電車に乗るのが好きな友人。「お金かからない?」と聞いたところ「この前は4時間乗ったけど切符代は150円だったよ」との回答。どういうことでしょうか?
配信日: 2025.01.23
一般の方にはあまりなじみがないかもしれませんが、「大回り乗車」と呼ばれる電車の乗り方があることをご存じでしょうか。「大回り乗車」を活用することで、例えば「150円の切符代で4時間電車に乗り続ける」といったことも可能です。当記事では、山手線を含む「大都市近郊区間内」の運賃体系について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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山手線を含む「大都市近郊区間内」の運賃は「最も安い経路」で計算される
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)によると、山手線を含む「大都市近郊区間内のみを普通乗車券でご利用になる場合は、実際にご乗車になる経路にかかわらず、最も安くなる経路で計算した運賃で乗車する」ことが可能です。
西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は「『大都市近郊区間』とはどのようなものですか」との問いに対し、「大都市近郊区間は、東京・大阪・福岡などの都市圏に設定されています」と回答しています。例えば、大阪環状線は大都市近郊区間に含まれるため、山手線と同様に「最も安い経路」で計算した運賃で乗車することが可能です。
乗車経路は問わないためいわゆる「大回り乗車」も可能
大都市近郊区間内のみを普通乗車券で利用する場合、最も安い経路で計算した運賃で乗車できます。重複しない限り乗車する経路は問わないため、いわゆる「大回り乗車」と呼ばれる電車の乗り方も可能です。
「大回り乗車」は、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)や西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が推奨している経路ではありません。しかし、運賃計算の特例を利用し大回りのルートで鉄道の旅を楽しむ経路を鉄道愛好家の間では「大回り乗車」と呼んでいます。
例えば、品川から東京まで山手線で移動する場合、品川から内回りに乗って「高輪ゲートウェイ→田町→浜松町→新橋→有楽町」と乗車し、東京まで向かうルートが一般的かもしれません。しかし、大都市近郊区間にあたる山手線では、品川から外回りに乗って、大崎、渋谷、新宿、池袋、上野、秋葉原を経由し、東京まで向かうことも可能です。
どちらのルートで東京に向かっても最短経路で計算されるため、運賃は表1に従い「180円(IC運賃:178円)」となります。
表1
営業キロ | IC運賃 | きっぷの運賃 |
---|---|---|
1~3 | 146円 | 150円 |
4~6 | 167円 | 170円 |
7~10 | 178円 | 180円 |
11~15 | 208円 | 210円 |
16~20 | 274円 | 280円 |
出典:東日本旅客鉄道株式会社「山手線内の普通運賃表」を基に筆者作成
同じ駅・経路を2回通過するのは特例の対象外
運賃計算の特例が適用される「大都市近郊区間」ですが、「大回り乗車」にはいくつかのルールがあります。
・大都市近郊区間内でなければならない
・同じ駅・経路は2回通れない
・普通乗車券に限られる
・途中下車はできない
「大回り乗車」は、運賃計算の特例が適用される大都市近郊区間内でなければなりません。1駅でも超えると特例が適用されないため、営業キロによって計算される通常運賃が必要です。また、同じ駅や経路は重複して通れないため、例えば、山手線で同じ駅を2回通過して目的地に向かうような乗り方は認められていません。
さらに、「大回り乗車」は普通乗車券に限られます。定期券では「大回り乗車」ができないため気をつけましょう。
最後に、「大回り乗車」では途中下車も認められていません。途中下車をする場合は、実際に乗車した区間の運賃と比較し、不足している場合は差額を支払う必要があります。
まとめ
今回は、「大都市近郊区間内」の運賃体系について解説しました。山手線を含む「大都市近郊区間内」は運賃計算の特例が適用されるため、乗車経路にかかわらず最も安い経路で計算した運賃で乗車できます。そのため例えば今回の事例のように、「150円の切符代で4時間乗車する」といった「大回り乗車」も可能でしょう。
出典
東日本旅客鉄道株式会社
西日本旅客鉄道株式会社
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー