「退去するときに結局、清掃費用を請求されるから」と言って友人が全くアパートの掃除をしません。最低限の掃除はしておいたほうがよいと思いますが、退去時のトラブルではどんなことが多いのでしょうか?

配信日: 2024.11.05

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「退去するときに結局、清掃費用を請求されるから」と言って友人が全くアパートの掃除をしません。最低限の掃除はしておいたほうがよいと思いますが、退去時のトラブルではどんなことが多いのでしょうか?
「原状回復費用」をめぐるトラブルは、現在も定期的に話題となります。平成10年に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が定められましたが、それでもトラブルがなくなることはありません。
 
本記事では、賃貸物件退去時のトラブルで多い事例や、掃除を全くせずに退去するデメリットなどを紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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賃貸物件の退去時トラブルランキング

株式会社AlbaLink(東京都江東区)が、賃貸物件の退去時にトラブルを経験したことがある304人を対象に実施した「賃貸物件退去時のトラブルに関する意識調査」(調査期間:2023年10月29日~11月12日)によると、賃貸物件のトラブルで最も多いのは「室内の傷・汚れを指摘された(104人)」、次いで「元々あった傷・汚れを指摘された(66人)」、「経年劣化の傷・汚れを指摘された(29人)」との結果を得られました。
 
室内の傷や汚れは、「落書き」「家具をぶつけて傷をつくった」「掃除を怠ってカビが生えた」などが実例として挙げられています。生活をしていると、過失で部屋を傷つけてしまうケースは珍しくありません。中には「子どものしたことだから」「故意ではないから」といった理由で、クリーニング代を払い渋る人も珍しくないでしょう。
 
退去時のクリーニング代の請求は、大家や管理会社の裁量によって決まる場合もあり、トラブルが発生しやすくなっています。
 

トラブルの予防に「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を知っておこう

建設省(現・国土交通省)は、平成10年3月、原状回復の費用負担等のあり方等について、トラブルの未然防止の観点から現時点において妥当と考えられる一般的な基準をとりまとめたガイドラインを制定しました。ガイドラインによると、原状回復について以下のとおりに記載されています。
 
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用による損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました。
⇒ 原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことを明確化
 
具体例を挙げると、紫外線による畳の劣化などは必ず発生する経年劣化のため、「原状回復義務」に含まれません。一方、「喫煙による壁の汚れ」「子どもの落書き」などは賃借人の故意・過失で善管注意義務違反に当たるため、原状回復義務が生じます。
 
ただし、ガイドラインには法律上の強制力はなく、大家さんや管理会社の裁量に任されている部分もあります。したがって、賃貸物件を契約する場合はどのような傷や汚れが原状回復に当たるのか、よく確認しておきましょう。
 

清掃を全くしなかった場合は清掃費を別途請求される可能性がある

例えば、賃貸物件に居住しているときに全く掃除をしないと、ホコリやゴミだけでなくカビをはじめとする落ちない汚れが発生します。賃貸物件が度を越えて汚れた場合、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損に該当する可能性があります。
 
特に水回りを掃除しないとカビやぬめり、黒ずみなどが発生して非常に不衛生な状態となり、原状回復するための費用や手間がかかるでしょう。クリーニング代を請求される可能性も高いです。
 
毎日ピカピカにする必要はありませんが、快適に暮らせる程度の掃除は必要です。
 

退去時のトラブルを防ぐために最低限の掃除はしておくのがおすすめ

現・国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、経年劣化に対して原状回復の義務はありません。しかし、通常の掃除を怠ってカビや黒ずみなどが大発生した場合は、通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損に当たる可能性があります。
 
退去後のクリーニングは、物件の付加価値を上げて借り手がつきやすくするためのものであり、住人がつけた汚れを掃除するものではありません。気持ちよく暮らすためにも、普段から通常の掃除は行ったほうがよいでしょう。
 

出典

株式会社AlbaLink 【賃貸物件の退去時トラブルランキング】経験者304人アンケート調査
国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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