ゴミ捨て場にあった「机」が使いやすそうでしたが、ゴミを持ち去るのは「違法」なのでスルーしました。ゴミ捨て場のゴミを持ち帰るのはなぜダメなのでしょうか?
配信日: 2025.01.15
掘り出し物に見えるかもしれませんが、「持ち帰る」という行為は、法的にも経済的にも大きなリスクを伴う可能性があります。
安易な行動が、後々大きな損失につながる恐れがあるのです。
この記事では、ゴミ捨場のものを持ち帰るリスクと、正しいリサイクル方法について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ゴミ捨場の宝? 誘惑とリスクのはざまで
引っ越しシーズンや年末の大掃除など、ゴミ捨場には思いがけないお宝が眠っていることがあります。まだ使える家具や家電、時にはブランド品や希少なおもちゃが捨てられていることもあるでしょう。お金を節約したい人にとっては、まさに夢のような光景です。
しかしその「宝物」を持ち帰る前に、法的リスクと経済的リスクについて考えてみる必要があります。
ゴミの所有権は? 捨てた後も権利は残る?
ゴミは捨てられた時点で所有権を放棄した、つまり誰のものでもない「無主物」だと思われがちです。しかし、ゴミは自治体の所有物となる場合が多く、無断で持ち去ると窃盗罪に問われる恐れがあるでしょう。
多くの自治体では、ゴミの収集・処理に関する条例を定めています。これらの条例では、ゴミ捨場に出されたゴミは自治体の所有物とみなされることが一般的です。「持ち去り禁止」を明確に示している自治体もあり、違反すると罰金が科される可能性があります。
また、ゴミの種類によっては、資源ゴミのように売却益を見込んでいるものもあり、持ち去ることは自治体の経済的損失につながります。例えば福岡市では、資源ゴミの売却益が年間1億5000万円〜3億円にも上るとされており、持ち去り行為が大きな問題となっているのです。
さらに、マンションなどの私有地にあるゴミ捨場でも、管理規約で「ゴミの所有権は管理組合に帰属する」と定められていることがあります。このような場合、ゴミを無断で持ち帰ると、管理組合から損害賠償請求を受けることも考えられます。
リサイクルや転売もNG!
ゴミ捨場で回収したものをリサイクルショップに売却したり、フリーマーケットで販売したりする人もいるかもしれません。
確かに数百円から数千円、場合によっては数万円の収入になる可能性もありますが、これは違法行為です。前述の通り、ゴミの所有権は自治体にあることが多く、無断で売却することは窃盗罪に該当する恐れがあるでしょう。
また、たとえ所有権が明確でなくても、持ち去り禁止の条例に違反すれば罰金の対象となります。
神奈川県横浜市では2012年5月に「条例に違反した不当なゴミの持ち去りは20万円以下の罰金」と改正されました。また兵庫県明石市でも、ゴミの持ち去りについて勧告や命令を受けたにもかかわらずその後も持ち去りを繰り返す場合は、条例に基づき「20万円以下の罰金」に処せられることがあります。
正しいリサイクル方法は?
ゴミ捨場のものを持ち帰る代わりに、自治体が提供するリサイクルサービスを利用しましょう。多くの自治体では、粗大ゴミの回収や資源ゴミの分別収集を行っています。
また、リサイクルショップやフリーマーケットなどを利用すれば、安く買い物ができる上に不用品を売ることも可能です。
フリマアプリでの家具取引金額の相場
●ソファ:3000円~数万円(ブランド・サイズ・材質による)
●ベッド:3000円~数万円(種類・サイズ・材質による)
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●タンス、チェスト:3000円~数万円(サイズ・材質による)
賢い選択でリスクを回避しましょう
一見魅力的に見えるゴミ捨場の不用品ですが、法的リスクや経済的リスクを考えると、持ち帰ることは賢い選択とはいえません。
正しいリサイクル方法を選択することで、これらのリスクを回避し、倫理的かつ経済的に行動できます。ゴミ問題の深刻化やリサイクルの重要性が高まっている現代において、一人ひとりが責任ある行動を心がけることが大切です。
出典
ごみの持ち去り禁止 明石市
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー