息子に「奨学金」を利用してもらう予定です。世帯年収「400万円」のわが家は申請に通らないでしょうか…?
配信日: 2024.09.04
そこで本記事では、奨学金を受給できる条件や奨学金の種類について詳しく解説します。今後、奨学金を利用したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金の種類と受給できる条件
日本学生支援機構には、2種類の奨学金制度があります。返済不要の「給付奨学金」と、返済が必要となる「貸与奨学金」です。
さらに、貸与奨学金の中には無利子の「第一種奨学金」と、有利子の「第二種奨学金」があります。
給付奨学金
返済不要の「給付奨学金」は、経済的な理由で大学や専門学校への進学を諦めないように、2020年4月からスタートした新制度です。世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず「学ぶ意欲」により支援を受けることができます。
給付奨学金の対象となれば、大学や専門学校などの授業料・入学金が免除または減額されます。
ただし、一定の要件を満たした大学・短期大学・高等専門学校・専門学校が対象となるため、進学を希望する学校が対象であるか確認しましょう。
給付奨学金の対象となる人は次の通りです。
●世帯収入や資産の要件を満たしている(住民税非課税世帯およびそれに準ずる世帯)
●進学先で学ぶ意欲がある学生などである(成績だけで判断せず、レポートなどで学ぶ意欲を確認)
なお、基準を満たす世帯年収は、家族構成などにより異なります。
貸与奨学金・第一種奨学金
無利子で利用できる「第一種奨学金」の受給条件は、「学力基準」と「収入基準」の2つです。
独立行政法人 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準」によると、大学・短期大学・専修学校への進学予定の学力基準は、「高等学校等における申込時までの全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.5以上あること」とされています。
ただしそれを満たさない場合は、次のいずれかに該当し、かつ「将来自立し、社会で活躍するために進学したいといった学習意欲がある」として学校から推薦されれば、学力基準を満たしたと認定され、対象となる可能性があるようです。
●生計維持者(原則父母)の貸与額算定基準が0円
●生計維持者が生活保護を受給している
●「社会的養護を必要とする人」(児童養護施設入所者、里親による養育を受けている者など)
なお、学習意欲の確認は、高等学校などにおいて面談やレポートの提出により行うようです。「収入基準」については、生計維持者(原則父母)が、表1の基準に該当する必要があります。
表1
希望する奨学金 | 家計基準 |
---|---|
第一種・第二種併用貸与 | 生計維持者の貸与額算定基準額が16万4600円以下であること |
第一種奨学金 | 生計維持者の貸与額算定基準額が18万9400円以下であること |
出典:独立行政法人 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第一種奨学金の家計基準」を基に筆者作成
貸与額算定基準とは、前年の収入に基づく住民税により算出された基準額です。この基準額が該当するかが審査されます。
貸与奨学金・第二種奨学金
有利子の「第二種奨学金」も、「学力基準」と「収入基準」の2つの基準で対象者が決められます。
大学・短期大学・専修学校へ進学予定の方の学力基準は、次のいずれかに該当しなければならないようです。
●高等学校または専修学校における学業成績が平均水準以上と認められる
●特定の分野において特に優れた資質能力を有すると認められる
●進学先の学校で学ぶ意欲があり、学業を確実に修了できる見込みがあると認められる
●高等学校卒業程度認定試験合格者である
また、「収入基準」は表2に該当する必要があります。
表2
希望する奨学金 | 家計基準 |
---|---|
第一種・第二種併用貸与 | 生計維持者の貸与額算定基準額が16万4600円以下であること |
第二種奨学金 | 生計維持者の貸与額算定基準額が38万1500円以下であること |
出典:独立行政法人 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準」を基に筆者作成
表1、表2より、第二種奨学金の基準額は、第一種奨学金より高くなっていることが分かります。
貸与奨学金の収入・所得の上限目安
第一種奨学金・第二種奨学金の「収入・所得の上限目安」について、表3にまとめました。
表3
世帯人数 | 想定する世帯構成 | 〇が給与所得者の世帯 | 〇が給与所得者以外の世帯 | ||
---|---|---|---|---|---|
世帯の年間の給与収入額 | 世帯の年間の給与収入額 | ||||
第一種 | 第二種 | 第一種 | 第二種 | ||
2人 | 本人、親A〇 | 761万円 | 1166万円 | 546万円 | 893万円 |
3人 | 本人、親A〇、親B(無収入) | 716万円 | 1113万円 | 536万円 | 879万円 |
4人 | 本人、親A〇、親B〇、中学生 | 803万円 | 1250万円 | 552万円 | 892万円 |
5人 | 本人、親A〇、親B〇、中学生、小学生 | 905万円 | 1334万円 | 629万円 | 958万円 |
出典:独立行政法人 日本学生支援機構「進学前(予約採用)の第二種奨学金の家計基準」を基に筆者作成
世帯年収400万円の場合は、どの世帯人数の場合でも収入・所得の上限内に収まっているため、「収入基準」においては審査が通るといえるでしょう。
上記の表は、あくまで目安となります。収入基準に該当するか詳しく知りたい場合は「進学資金シミュレーター」を利用しましょう。
世帯年収400万円の場合「収入基準」では審査が通る可能性が高い。ただし「学力基準」があるので学業成績も重要
世帯年収400万円の家庭の場合は、「収入基準」では審査に通る可能性があることが分かりました。ただし、「収入基準」のほかに「学力基準」も審査対象となるため注意が必要です。
高校在学中の成績や、大学進学後の「学ぶ意欲」が奨学金の審査に影響するため、学業がおろそかにならないようにしましょう。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構
進学前(予約採用)の第一種奨学金の学力基準
進学前(予約採用)の第二種奨学金の学力基準
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー