飲酒運転の罰則は「酒気帯び」「酒酔い」となぜ段階的?その背景を解説

配信日: 2024.12.11

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飲酒運転の罰則は「酒気帯び」「酒酔い」となぜ段階的?その背景を解説
飲酒運転に関する罰則は段階的に設定され、法改正を行うたびに重くなっていますが、現在はどのような罰則を科されるのか把握できていない人もいるでしょう。
 
そこで今回は、飲酒運転による罰則の再確認と法改正による厳罰化の歴史、その効果を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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飲酒運転による主な罰則を確認

飲酒運転の主な罰則には、酒気帯び運転と酒酔い運転の2種類があり、アルコールの摂取量や正常に運転できるかでどちらに該当するかを判断します。現在の飲酒運転による罰則を確認しましょう。
 

酒気帯び運転

酒気帯び運転の罰則と行政処分は、表1の通りです。
 
表1

呼気中のアルコール濃度
(1リットルあたり)
罰則 行政処分
0.15ミリグラム以上0.25ミリグラム未満 3年以下の懲役
もしくは
50万円以下の罰金
違反点数:13点
免許停止(90日間)
0.25ミリグラム以上 違反点数:25点
免許取消(2年間再取得不可)

※警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」を基に筆者作成
 
酒気帯び運転とは、呼気中(1リットルあたり)のアルコール濃度が0.15ミリグラム以上の状態で運転することを指します。アルコール濃度が高くなると重い罰則を受け、免許取消処分となる可能性があるため注意が必要です。
 
ルール上、呼気中(1リットルあたり)のアルコール濃度が0.15ミリグラム未満では、違反に該当しないようです。ただし、酒気帯び運転をしていることに変わりはないため、厳重注意を受けるでしょう。
 

酒酔い運転

酒酔い運転の罰則と行政処分は、以下の通りです。

●罰則:5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
●行政処分:違反点数35点、免許取消処分(3年間再取得不可)

酒酔い運転とは、アルコールの影響を受けて車の運転を正常に行えない状態を指します。さらに、アルコールの摂取量は関係ないようで、呼気中(1リットルあたり)のアルコール濃度が0.15ミリグラム未満でも酒酔い運転と判断されるケースもあり得るでしょう。
 
酒酔い運転の判断基準は、以下の状態だといわれています。

●直線上をまっすぐに歩けない
●明らかに呂律が回らず、うまく話せない
●質疑応答がうまくできない

アルコールを摂取して、以上のような状態で運転すると危険なうえ、アルコール濃度に関係なく処罰を受ける可能性があるため、絶対にやめましょう。
 
また、粕漬けなどを食べたあとに検査をするとアルコールが検出される可能性があります。そのため、アルコールを含む食品を食べたあとは運転を控えましょう。
 

飲酒運転をした運転手以外の罰則

飲酒運転による罰則は、酒を飲んで運転したドライバーだけではなく、車を提供した人やお酒を提供した人、同乗者にも与えられます。運転手以外の罰則は表2の通りです。
 
表2

罰則(酒気帯び運転) 罰則(酒酔い運転)
車を提供した人 3年以下の懲役
もしくは50万円以下の罰金
5年以下の懲役
もしくは100万円以下の罰金
お酒を提供した人 2年以下の懲役
もしくは30万
3年以下の懲役
もしくは50万
飲酒運転をしている車に同乗した人

※警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」を基に筆者作成
 
現状のルールでは、ドライバーにお酒を提供していたり、お酒を飲んでいる人に車の運転をさせたりする人も罰せられます。さらに、お酒を飲んでいるドライバーの車に同乗することも禁止です。
 

飲酒運転に伴う法改正の歴史

1960年に初めて飲酒運転に関する規定「アルコール濃度0.25ミリグラム以上のケースでは運転禁止」ができたものの、罰則はなかったようです。1970年に罰則ができ、当時は酒気帯び運転のアルコール濃度の基準が0.25ミリグラム以上だったようです。
 
また、酒酔い運転は、2年以上の懲役もしくは10万円以下の罰金と、現在よりも軽い罰則だったといわれています。
 
1999年に東名高速道路で起きた大型トラックの死亡事故がきっかけで2002年に法改正が行われ、酒気帯び運転の基準が0.15ミリグラム以上となり、酒酔い運転の罰金も50万円以下となりました。
 
さらに、2006年に福岡市で起きた、市職員による追突死亡事故により厳罰化が進み、2009年には現行のルールが適用されています。
 

飲酒運転の厳罰化による効果は

複数回にわたる法改正により飲酒運転の厳罰化が進んだことで、飲酒運転による取り締まり件数の減少が見られるようです。2002年の法改正をきっかけに飲酒運転の減少傾向が強くなり、2007年の法改正によりさらに減少が進んでいる可能性があります。
 
また、運転手だけではなく車やお酒の提供者、同乗者まで処罰を受けることになり「飲酒運転=厳罰」のイメージが強くなったといえるでしょう。
 
2009年以降、飲酒運転による違反は減少傾向にあるようです。交通事故の件数も減少傾向にあるため、厳罰化の効果はあると考えられるでしょう。
 

飲酒運転の罰則は厳しくなったものの、すべて厳罰化されるとは考えにくい

飲酒運転による重大な死亡事故が起こり、複数回の法改正が行われ、飲酒運転の厳罰化が進んでいます。アルコールが入った食べ物でも飲酒運転と同様の処罰を受ける可能性があるため、該当する食べ物を口にした場合は、運転を控えましょう。食品に含まれていたとしても、アルコール成分を摂取すると飲酒運転にあたるケースもあるためです。
 
ただし、飲酒運転に関するすべての項目が厳罰化されるとは限りません。実際に飲酒をしていなくても、アルコールを微量でも含むものを食べた場合は、検査によって検出される可能性があります。このようなことが関係し、すべて厳罰化されるとは考えにくいといえるでしょう。
 

出典

警察庁 みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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