車を友人宅の前に停めていたら「駐禁」を切られた! でも「違反点数」を加算されないこともあるって本当ですか? 反則金だけの場合もあるのでしょうか?
配信日: 2024.11.12
少しくらいなら大丈夫だろうと思っていたら、「駐禁」を切られてしまったという経験がある人もいるかもしれません。本記事では、駐禁(駐車禁止)とはどのような違反なのか、違反後の対応と併せて解説します。
執筆者:古澤綾(ふるさわ あや)
FP2級
「駐禁」とはどのような違反?
一般的に「駐禁」といわれる違反は、次の2つのことを指します。
・駐停車違反
・放置駐車違反
「駐停車違反」は、駐停車禁止場所に車を止めており、運転者が車内にいてすぐに移動できる場合をいいます。警察官が移動を命じた際に、その場で青切符が切られます。
「放置駐車違反」は、駐車禁止の場所に車を止めていて、運転者が車から離れており、すぐに車の移動ができない状態です。この場合は、警察官などによって「放置車両確認標章」という黄色のステッカーが貼り付けられます。
なお、駐停車が短時間であったり、ハザードランプを点滅させていたりしても考慮されません。駐禁の違反点数と反則金は図表1のとおりです。
図表1
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表と交通違反の点数一覧表 を基に筆者作成
駐禁の反則金を支払う流れ
放置駐車違反で黄色のステッカーが車両に取り付けられた場合、車の所有者ではなく運転者が警察署等に出頭して反則金を納めなければなりません(車の所有者と運転者が異なる場合)。しかし、運転者によって反則金が納付されない場合は、車の所有者に対して「放置違反金納付命令」が行われます。
運転者が出頭した場合と、出頭しない場合では手続きの流れが変わる点に注意が必要です。
放置駐車違反では、運転者が出頭した場合、「交通反則切符(青切符)」等により処理されます。青切符は、受け取った日から8日以内に銀行や郵便局で反則金を納めなければなりません。反則金を納付すれば、刑事裁判や家庭裁判所の審判の回避が可能です。
運転者が反則金を納付しない場合は、「放置違反金制度」の手続きに移行します。こうなると運転者ではなく、車の所有者への責任が追及されるため車の所有者が放置違反金を納付しなければなりません。
大前提として、運転者がすぐに出頭して反則金を納めなければなりません。しかし、運転者が納付しないまま放置違反金制度へ移行し、車の所有者が放置違反金を納付した場合、車の所有者は違反点数を加算されずに反則金の納付だけで済みます。
反則金を支払わなかった場合の罰則
放置違反金納付命令は道路交通法第51条の4 第4項に基づいた行政制裁であり、納付されない場合は次のような措置が行われます。
・督促状による督促
・車検拒否
・延滞金の加算
・滞納処分
車検を受ける場合は、違反金の納付を証明する書類を提出しなければ受けられません。ペイジーなどの支払いでは領収書の発行ができないため、必ず金融機関の窓口で納付する必要があります。また、違反金を滞納すると預貯金などの財産を差し押さえられ、強制的に徴収されるケースもあります。
まとめ
駐禁には駐停車違反と放置駐車違反があり、それぞれ違反点数や反則金の額が異なります。いずれの場合も車の所有者ではなく、運転者に反則金の納付義務があります。駐停車違反のときは運転者がその場で青切符を切られますが、放置駐車違反のときは黄色いステッカーが貼られます。
運転者が出頭せず反則金を納付しない場合は、放置違反金制度に移行するため車の所有者に放置違反金の納付義務が発生します。
しかし、車の所有者は反則金の支払い義務のみが発生し、違反点数の加算はありません。ただし、駐禁では運転者が反則金を納付するのが大前提です。そもそも、駐停車禁止場所では駐停車しないように気をつけましょう。
出典
警視庁 反則行為の種別及び反則金一覧表
警視庁 交通違反の点数一覧表
e-Gov法令検索 道路交通法
埼玉県警察 車両の使用者に対する放置違反金納付命令について
執筆者:古澤綾
FP2級