26
内閣府によると、そのような口座で10年以上取引がない預金は年間1200億円ほど発生しているそうです。そして、このような「休眠預金」を民間公益活動のために活用する休眠預金等活用法があります。
今回は、もし「休眠預金」があった場合どのようにすればいいのか見ていきます。
執筆者:田久保誠(たくぼ まこと)
田久保誠行政書士事務所代表
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員
行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。
目次
休眠預金とは
休眠預金とは、2009年1月以降に最後の異動があった預金等が原則として対象で、その後10年以上、入出金等の取引がない預金等のことをいいます。
どのような種類の預金等が該当するのか
預金等といっても、すべての預金等が対象となるわけではありません。対象・対象外は表1のように分類できます。
【表1】
休眠預金になりそうな場合、連絡はあるの?
最後の「異動」から9年が経過すると、預けている各金融機関のウェブサイトで公告が行われ、預金残高が1万円以上の場合は、預け先の金融機関から登録されている住所に通知が郵送または電子メールが送られます。
その際通知が届けば、その預金は休眠預金にはなりません。よって、住所や電子メールが変わった人は、注意が必要です。通知が届かず、知らないうちに休眠預金になっている可能性があります。
この場合の「異動」とは、預金者が預金を引き続き利用する意思を表示したものとして認められるような取引等を指し、入出金は「異動」になります。
ただし、例えば「通帳記帳」を「異動」と見なさない金融機関もあります。よって「異動」の定義は金融機関によって異なっていますので注意が必要です。「異動」に該当するもの、金融機関によって取り扱いが違う取引は以下のとおりです。
・入出金(金融機関による利子の支払を除く)
・手形または小切手の提示等による第三者からの支払請求(金融機関が把握できる場合に限る)
・公告された預金等に対する情報提供の求め
以下は金融機関によって異なります。
・預金者等による通帳や証書の発行、記帳、繰越
・預金者等による残高照会
・預金者等の申出による契約内容・顧客情報の変更
・預金者等による口座を借入金返済に利用する旨の申出
・預金者等による預金等に係る情報の受領
・総合口座等に含まれる他の預金等の異動
休眠預金になるとどうなるの?
休眠預金は、金融機関から預金保険機構に移管され、民間団体を通じて、子ども若者支援、生活困難者支援、地域活性化等支援の3分野の公益活動のために活用されます。最近では、新型コロナウイルス感染症の課題解決に向け取り組む民間団体に対しても支援が実施された例もあります。
休眠預金は引き出せないの?
休眠預金は口座のある金融機関で引き出すことが可能です。その際は、通帳やキャッシュカード、本人確認書類等が必要となりますが、具体的な方法・必要なものはその金融機関に問い合わせます。
また、引き出す際に現金での受け取りになるか、引き続きその口座が使えるかも金融機関によって異なります。もし、口座の名義人が亡くなっていて相続人が発見した場合は、金融機関所定の手続き後引き出すことができますが、それも取引金融機関に問い合わせることになります。
まずは、管理しておくことが大切です
休眠口座にならないようにするには、普段使う口座以外をできるだけ解約するなど、口座の断捨離が必要です。そして口座の集約は管理する上でもメリットがあります。
もう一度、使ってない口座がないか確認しておくのもいいかもしれませんね。
出典
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
政府広報オンライン 放置したままの口座はありませんか? 10年たつと「休眠預金」に。
執筆者:田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表