更新日: 2024.09.04 子育て
学校における「スマホ没収」は合法?子どものスマホが「没収」されたときはどうしたらよい?
そこで本記事では、スマートフォンに関する学校の規則や、紛失に関する法律について紹介します。また、弁償を求めるための手続きや必要な証拠についても解説するため、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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そもそもスマートフォンの没収は合法?
学校でのスマートフォンを含む私物の没収は、生徒に対する懲戒に該当します。
生徒に対する懲戒は、学校教育法第十一条において「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」と定められています。
このことから、生徒に対する懲戒は「教育上必要がある」場合に限ったものであるということになるため、スマートフォンの没収も教育上必要であれば合法ということになります。
例えば、スマートフォンの持ち込みを認められていない生徒が学校に持ち込んだり、授業中に使用したりした場合などは、教育の支障となる恐れがあるため、懲戒として一時的にスマートフォンを預かることができます。
一方で、スマートフォンの持ち込みが認められており、教育に支障がない範囲で使用が許可されている場合には、懲戒としてスマートフォンを没収することは、違法になる恐れがあります。
スマートフォンに関する学校規則
文部科学省では、学校ごとにスマートフォンの取り扱いについて次のように定めています。
小学校:原則持ち込み禁止、個別の状況に応じてやむを得ない場合は例外的に認める
中学校:原則持ち込み禁止、個別の状況に応じてやむを得ない場合は例外的に認める
高等学校:校内における使用を制限すべき
また、中学校では一定の条件を満たし、学校または教育委員会を単位として持ち込みが認められるケースもあります。
・「生徒が自らを律することができるようなルールを、学校のほか、生徒や保護者が主体的に考え、協力して作る機会を設けること」
・「学校における管理方法や、紛失等のトラブルが発生した場合の責任の所在が明確にされていること」
・「フィルタリングが保護者の責任のもとで適切に設定されていること」
・「携帯電話の危険性や正しい使い方に関する指導が学校及び家庭において適切に行われていること」
紛失や長期間の没収は違法となるケースがある
生徒からスマートフォンを没収した場合、教育上必要と認められる理由であれば違法にはならないことが分かりました。しかし、長期間にわたって没収した場合には、生徒の財産を長期間占有することになるため、所有権や財産権の違反に該当する恐れがあります。
生徒の所有物を、授業中や下校までの期間に一時的に預かることに問題はないものの、下校時には返還するのが一般的です。また、没収した生徒の私物は対応した先生が適切に管理しなければなりません。没収期間中に紛失した場合には、財産権を侵害したとして、先生に対して損害賠償請求できる可能性があります。
国家賠償法に抵触する恐れも
財産権の侵害に加えて、国家賠償法に抵触するケースもあります。
国家賠償法第一条では、「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」と定められています。
また、「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」とも定められています。
このことから、没収したスマートフォンの保管・管理義務が発生し、先生の管理不足によって紛失した場合には、損害賠償請求できる可能性があります。
没収されたら証拠を残しておく
不当な没収や没収後の紛失・故障によって、自身が損をしないためにも記録しておく、預かり証を発行してもらうなどの対策が必要です。日付や時間、没収の理由、返却日時などを記録しておき、後々の証拠となるようにしておきましょう。
また、長期間返還されない場合には、両親やほかの先生に相談してみるのがおすすめです。紛失もしくは返還後に故障していた場合には、没収の記録とともに損害賠償請求し、弁償してもらう必要があります。
とはいえ、そもそも校則でスマホの持ち込みが禁止されている場合などは、そのルールに則ることが大切です。集団生活ではルールを守り、皆が気持ちよく過ごせるよう心がけましょう。
出典
e-Gov 法令検索 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第十一条
文部科学省 学校における携帯電話の取り扱い等について(通知)
e-Gov 法令検索 国家賠償法 (昭和二十二年法律第百二十五号)第一条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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