3人兄弟なら「大学無償化」のはずが、3男は結局「奨学金」で進学することに!? 大学無償化制度の“注意点”を解説
配信日: 2024.07.24
一体どういうことなのでしょうか。本記事で解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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多子世帯の大学無償化制度とは?
2025年度から始まる多子世帯の大学無償化制度の正式名称は「高等教育の修学支援新制度」です。
「高等教育の修学支援新制度」は2020年4月からスタートしており、授業料・入学金の免除または減額と、給付型奨学金の支給があります。
そして、現行の制度から所得制限をなくし、さらに多子世帯を支援する制度が2025年度から始まります。新制度は、子どもを3人以上同時に扶養している間は所得制限なしで、国が定める一定の額まで大学などの授業料・入学金が無償となります。
「国が定める一定の額」とは、大学や短期大学、高等専門学校などによって異なります。国公立大学の場合は入学金が28万で授業料は54万円、私立大学の場合は入学金が26万円で授業料は70万円が上限です。
3人子どもがいても全員が無料で進学できるわけではない
2025年度以降の「高等教育の修学支援新制度」ですが、前記したとおり、無償化になるのは「子どもを3人以上同時に扶養している間」です。そのため、子どもが3人以上いるとしても、扶養しているのが2人以下の時期は、授業料や入学金は無償化になりません。
例えば、3人兄弟で長男と次男が2歳差、次男と三男が3歳差の場合を見ていきましょう。長男が2026年に大学1年生だった場合、長男の学費は2029年の大学4年生まで無償化されます。
続いて次男は2028年に大学1年生になりますが、次男の学費が無償化されるのは、長男が大学生で扶養されている2029年までで、長男が大学卒業後の2030年と翌2031年の学費は無償化の対象外です。
最後に三男ですが、三男が大学1年生になる2031年には、既に長男が卒業して扶養から外れていますので、三男の学費は全て奨学金などで対応する必要があります。
大学進学にはどれくらいお金がかかるの?
大学無償化の制度を利用できない場合、お金は貯蓄や奨学金などで対応する必要があります。大学進学にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか?
文部科学省によると、令和5年度入学における大学の授業料と入学料は図表1のとおりです。
図表1
授業料 | 入学料 | 合計 | |
---|---|---|---|
国立大学 | 53万5800円 | 28万2000円 | 81万7800円 |
公立大学 | 53万6191円 | 37万4371円 | 91万562円 |
私立大学 | 95万9205円 | 24万806円 | 120万11円 |
※国立大学は国が示す標準額
※公立大学・私立大学は平均
※公立大学入学料は地域外からの入学者の平均
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移を基に作成
なお、入学料は一度だけですが、授業料は毎年かかります。
教育費が足りない場合には奨学金や事前の貯蓄で準備しよう
2025年度からの大学無償化は多子世帯なら所得制限もないため、多くの家庭では学費負担の軽減が期待できます。とはいえ、「子どもを3人以上同時に扶養している間」という点には注意が必要です。
該当しない子どもの学費については、奨学金貯蓄などを検討しながら、計画的に準備しましょう。
出典
文部科学省 令和6年度からの奨学金制度の改正に係るFAQ
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー