70歳の叔父の医療費負担は3割だそうです。「現役並み所得者」だからだそうなのですが、いくら以上の所得の人が該当するのでしょうか?
配信日: 2024.12.19
本記事では、負担割合がどのように決まっているかを確認し、70歳の方の医療負担が増える「現役並み所得者」の定義について確認してみます。
執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)
ファイナンシャル・プランナー
中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。
負担割合はどのように決まるか
医療費を窓口で支払う際の自己負担割合は、図1のように決まっています。
すなわち、
1.6歳(義務教育就学前)未満は2割負担
2.6歳(義務教育就学後)から69歳までは3割負担
3.70歳から74歳までは原則2割負担ですが、現役並み所得者については3割負担
4. 75歳以上については、原則1割負担
となります。
ただし、図1のように令和4年10月1日から75歳以上であっても、現役並み所得者は3割、現役並み所得者以外の一定所得以上の者は2割負担となっています。
「現役並み所得者」とは?
では、本テーマである70歳の場合(70歳以上)の「現役並み所得者」とはどういう人をさすのかを解説してみます。
1. 国民健康保険加入者の場合
世帯内に課税所得の額が145万円以上の被保険者(70~74歳)がいる場合、また、その被保険者に加えて、被扶養者(70~75歳未満)がいる場合は、その被扶養者も「現役並み所得者」扱いとなります。
例えば、夫が「現役並み所得者」で、その扶養に入っている妻が70歳以上75歳未満であれば、「現役並み所得者」として扱われます。ただし、上記の場合でも以下に該当する場合には1割負担となります(以下は一例です)。
(1) 世帯の被保険者(70~74歳に限る)全員の収入の合計額が520万円未満
(2) 世帯の被保険者(70~74歳に限る)が1人の場合は、383万円未満
2.被用者保険(会社員などが加入する健康保険)
標準報酬月額すなわち、毎月得られる給与が28万円以上で70歳以上の被保険者が「現役並み所得者」に該当します。加えて、その方の70歳以上の扶養者も同様に「現役並み所得者」に該当します。
ただし、上記の場合でも以下に該当する場合には1割負担となります(以下は一例です)。
(1) 被保険者およびその被扶養者(70~74歳に限る)の収入の合計額が520万円未満
(2) 被扶養者(70~74歳に限る)がいない場合は、383万円未満である場合
まとめ
70歳であれば、医療負担は原則2割ですが、「現役並み所得者」に該当する場合には3割負担となります。「現役並み所得者」とは、現役世代の平均的な所得以上である場合に該当し、加入する保険によって基準が異なります。
また、例外規定もありますので、お住まいの市町村の担当窓口もしくは、お勤めの会社の担当窓口に相談するといいでしょう。
出典
政府広報オンライン 後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?
厚生労働省 医療費の一部負担(自己負担)割合について
厚生労働省 (参考)医療保険制度の「現役並み所得者」について
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー