毎月の生活が苦しいので「生活保護」を受けているシングルマザーです。教育資金を貯めておきたいのですが…受給中の「貯金」はダメでしょうか?
配信日: 2024.12.03
今回の事例のように「シングルマザーなので生活保護を受けながら教育資金を貯めたい」というときはどうすればいいのか、確認しておきましょう。
本記事では、生活保護の概要を始め、受給中の貯金について詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
生活保護を受けていても貯金はできる?
生活保護は最低限の生活を送るために必要な費用が支給される制度なので、「保護を受けながら貯金することは認められていない」と思われる可能性があります。しかし、規則や法律などで禁止されていないため、生活保護をもらいながらやり繰りして貯金することは基本的に問題ないといえるでしょう。
実際に、厚生労働省の「生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて」には、預貯金が生活保護受給開始時に保有していたものではなく、不正な手段で貯めたものではないと判断できる場合は、保有してもいい旨が記載されています。ただし、貯金の使用目的を確認し、生活保護の趣旨目的に反しないと認められる場合に限るということです。
今回の事例は「シングルマザーで子どもの教育資金を貯めたい」ということですが、これについても「生活保護の趣旨目的に反しない」と判断できるため、保有が認められると考えられます。
生活保護受給中に貯金する場合の注意点
生活保護受給中に貯金するにあたって、注意点を確認しておきましょう。
まず、貯金の上限額については法律では明確に決められていませんが、自治体によっては決められているところもあるようなので、事前に確認が必要です。個別に判断される場合もあるため、担当のケースワーカーに相談してみるといいでしょう。
また、生活保護受給中に保有することが認められていない物品を購入するために貯金している場合などは「最低限度の生活を維持するために必要な資産」とみなされず、保護が打ち切られる可能性もあるので注意が必要です。生活保護受給中の貯金はケースワーカーに申告しなければならないため、タンス預金などで隠すようなことはしないようにしましょう。
生活保護を受給するための条件とは?
生活保護受給中の貯金は、「その貯金が生活保護受給開始時に保有していたものではない」と認められる必要があります。生活保護は「保有している資産を活用しても収入が最低生活費に満たない場合」に、その差額分が支給されるものなので、もともと貯金がある場合はその貯金を生活のために使ったうえで、それでも生活費が不足する場合に受給可能です。
そのほかにも、生活保護の受給要件には以下のようなものがあるので確認しておきましょう。
・生活に利用していない土地や家屋を保有していないこと
・働けない、または、働いても収入が最低生活費を下回っていること
・年金や手当などの給付を受けても必要な生活費を得られないこと
また、親族などから援助を受けられる場合は、生活保護より優先しなければならないようです。
生活保護受給中であっても貯金が認められる場合はある
生活保護を受給していても、その趣旨目的に反しない場合であれば貯金することは認められています。そのため、今回の事例のように「シングルマザーなので生活保護を受けながら子どもの教育資金を貯めたい」という場合は、問題なく貯金できる可能性があります。
ただし、貯金の上限が決められている場合があったり、ケースワーカーへの申告が必要になったりすることなどの注意点もあるので、事前に確認が必要です。あわせて、そのほかの生活保護受給要件にはどのようなものがあるのかをチェックしておくこともおすすめします。
出典
厚生労働省 生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて 問18の2
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー