更新日: 2024.08.23 その他暮らし
友人に「献血をするとモバイルバッテリーがもらえる」と聞きました。献血するだけなのに豪華すぎませんか? お菓子も食べられて「お得」だと思うのですが、なぜいろいろともらえるのでしょうか?
執筆者:橋本典子(はしもと のりこ)
特定社会保険労務士・FP1級技能士
献血はボランティア
献血とは、輸血が必要な人のために、健康な人が自分の血液を無償で提供することです。血液は人工的に作り出せないため、輸血には献血で集められた血液が使われています。
献血できる人は
献血は誰でもできるわけではありません。まず年齢の制限があり、例えば全血献血では、200ミリリットルは16歳から69歳まで、400ミリリットルは17歳(女性は18歳)から69歳までが対象年齢です。さらに体重や血圧、脈拍などにより、献血できないこともあります。
また、一定期間内にワクチン接種をした人、海外から帰国した人、妊娠中の女性や心臓病・がん・ぜんそくなどに罹患したことがある人も献血ができない決まりになっています。
血液は売買禁止
献血はボランティアですから、報酬は発生しません。1960年代までは民間の血液銀行が個人から血液を買い取っていましたが、時代を経て民間の血液銀行は消滅し、現在は日本赤十字社が行う献血により、輸血用の血液が供給されています。
なお現在は「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」により、買血は禁じられています。
献血の記念品
献血をするとジュースやお菓子などが提供されることは広く知られていますが、これは献血後の体力回復に向けた水分・糖分補給のためで、報酬ではありません。また以前は、献血をしてくれた人に図書券やクオカードが配られていましたが「金券=報酬」との考え方から廃止されたようです。
多数献血者への記念品
多数の献血をした人には、日本赤十字社の規定により表彰が行われています。献血の回数が10・30・50回など一定回数に達するごとに日本赤十字社から記念品が贈呈され、さらに200回など多数献血者には、感謝状も贈られています。
さまざまなキャンペーン
献血会場によっては、献血後にアイスクリームやドーナツ、ティッシュなどが配られたり、ネイルアートや占いなどのサービスが提供されたりしています。また各地でさまざまな献血キャンペーンが開催され、制汗剤などの日用品やキャラクターグッズ、自動車玩具や文房具などが記念品として進呈されています。
いくつか例を挙げると、2024年7月には神奈川県で初めて献血をする人向けのキャンペーンが開催され、先着順にモバイルバッテリーが贈られました。また大阪府では2回献血をした人を対象に「トミカ献血運搬車プリウスのミニカー」がプレゼントされたこともあります。
またラブラッド会員(ウェブの会員制献血予約サービス)向けに、血液バッグ型のエコカイロや保冷剤といった献血でしか手に入らないグッズも作られ、配布されました。その他にも、レトルトカレーやカップめんなど、キャンペーンごとにさまざまな記念品が出てきています。
献血記念品は売却不可
しかし現在、こうした献血記念品がしばしばネットオークションやフリマサイトなどに出品され、問題視されています。
東京都赤十字血液センターのサイトにも「記念品(グッズ)について、フリマアプリやオークションなどを含めた第三者への転売を禁止させていただきます」と明記されています。記念品の転売は、法律で禁じられている売血につながるとの考え方からのようですね。
まとめ
現在、輸血用の血液は献血によって確保されていますが、少子高齢化の影響もあってか潤沢とはいえない状況のようです。そのため若い世代に献血に興味をもってもらおうと、工夫を凝らした献血キャンペーンが開催されているのでしょう。
2023年末時点で、全国225ヶ所の施設で献血が行われ、2023年に献血をした人は、500万人を超えています。
献血はボランティアですが、記念品以外にも「血液検査の結果を知ることができる」というメリットもあります。献血をしたことがない人も、献血ルームの前を通ったら一度足を止めてみてはいかがでしょうか。
出典
日本赤十字社 献血について
e-Gov法令検索 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律
日本赤十字社 献血方法別の献血基準
日本赤十字社大阪府赤十字血液センター 大阪 血液事業の歴史
日本赤十字社 記念品の贈呈
日本赤十字社 令和5年血液事業統計資料
執筆者:橋本典子
特定社会保険労務士・FP1級技能士