自転車に傘を固定していたら「罰金」に!「片手運転」していたわけではないのになぜでしょうか?
配信日: 2024.12.10
傘を手に持ちながらの運転だと、両手でしっかりハンドルを握っているときのようにはバランスが保てません。そのためリスクがあると感じる人は多いでしょう。
しかし今回のケースのように傘スタンドを使って固定する場合、両手が空くため安全のように思えます。それにもかかわらず、相談者のケースでは罰金を科せられたそうです。
じつは傘スタンドを使ってもペナルティを科されることがあります。本記事では運転時の傘の利用に関連する法律について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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傘さし運転に関する法律
傘さし運転に関連しそうな法律を振り返っておきましょう。道路交通法には以下のような規定があります。
・第70条
車両(自転車)の運転手はハンドルやブレーキその他の装置を確実に操作して、周りに危険のない速度と方法で運転する必要がある
・第71条6号
公安委員会が交通安全を図るために必要と認め定めた事項に従わなければならない(例:宮城県道路交通規則では傘をさしながらの運転は禁止)
・第55条
車両の運転者は視野を妨げるような積載をしてはいけない
これらの法律を見ると、傘さし運転は法令違反とみなされる可能性が高いでしょう。地域によっては明確に禁じられているところもあります。
片手で傘をさしながら運転するとバランスを崩しやすくなります。強い風が吹いているときはなおさらです。また傘が視界をさえぎって目の前の危険に気づけないリスクもあるでしょう。
さらにいえば、傘を周りの人にぶつけてしまったり、風で飛ばされた結果誰かにぶつかったりなど、自分以外の人にも危険が及ぶかもしれません。
傘スタンドの使用でも法令にひっかかる!?
一方傘スタンドを使えば安全な気がするかもしれませんが、じつはスタンドが使えないケースもあります。また禁止されてはいないものの、条件を満たさないと違反になるケースもあります。それぞれの例をご紹介します。
地域によっては傘スタンドの使用が禁止されている
三重県道路交通法施行細則第16条1号には以下の通り明記されています。
かさをさして(車体に固定した場合を含む。)、自動二輪車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと。
このように傘スタンドで傘を固定することも禁じている地域があります。今回の相談者の例も、そのような地域で傘スタンドを使用してしまったのかもしれません。
条件によっては違反となるケース
傘スタンドの使用に一定の制限を設けているケースもあります。例えば大阪府道路交通規則第11条4号では、積載物のサイズについて以下の範囲を超えないよう規定しています。
長さ 積載装置の長さに0.3メートルを加えたもの
幅 積載装置の幅に0.3メートルを加えたもの
高さ 2メートルから積載をする場所の高さを減じたもの
傘スタンドを使っても積載装置から幅や長さが0.3メートルを超えるか、高さが2メートルを超えてしまうと、違反になるようです。大きいサイズの傘には注意が必要です。
法令に違反した場合の罰金はいくら?
道路交通法第70条に違反すると、3ヶ月以下の懲役か5万円以下の罰金に処せられるおそれがあります。また第71条6号および該当する公安委員会の規則に違反すると、5万円以下の罰金に処せられるかもしれません。
傘スタンドを使っての両手運転でも罰則対象になる可能性はある
片手運転ではなく傘スタンドを使った両手運転であっても、地域によっては罰則対象になる可能性があります。住んでいる地域の公安委員会規則がどうなっているか、一度チェックすることをおすすめします。
またスタンド使用が許されている場合でも、傘を固定することでバランスを崩したり視界がさえぎられたりするのであれば、使用は避けたほうがよいでしょう。
出典
三重県警察 三重県道路交通法施行細則 第16条1号
大阪府 大阪府道路交通規則 第11条4号
デジタル庁 e-Gov法令検索 道路交通法 第119条
デジタル庁 e-Gov法令検索 道路交通法 第120条10号
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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