「SNSでの誹謗中傷に対して訴訟を起こしても損しかない」という話を聞きました。なぜでしょうか?

配信日: 2024.12.20

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「SNSでの誹謗中傷に対して訴訟を起こしても損しかない」という話を聞きました。なぜでしょうか?
「SNSでの誹謗中傷に対して訴訟を起こしても損しかない」という声を、耳にしたことがある人もいるでしょう。実際、SNSやインターネット上での悪質な投稿に悩まされる被害者にとって、法的な対応には多額の費用がかかることが課題です。
 
本記事では、発信者情報開示請求にかかる費用の目安や、弁護士費用を抑えるためのポイントを紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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SNSでの誹謗中傷に対する訴訟で行われる発信者情報開示請求とは

SNSやインターネット上での誹謗中傷は匿名性が高いため、被害者が投稿者に対して法的措置を取るためには「発信者情報開示請求」を行う必要があります。プロバイダ責任制限法に基づく手続きで、プロバイダや通信事業者に対して、投稿者の名前や住所などの個人情報を開示するよう求めるものです。
 
名誉権やプライバシー、著作権などの権利侵害に該当する誹謗中傷を受けた場合には、損害賠償請求を行うことが可能です。しかし、匿名の投稿では発信者の特定ができないため、直接的な法的請求が難しくなります。そこで、SNSや電子掲示板の運営者、または通信事業者に対して情報開示を請求し、発信者の特定を目指すのが一般的な手順です。
 
発信者情報開示請求手続きには裁判所を通じた申立てが必要であり、弁護士費用や裁判費用などを含めると、数十万円以上の出費が必要となる場合があります。
 
さらに、開示された情報を基に発信者に損害賠償を請求しても、発信者が支払い能力を持たない場合には実質的な回収が困難なケースも少なくありません。そのため、「訴訟を起こしても損しかない」という意見が生じることがあります。
 

発信者情報開示請求にかかる費用の目安

SNSや掲示板で誹謗中傷を受けた場合、発信者情報の開示請求を行う際には一定の費用が発生します。開示請求にかかる金額は、一般的に10~30万円程度とされています。
 
開示請求を弁護士に依頼する場合は、その費用はさらに高額になる可能性があります。一般的な相場は、着手金や成功報酬を含めれば数十万円から100万円程度といわれています。ただし、弁護士費用は事案の複雑さや手続きの進行状況によって大きく異なります。
 
例えば、投稿者が特定されやすい場合や明らかな違法性が認められるケースでは費用が抑えられることもありますが、反対に特定が困難な場合には時間と費用がかさむ傾向があります。
 

弁護士費用を抑えるためのポイント

SNSでの誹謗中傷に対する訴訟は、精神的な救済や正義を求める一方で、発信者情報の開示請求や損害賠償請求に多額の費用がかかることが課題です。ここでは、弁護士費用を抑えるためのポイントを紹介します。
 

複数の弁護士に相談して見積もりをもらう

弁護士費用を抑えるための基本的な方法の一つは、複数の弁護士に相談し、それぞれの見積もりを比較することです。弁護士の着手金や報酬額は、法律事務所や個々の弁護士によって異なるため、予算内で依頼できる弁護士を選びましょう。
 

知り合いから弁護士を紹介してもらう

知り合いや親族、信頼できる人から弁護士を紹介してもらう方法もあります。紹介によって信頼性の高い弁護士に依頼できるだけでなく、費用面でも配慮してもらえる場合があるかもしれません。
 
紹介者がその弁護士の「お得意先」である場合、着手金や報酬額を抑えた見積もりを提示してくれることがあります。ただし、紹介を受けたからといって必ずしも費用が割引されるわけではないため、費用の条件については明確に確認しておくことが大切です。
 

弁護士保険に加入する

弁護士費用を抑えるための選択肢として、弁護士保険に加入する方法があります。法律トラブルが発生した際に、法律相談料や弁護士費用を一定額まで補償するもので、多くのケースで費用負担を大幅に軽減できます。
 
弁護士保険の補償内容として、法律相談料が最大10万円、弁護士費用は最大300万円まで補償される商品が一般的です。SNSでの誹謗中傷やトラブルは誰にでも起こり得るため、事前に弁護士保険に加入しておくことで、安心感を得られるでしょう。
 

回収額より訴訟にかかる費用が上回る可能性がある

SNSでの誹謗中傷に対して法的な措置を取る場合、発信者情報開示請求や弁護士にかかる費用は高額で、回収できる損害賠償額を大きく上回るケースも少なくありません。
 
そのため、弁護士保険を活用したり、知り合いから弁護士を紹介してもらったりするなど、経済的な負担を最小限にしつつ、適切な対応を目指すことが大切です。法的措置を検討する際には、状況を見極めながら、費用対効果を判断することが求められるでしょう。
 

出典

最高裁判所 発信者情報開示命令申立て
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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