社会人3年目で大学受験を考えています。学生の頃に借りていた奨学金を払い終えてないのですが、また「貸与型奨学金」を借りることは可能でしょうか?
配信日: 2025.01.19
本記事では、再び奨学金を受けられるのか、また、奨学金の再貸与を受ける条件などを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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奨学金の返済があっても再び奨学金を借りることは可能?
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の貸与奨学金は、学び直しのために再度学校に入学する場合、条件を満たせば1回のみ奨学金を再貸与してもらえるようです。
奨学金には利子のつかない第一種奨学金と、利子がつく第二種奨学金があります。それぞれの奨学金の再貸与の条件は、表1の通りです。
表1
再貸与の要件 | |
---|---|
第一種奨学金 | 以前に「再貸与」を受けたことがないこと |
第二種奨学金 | 再貸与を希望している学校と同じ種類の学校で 以前に「再貸与」を受けたことがないこと |
出典:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金の貸与をもう一度受けたい:奨学金の「再貸与」制度 」を基に筆者作成
どちらも「過去の奨学金を完済していること」という条件がないことから、学生の頃に借りていた奨学金を払い終えていない場合でも利用が可能だと考えられます。
ただし、第一種奨学金の再貸与は、全ての種類の学校を通じて1回しかできません。一方で、第二種奨学金の再貸与は、「同じ種類の学校で」1回のみ受けられます。具体的には、表2のようになります。
表2
第一種奨学金 | 第二種奨学金 | |
---|---|---|
A大学 | 貸与を利用 | 貸与を利用 |
B大学 | 再貸与〇 | 再貸与〇 |
C大学 | 再貸与× | 再貸与× |
D専門学校 | 貸与を利用 | 貸与を利用 |
E専門学校 | 再貸与× | 再貸与〇 |
※独立行政法人日本学生支援機構「奨学金の貸与をもう一度受けたい:奨学金の「再貸与」制度 」を基に筆者作成
第一種奨学金は過去にA大学で貸与を受けた後、再入学したB大学で「再貸与」を希望することは可能ですが、その後さらにC大学に入学した場合の再貸与はできないようです。
また、異なる種類の学校(大学から専門学校)へ入学する場合は、D専門学校では再貸与などではなく、通常申込で貸与可能なようです。しかし、B大学で「再貸与」をしているため、再入学したE専門学校では再貸与は不可となります。
第二種奨学金は、過去にA大学で貸与を受けた後、再入学したB大学で「再貸与」を希望することは可能ですが、その後さらにC大学に入学した場合の再貸与は不可となります。
また、異なる種類の学校(大学から専門学校)へ入学する場合も、D専門学校では通常申込が可能です。さらに、再入学したE専門学校についても以前再貸与を行ったB大学とは種類が異なる学校であるため、「再貸与」は可能とされています。
第一種奨学金を再貸与できる対象者
第二種奨学金の再貸与に比べて、第一種奨学金の再貸与は条件が厳しくなります。独立行政法人日本学生支援機構「第一種奨学金の再貸与について」によると、第一種奨学金を再貸与するためには、再貸与を受けたことがないという条件のほかに、以下5つ全てに該当し、学校長の推薦を受けていなければならないようです。
(1)平成26(2014)年度以降に入学、転学部(科)、転学又は編入学する者
(2)過去において、現に在学する学校と同じ区分(高等専門学校・短期大学・大学(学部)・大学院修士課程・大学院博士課程・専修学校専門課程)に属する学校において第一種奨学金の貸与を受けた者
(3)現に在学する学校の修業年限の終期まで第一種奨学金の貸与を受けた場合の貸与期間と、前期(2)の貸与期間との通算が、現に在学する学校の修業年限を超過する者
(4)以前に貸与を受けた本機構の奨学金すべてについて、今回申込時の誓約日時点で以下の状態にない者
・延滞中
・返還誓約書未提出
(5)前期(1)から(4)に該当するものとして推薦・採用され、同一区分の学校における第一種奨学金の貸与期間の通算が在学する学校の修業年限を超えたことのない者
再貸与制度を利用する際の注意点
過去に借りた奨学金の返済が終わっていない状態で、奨学金の再貸与を受ける場合、奨学金返済の負担が増えることを理解しておきましょう。
例えば、過去に借りた奨学金の返済が月2万円の場合、新たに月3万円で再貸与を受けると仮定すると、毎月の負担は5万円になります。給料の手取りが変わらない状態で月3万円の負担が増えると、経済的に厳しくなるでしょう。再貸与を受ける場合は、収支のバランスを踏まえて具体的な返済計画を立てる必要があります。
社会人になってから大学受験する人はいるの?
文部科学省が公表している「大学等進学者数に関するデータ 関係」によると、大学に入学する社会人の割合は令和3年度で2.9%と過去最多となっています。
社会人になってから大学受験を目指す場合は、大学へ入学する目的を明確にするのはもちろん、経済面の把握や家族の協力を得ることも重要です。
条件を満たしていれば奨学金の再貸与は受けられる
過去に借りた奨学金の返済が完了していなくても、再度奨学金を借りることは可能です。しかし、再貸与を受けるためには条件を満たしている必要があります。
また、再び奨学金を受ける場合、過去に借りた奨学金の返済状況や、再貸与後の経済的な負担を考慮した計画を立てることが重要です。学び直しの一歩を踏み出す前に、再貸与制度の内容を正しく把握し、自分にとって最適な選択を検討しましょう。
出典
文部科学省 参考資料集 大学等進学者数に関するデータ 関係 社会人入学者の動向(10ページ)
独立行政法人日本学生支援機構
奨学金の貸与をもう一度受けたい:奨学金の「再貸与」制度
第一種奨学金の再貸与について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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