伯父から「生活保護」扶養照会の連絡が! 援助が「月1万円」くらいしかできないなら断るべき? 支援は「電話」や「メール」だけでも大丈夫なの?
配信日: 2024.12.07 更新日: 2024.12.09
本記事では、扶養照会の概要、援助をしたら生活保護は受けられなくなるのか、援助できないときやしたくないときはどうすればよいのかなどを解説します。
執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)
2級ファイナンシャルプランニング技能士
目次
扶養照会とは
扶養照会とは、生活保護が申請された際に、担当者から申請者の配偶者や三親等内の親族などに、経済的援助や精神的援助が可能か確認することです。三親等内の親族とは、親や子、祖父母や孫、おじ・おば、おい・めいです。
ただし、これらの配偶者や親族に必ず照会がおこなわれるわけではありません。例えば、以下の場合などでは「扶養が期待できない」と判断され、照会がおこなわれないことがあります。
●DV被害にあっている
●10年程度音信不通
●借金を重ねている、相続での対立などで関係が悪い
●未成年や70歳以上の高齢者
●長期入院患者
ただし、実際にどこまで照会するのかは、申請先自治体の判断によるところが大きいようです。
経済的援助をすると生活保護は受けられなくなる?
月に1万円ほどなら援助が可能だった場合は、生活保護が受けられなくなるのでしょうか?
そのようなことはありません。月1万円での生活は不可能であるため、生活保護は受給可能です。
ただし、援助の分が生活保護費から減額されます。例えば、東京で高齢者単身世帯の生活扶助基準額は7万7980円ですが、月に1万円援助があるのなら、受給される金額は1万円減額された6万7980円です。
援助が難しいときはどのように回答すべき?
自分の生活に精いっぱいで、援助が無理なときにはどうしたらよいのでしょうか。経済的援助が無理でも、精神的援助が可能であれば支援してあげるのがよいでしょう。
精神的援助には、定期的な訪問や電話・メールなどでの連絡などが該当します。この程度の支援であればそれほど負担にもならないため、生活保護申請者との関係が悪くなければ、十分可能ではないでしょうか。
援助したくないときはどのように回答すべき?
申請者との関係が悪い場合などは、経済的な余裕があっても援助をしたくないこともあるでしょう。そのようなときには、援助ができないと回答しても問題ありません。
ただし、無視をしていると申請手続きが遅れる可能性もあるため、拒否するなら早めに拒否の回答をしましょう。
扶養照会を受けた際にやらないほうがよいこと
自分にそれほど経済的余裕がないにも関わらず、扶養照会を受けて「自分が扶養する」と回答することは避けたほうがよいです。なぜなら、きちんと扶養できなければ、お互いが苦しくなる可能性が高いからです。
生活保護は、生活扶助として生活費が支給されるだけでなく、家賃が援助される「住宅扶助」や本人負担なしで医療・介護サービスが受けられる「医療扶助」「介護扶助」なども受けられます。それら全てを含めた援助ができるのであれば問題はありませんが、できないのであれば生活保護を受けてもらったほうがお互いにとって幸せです。
もちろん先ほども説明したように、できる範囲で金銭的援助を行うことは問題ありません。
まとめ
生活保護を申請すると、配偶者や親族に支援等が可能かどうかを確認する扶養照会が行われます。基本的には三親等内ですが、照会される範囲はケースバイケースです。
可能かどうか確認される援助には、金銭的援助と精神的援助があります。金銭的な援助をした場合は、その分が生活保護費から差し引かれます。金銭的援助が難しい場合は精神的援助も可能です。ただし、自分の生活に余裕がないにも関わらず扶養する道を選ぶと、お互いが不幸になる可能性があるため注意しましょう。
出典
厚生労働省社会・援護局保護課 生活保護制度について
厚生労働省 「生活保護制度」に関するQ&A
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士