更新日: 2024.07.28 子育て
子どもが3人なので「大学無償化」だと安心していたのですが、結局お金がかかるって本当ですか?“将来の収入”を考えると、無理してでも進学させるべきでしょうか…?
家計が厳しいものの、大学に行かせたほうが高校卒よりも稼げるからと、無理をしてでも子どもを大学に行かせようと考える人もいるのではないでしょうか。その場合、大学無償化制度への関心は高く、大学卒と高校卒の生涯賃金も気になるでしょう。
本記事では大学無償化制度の概要や大学進学にかかる費用、大学卒と高校卒の生涯賃金の違いなどについて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
2025年度から始まる大学無償化制度とは?
2025年度から始まる大学無償化制度は、正式名称を「高等教育の修学支援新制度」といい、制度自体は2020年4月からスタートしています。
2025年度以降の「高等教育の修学支援新制度」は、現行制度から所得制限をなくし、多子世帯を支援するものです。具体的には、2025年度からは、子どもを3人以上同時に扶養している間は、所得制限なく、国が定める一定の額まで大学などの授業料・入学金が無償となります。
3人きょうだいでも基本的には授業料や入学金が全員無償にはならない
2025年度以降の「高等教育の修学支援新制度」で授業料・入学金が無償になるのは、「子どもを3人以上同時に扶養している間」です。そのため、3人きょうだいであっても、例えば第1子が社会人となった後に第2子と第3子が大学に通う場合、第1子は扶養から外れているので第2子と第3子の授業料や入学金は無償にはなりません。
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大学進学にはどれくらいお金がかかるの?
大学無償化の制度を利用できない場合、お金は自分たちで負担する必要があります。文部科学省によると、令和5年度入学における大学の授業料と入学料は図表1のとおりです。
図表1
※国立大学は国が示す標準額、公立大学・私立大学は平均、公立大学入学料は地域外からの入学者の平均額
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移を基に筆者作成
入学料は入学時のみですが、授業料は毎年かかりますので、どの場合でも数百万円単位のお金が必要です。
高校卒と大学卒では生涯賃金はどれくらい違う?
大学に進学すると数百万円のお金がかかりますが、大学に進学することで生涯賃金としてはどれくらいのメリットがあるのでしょうか?
独立行政法人労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計 労働統計加工指標集2023」によると、男性の生涯賃金(引退まで、退職金を含む)の平均は高校卒の場合は2億6020万円、大学卒の場合は3億2020万円です。
あくまでも平均の額ですが、大学卒のほうが高校卒よりも数千万円単位で生涯賃金は多くなっています。そのため、大学進学にお金が数百万円かかったとしても、その分を将来的に取り戻せる可能性が低くはないでしょう。
家計が厳しいなら奨学金などを利用する手段もある
大学に通わせるのは大きな費用がかかるため、普段の生活費や貯蓄などから捻出できない場合もあります。その場合、奨学金を利用するという手段も有効です。
日本学生支援機構の「令和4年度 学生生活調査」によると、何らかの奨学金を受給している学生の割合は、大学学部(昼間部)で55.0%です。子どもをどうしても大学に通わせたい場合、奨学金の利用を検討するのも良いでしょう。
まとめ
2025年度からの大学無償化制度では、3人きょうだいでも基本的には授業料や入学金が全員無償になるわけではありません。子どもを大学に通わせるのはかなりの費用がかかりますが、平均的な生涯賃金は大学卒と高校卒にはかなり差があります。また、奨学金を利用している学生も多くいます。
一方、高校卒でも大学卒よりも給料が高いことも決して珍しくありません。「ユースフル労働統計 労働統計加工指標集2023」においても、勤務する企業規模が1000人以上の会社に勤める高校卒の生涯賃金は、10~99人の会社に勤める大学卒よりも約600万円高くなっています。
また、そもそも大学に進学するかどうかは、子どもの希望を優先するべきです。本記事を参考にお金のことを考えつつも、まずは子どもと話し合ってみましょう。
出典
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
独立行政法人労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計 労働統計加工指標集2023
独立行政法人日本学生支援機構 令和4年度学生生活調査結果
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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