低所得世帯も対象 生活福祉資金貸与制度ってどんな制度?
配信日: 2018.12.13 更新日: 2019.05.17
Text:林智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
どんな世帯が対象?
・低所得世帯…必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)
・障害者世帯…身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者(現在、障害者支援法によるサービスを受けている等、これと同程度と認められる者)
・高齢者世帯…65歳以上の高齢者の属する世帯(日常生活上、療育または介護を要する高齢者。一定の収入要件が有り)
生活福祉資金の総合支援資金とは
生活福祉資金には、【総合支援資金】、【福祉資金】、【教育支援資金】、【不動産担保生活資金】があります。
【総合生活資金】には、生活を立て直すのに必要な「生活支援費」「住宅入居費」「一時生活再建費」があります。「生活支援費」は、二人以上は月20万円以内、単身15万円以内の貸付限度額で、貸付期間原則3ヶ月(最長12ヶ月)が限度になります。
「住宅入居費」は、賃貸契約を結ぶために必要な費用で、貸付限度額は40万円以内。「一時生活再建費」は、日常生活で補うことが困難な債務整理をするための費用や就職・転職の為の技能取得に要する経費で、貸付限度額は60万円以内です。
「生活支援費」と合わせて貸付の場合も有り、最終貸付より6ヶ月据え置き、その後10年以内で返済します。保証人は原則必要で無くても良いのですが、あれば無利子で借りられます。無くても1.5%の利率です。
福祉資金とは
【福祉資金】には、「福祉費」と「緊急小口費」があります。
「福祉費」は用途が広く、生業を営むための必要な資金から、障害者用の自動車の購入に必要な資金、災害を受けたことにより臨時に必要となる経費、就職、技能取得等の支度に必要な経費等々、最大580万円以内です。
これも、保証人がいれば無利子ですが、いない場合は1.5%です。6ヶ月の据え置きの後、20年以内で返済します。「緊急小口資金」10万円以内で、保証人は不要で、無利子です。据え置き2ヶ月後12ヶ月以内で返済します。
教育支援資金
【教育支援資金】には、「教育支援費」と「就学支度費」があります。
「教育支援費」は、低所得世帯に属する者が高等学校、大学又は高等専門学校に修学するために必要な経費です。<高校>月3.5万円以内、<高専>月6万円以内、<短大>月6万円以内、<大学>月6.5万円以内で、特に必要と認められると最大上限の1.5倍まで借り入れできます。
「就学支度費」は、高校や大学に入学に際し必要な経費で、最大50万円です。「教育支援費」「就学支度費」は共に、卒業後6ヶ月据え置き、20年以内で返済します。無利子で保証人も不要ですが、世帯内で連帯借受人が必要です。
不動産担保型生活資金
【不動産担保型生活資金】には、「不動産担保型生活資金」と「要保護世帯向け 不動産担保型生活資金」があり、どちらも高齢者世帯に対し、住居用不動産を担保に生活資金を貸し付けるものです。
「不動産担保型生活資金」は土地の評価額の70%程度で月30万円以内。保証人は推定相続人の中から専任します。「要保護世帯向け 不動産担保型生活資金」は、土地・建物の評価額の70%程度(集合住宅の場合は50%)生活扶助額の1.5倍以内。保証人は不要です。
貸付期間は、借受人の死亡までの期間または、借り受け元本と利息が限度額に達するまでの期間期間で、利率は年3%か長期プライムレートの低い方です。
不動産担保型生活資金は無利子ではありませんが、生活再建や教育のための資金は、保証人や連帯借受人を付けると無利子で借りられます。生活を立て直す場合であっても、学業を続けられる後押しになります。
ただ、給付ではなく貸与なので、返済必須であることを忘れないようにしましょう。申込やご相談窓口は、お住まいの地区担当の民生委員、市町村社会福祉協議会です。
自立支援事業実施機関や行政と連携して支援を進めてくれます(それぞれの融資には、各都道府県社会福祉協議会による審査があります)。
Text:林 智慮(はやし ちりよ)
CFP(R)認定者