更新日: 2019.07.02 その他暮らし

入院した際の「食費」や「居住費」の負担を軽減するしくみ

入院した際の「食費」や「居住費」の負担を軽減するしくみ
医療機関に入院して食事の提供を受けた場合、食事代がかかります。また、65歳以上の方が療養病床など長期に入院する病床に入院した場合、食事代のほかに居住費もかかります。長期入院ともなれば、食事代と居住費の負担も家計に重くのしかかります。
 
そこで、これら食費と居住費について、低所得世帯などに対し、自己負担を軽減するしくみがあります。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

入院時食事療養費と自己負担額の軽減制度

入院した際の食事代は「入院時食事療養費」と呼ばれます。食事代は全国一律で定められています。通常、1食640円です。このうち患者が負担する食事代は、2018年4月以降1食460円になり、残りの180円は保険者から医療機関に支払われます。
 
例えば、10日間入院し、1日3食の食事を提供された場合、13,800円(460円×3食×10日)が患者の自己負担額となります。なお、糖尿病患者等に特別の治療食を提供した場合には「特別食加算」が付加されます。
 
上述のとおり、食事代の自己負担額は通常1食460円です。ただし、指定難病に該当する患者や、住民税非課税世帯等の低所得者区分に該当する患者には、さらに自己負担額が軽減されるしくみがあります。
 
例えば、指定難病に該当すれば、1食260円に軽減されます。また、低所得者区分に該当する場合は、1食210円~100円に軽減されます(図1参照)。
 

 

入院時生活療養費と自己負担額の軽減制度

療養病床(主に慢性期の疾患を扱う病床)などに65歳以上の患者が入院した際には、先述した食費の他に居住費に相当する費用もかかります。食費と居住費を合わせて、「入院時生活療養費」と呼びます。
 
食費は1食554円、居住費は1日398円かかります。しかし、一部は保険支給され、患者の自己負担は、原則、食費については1食460円、居住費については1日370円となります。例えば、1ヵ月(30日)入院すると、患者負担は52,500円(30日×(460円×3食+370円))となります。
 
ただし、「入院時食事療養費」同様、指定難病に該当する患者や、住民税非課税世帯等の低所得者区分に該当する患者には、さらに自己負担額が軽減されるしくみがあります(図2参照)。
 

 

留意事項

低所得者世帯で、負担軽減を受けたい方は、入院する前に保険者に対して「減額認定証」の申請を行ってください。「減額認定証」を医療機関の窓口で保険証とともに提示することで、食事代などが軽減されます。
 
なお、入院時食事療養費・生活療養費の自己負担額は、高額療養費制度(医療費の自己負担が一定の上限額を超える患者に対して、その上限を超える額を支給するしくみ)の対象外です。貯蓄や民間の医療保険などで備える必要があります。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー
 

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