在宅勤務で「オフィスチェア」を購入!→賃貸なのに床が傷だらけに!? 退去時の「敷金」はどうなる? 修繕費用は誰が負担するの?
配信日: 2024.08.20
しかし、もし購入したオフィスチェアのキャスター跡で床が傷だらけになってしまったら、その費用は誰が負担するのでしょうか。また「敷金」の扱いはどうなるのでしょうか。
この記事では、賃貸物件に傷をつけてしまったときの敷金の扱いなどについて解説します。在宅勤務で仕事をする機会が増えている人は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:石上ユウキ(いしがみ ゆうき)
FP2級、AFP
傷ついた床の修繕費用は誰が負担する?
傷ついた床の修繕費用は、過失が入居者にあるかどうかによって負担する人が変わります。故意に傷をつけた、過失を犯した可能性が高いとみなされる場合は、入居者自身が修繕費用を負担する必要があります。
一方、生活している中では仕方なく起こってしまうへこみや傷は、入居者が修繕費用を負担する必要はありません。
オフィスチェアの場合、日頃から十分に気をつけたり対策したりしたうえで1~2箇所ほど傷ついてしまったのであれば、過失とはみなされにくいでしょう。一方、必要以上に椅子のキャスターを動かしたり、明らかに椅子に負担がかかるような使い方をしたりしてつけた傷は、入居者の過失とみなされる可能性があります。
退去時の「敷金」の取り扱い
退去時の敷金は、修繕の有無にかかわらず、基本的に賃貸契約の終了後に返還されます。敷金は、いわゆる「担保」として入居者が大家・管理者に預けるお金であり、契約が終了したと同時に返されるべきお金であるためです。
このとき返還される金額は、入居時に支払われた分から入居中の債務を差し引いた額です。大きなトラブルや修繕なく賃貸契約を終えた場合は、敷金が満額返還されます。
一方、チェアの傷などがひどく、修繕費用が発生した場合は、敷金から修繕費用が差し引かれていきます。修繕の規模が大きいと、敷金は一切返ってこないため、日頃の部屋の使い方には十分気をつけなければなりません。
賃貸の傷ついた箇所を自分で修復するのはアリ?
「敷金が返ってこなくなるくらいなら自分で修繕したほうがまし」と考えている人もいるでしょう。しかし、自分で修復するのは可能な限り控えたほうがよいでしょう。
賃貸物件は入居者ではなく大家など管理者が管理するものです。借りている部屋を勝手に手直ししたり修繕したりするのは、望ましくありません。
生活レベルでつくような目立たない傷であれば気にする必要はありませんが、オフィスチェアやデスクの設置によって数箇所でのへこみや目立つような傷、壁紙の破損などが発生してしまった場合は、正直に大家・管理者へ相談するとよいでしょう。
まとめ
オフィスチェアの利用は仕事上のものであり、毎日使っていれば多少の傷がつく場合もあるでしょう。とはいえ、余計な支出をしたくないならできる限り傷はつけたくないもの。チェアマットやカーペットを敷いたり、キャスターのないチェアにして脚カバーをつけたりといった対策をしておきたいところです。
退去時に敷金が満額で返ってくるよう、在宅勤務での机や椅子での傷には十分注意しながら仕事に臨みましょう。
出典
法務省 2020年4月1日から賃貸借契約に関する民法のルールが変わります
執筆者:石上ユウキ
FP2級、AFP