マンションの大家をしているのですが、ゴミの分別をしない人がいて困っています。仮の話ですが、罰金を科すことはできないのでしょうか?よい解決方法があれば教えてください…。
配信日: 2024.12.18
また、どのようにして住民にごみ分別を徹底させることができるのでしょうか。今回は、法律的な視点と実践的な対処法を紹介します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
ごみを分別しないことが引き起こす問題
マンションの入居者がごみを分別しないことが引き起こす問題は3つあります。
環境問題への影響
ごみを分別しないと、環境への悪影響が広がります。リサイクル可能な資源(紙やプラスチックなど)を適切に処理しないと、ごみの量に合わせて焼却処分のための資源を増やす必要があること、木材の需要に応えるために森林伐採が進むことで、二酸化炭素が増加します。地球温暖化を進める原因となり得るため、住民一人一人の分別意識が重要です。
回収してもらえないというリスク
一部の自治体では、ごみが適切に分別されていない場合、回収してもらえないことがあります。回収してもらえないと、次のごみの日までそのごみを保管しなければならず、特に夏場では悪臭や害虫の問題が生じる恐れがあります。放置されたごみが増えると、周辺住民の生活にも支障が出る可能性があるため、分別の重要性を事前に理解してもらうことが大切です。
マンションの治安悪化と居住者の引越し
ごみ置き場は住民が頻繁に利用する場所であり、分別が守られないと悪臭が漂い、居住環境が悪化します。
これがストレスとなり、住民が引越しを考える原因になりかねません。大家としては、居住者が引っ越すことによって空き部屋が増えてしまうと、収入の減少につながるため避けたいところです。そのため、快適にごみ置き場を使える環境づくりが求められます。
自治体別のごみ分別に関する罰則
ごみの分別に関する罰則は、自治体ごとに異なります。例えば、横浜市では、分別指導を繰り返しても改善が見られない市民や事業者に対し、2000円の過料を科す制度を2008年5月1日から実施しているのです。
尼崎市では、リサイクル可能な紙類などの資源を適切に分別するため、市が定めたごみ処理計画に基づいて分別を行うよう、市民や事業者に義務付けています。段階的に指導や勧告を行い、それでも改善されない場合には、最終的に2000円以下の過料が科せられることがあります。
マンション住民にごみ分別を徹底させる方法
マンション住民にごみ分別を徹底させる7つの方法をご紹介します。
入居時に分別に関する資料を配布する
新しい住民が入居する際に、ごみの分別ルールを記載した資料を手渡すことで、分別の重要性を最初から伝えることができます。
分別していないことが発覚した際に指摘する
もしごみが正しく分別されていない場合、そのことを丁寧に指摘し、再発防止のために改善を促すことが必要です。
掲示板に注意喚起を掲示する
マンション内の掲示板にごみ分別の重要性を記した注意文を掲示し、住民に定期的に意識を高めてもらうことが効果的です。
ごみ分別の必要性や利点を説明する
住民に対して、ごみを正しく分別することが環境保護や生活の質向上にどうつながるか、その理由やメリットを説明することが大切です。
分別違反には罰則があることを伝える
ごみの分別を守らないことが罰金につながる可能性があることを伝えましょう。
ごみ置き場を常に清潔に保つ
ごみ置き場が清潔で整頓されていることで、住民の分別意識が高まり、きれいな状態を保ちやすくなります。
ごみ分別エリアに防犯カメラを設置する
不正に分別されていないごみが放置されることを防ぐため、ごみ置き場に防犯カメラを設置することが効果的です。
ごみの分別をしない人に対する罰金について
廃棄物処理法第16条では、不適切に廃棄物を捨てることを禁止しています。そのため、ごみの分別をしなかったり、ルールに従わない形でごみを出したり、定められた収集日以外にごみを出すと、理論上は廃棄物処理法違反に該当し、処罰を受ける可能性があります(法定刑は5年以下の懲役、1000万円以下の罰金、またはその両方)。
住民への罰金請求の注意点
マンションの大家がごみの分別を守らない住民に罰金を課したとしても、法的な根拠が十分でないとして支払ってもらえない可能性があります。たとえ「ごみの分別違反は1回ごとに1000円の罰金」と規約に書いていても、裁判所に妥当と判断してもらえなければ、望んだ結果にならない可能性が高いということです。
マンションの大家として、ごみの分別をしない住民に対して罰金を科すことは法律的には難しい
自治体の規定に従ったごみの分別は住民の義務であり、罰金を科す権限は自治体にあります。そのため、大家として直接罰金を課すことは難しいでしょう。
マンションのごみ分別を徹底させるためには、住民への指導とルールの徹底が重要です。どうしてもごみ分別のルールに従わない住民がいる場合は、自治体の窓口に適用できる法律がないかを相談するとよいでしょう。
出典
横浜市 分別を守らない者に対する罰則(過料)制度について
尼崎市 「尼崎市廃棄物の処理及び清掃に関する条例」が改正されます(令和5年4月1日施行)
デジタル庁 e-Gov法令検索 廃棄物の処理及び清掃に関する法律,第四章雑則 (投棄禁止)第十六条
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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