更新日: 2024.08.25 その他暮らし
お札のデザインが変わるのはどのようなとき? 偽札対策になっているって本当?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
お札のデザインが変わる理由
お札のデザインが変わる理由は、主に偽造防止と使いやすさの向上のためです。偽造されたお金が広く出回ると、国民はお金を信用できなくなり、場合によっては被害を受ける恐れがあります。このため、紙幣は概ね20年ごとに偽造防止技術やデザインを変更しています。
2004年の発行では、5000円札の肖像は「新渡戸稲造」から「樋口一葉」へ、1000札は「夏目漱石」から「野口英世」へ変更されました。ただし、1万円札の肖像は、40年間変わらず「福沢諭吉」です。
2004年から使われている紙幣は2024年で20年が経過します。その間に民間の印刷技術が大幅に進歩しています。また、目の不自由な方や外国人にも使いやすいユニバーサルデザインが世界的な潮流です。これらを踏まえ、1万円券、5000円券、1000円券のデザインを改訂することが2019年4月9日に発表されました。
2024年7月3日に新しいお札が発行され1万円札「渋沢栄一」、5000円札「津田梅子」、1000円札「北里柴三郎」が発行されました。500円硬貨も2000年の発行開始から約20年が経過しているため、紙幣のデザイン改訂に合わせて、偽造防止技術を強化するために改鋳されることとなっています。
偽札対策の最新技術
お金には偽造防止のため、以下の技術が使用されています。
すき入れ:光に透かすと、肖像などの図柄が浮かび上がります。
すき入れバーパターン:光に透かすと、3本の縦棒が見えます。
パールインキ:お札を傾けると、ピンク色を帯びたパール光沢のある半透明な模様が現れます。
マイクロ文字:コピーでは再現が難しい微細な文字が印刷されています。
深凹版印刷:インキが高く盛り上がっており、手で触るとザラザラした感触があります。
潜像模様:お札を傾けると、見る角度によって数字が見え隠れします。
ホログラム:傾けると、画像の色や模様が変化して見えます。
2024年7月から発行された新紙幣に採用されている高度な技術
2024年7月から発行された新紙幣では、従来の偽造防止技術を引き続き使用し、以下のような高度な技術も追加されています。
●高精細すき入れ
●3Dホログラム
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
高精細すき入れ
新しい紙幣には、最新の高精細すき入れ技術が採用されています。従来の紙幣では明るい場所で柄が浮かび上がる仕様でしたが、新しい紙幣は肖像の周囲に細かな模様が浮かび上がる仕様です。最新の技術により、偽造防止がさらに強化されています。
さらに、肖像の透かしに加えてすき入れバーパターンと呼ばれる縦の棒の透かしが追加されており、1万円札には3本・5000円札には2本、1000円札には1本の棒の透かしが入っています。
3Dホログラム
1万円札と5千円札には、肖像画が3Dで表現され、角度によって回転するストライプ型の3Dホログラムが導入されています。この技術が紙幣に採用されるのは世界初のことです。
日本のすかし技術は世界最高水準
現行の日本銀行券には、偽造防止策の一環として「すかし」が採用されています。日本銀行券の「すかし」は、1885年(明治18年)に発行された最初の日本銀行券である「旧10円券」(通称「大黒札」)から採用されているのです。
「すかし」には、紙の厚さを部分的に薄くする「白すかし」と部分的に厚くする「黒すかし」があり、日本銀行券ではこの二つを組み合わせた精巧な「白黒すかし」が使用されています。この技術は手抄き和紙の伝統技術に支えられており、濃淡のコントラストがシャープで立体感があるため、世界でも最高水準です。
お札のデザイン変更の主な理由は偽造防止
お札のデザインが変わる理由はいくつかありますが、主な理由は偽造防止です。お札のデザインを定期的に変更することで、偽造が難しくなり、偽札の流通を防ぐことができます。お札のデザイン変更は約20年ごとに行われることが多く、最新の技術を取り入れて偽造防止を強化しています。
出典
財務省 なぜ紙幣や貨幣のデザインを変えるのですか
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー