家電量販店で値引き交渉しようとしたら「メーカー指定価格なのでお値下げできません」と言われました。値引きしてもらえない商品もあるのでしょうか?
配信日: 2024.11.14
しかし、商品によっては「メーカー指定価格なので値下げできません」と言われることもあるようです。なぜこのような商品があるのか、疑問に思われることもあるかもしれません。
本記事では、値引きの対象にならない「指定価格商品」について、独占禁止法に違反しない理由や、購入する側のメリットも含めて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
独占禁止法ではメーカーが販売店に対して小売価格を指定することは禁止されている
指定価格制度について調べる前に、独占禁止法の内容を確認しておきましょう。
独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)第19条では「事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない」と定められています。「不公正な取引方法」については同法第2条第9項に記載されていますが、その中の第4号において再販売価格の拘束は禁止されており、例えばメーカーは販売店での小売価格を指定してはならないと決められています。
なぜこのようなことが法律で定められているのかというと、販売店が安売りをすることで商品が値崩れすることをおそれ、メーカーが販売価格を指定しようとすることが実際にあるためです。このようなことが起こると価格競争が阻害されてしまうため、独占禁止法で禁止されているというわけです。
メーカーが価格を指定できる「指定価格商品」とは?
2020年には、メーカーが家電の販売価格を指定できる「指定価格制度」をパナソニック株式会社が開始しました。2024年現在、株式会社日立製作所も一部の製品に指定価格制度を導入しているようです。
この制度は販売店における自社製品の販売価格をメーカーが指定できるようにするもので、「売れ残りが出た場合はメーカーが在庫リスクを負う」ということを条件としています。指定価格商品となっている家電製品については、販売店は顧客からの値引き交渉があっても対応できません。
指定価格商品が売れ残った場合は販売店がメーカーに在庫の引き取りを求めることが可能になることで、独占禁止法に違反しないと考えられています。
指定価格商品を購入するメリット
家電量販店で「メーカー指定価格なので値下げできない」と言われると損をした気分になるかもしれませんが、指定価格商品にもメリットがあるという考え方もできるでしょう。
家電を購入する際は複数の店舗を回ったりインターネットで最安値を検索したりして、少しでも安く買おうとする人もいるようです。しかし、指定価格商品はどこで買っても同じ価格なので、安い商品を探す手間や時間が省けます。
店員さんに話しかけることに苦手意識を感じながらも、お得に購入するために仕方なく値引き交渉をしている人にとっても、プレッシャーから解放されるというメリットがあるかもしれません。
そのため、欲しい家電が指定価格商品になっているからといってすぐに候補から外すのではなく、メリットも含めてどうすべきか検討してみるとよいでしょう。
指定価格商品に該当するものは値引き交渉しても応じてもらえない
独占禁止法でメーカーが販売店での家電の販売価格を指定することは禁止されていますが、売れ残った在庫をメーカーが引き取るという条件で価格を指定できる制度のことを「指定価格制度」といいます。2024年現在はパナソニック株式会社と株式会社日立製作所がこの制度を導入しているようです。
指定価格商品は家電量販店で値引き交渉をしても応じてもらえませんが、どの店舗で買っても同じ値段なので比較する手間が省けるなどのメリットもあります。交渉に成功しなければならないというプレッシャーから解放されることをメリットに感じる人もいるでしょう。このような点も踏まえたうえで、購入する製品を選ぶことをおすすめします。
出典
e-Govポータル法令検索 昭和二十二年法律第五十四号(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律) 第一章 第二条第九項第四号、第五章 不公正な取引方法 第十九条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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