ひさびさに「コンビニ弁当」を買ったら、かなり量が減っていてビックリ! 容器が「上げ底」になってるみたいだけど、これってアリなの? 詐欺にはならない理由を解説
配信日: 2025.01.26
その中でも容量が減った要因として挙げられるのが、弁当箱の「上げ底」です。一見して全体の量が分かりにくくなる「上げ底」は、消費者に対する「詐欺」にはならないのでしょうか。
本記事では、コンビニ弁当の「上げ底」は法的にどう解釈されるのかについて考察していきます。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
目次
コンビニ弁当で増えている、容器の「上げ底」
コンビニ弁当の「上げ底」は、容器の底部分に施してある工夫で、容器の底が平らではなく、中央部分が盛り上がっている構造になっていたり、仕切り部分が大きくなっていたりします。この盛り上がった部分によって、弁当の見た目の大きさやボリューム感はそのままなのに、実際の量は少ないと感じられることもあります。
そのため消費者の視点からすると、この「上げ底」によって、見栄えを良くして、容量を減らすことで、コストを減らすことができる、いわゆる「ステルス値上げ」なのではないかと感じている人もいるのでしょう。
「上げ底」にするメリット
弁当箱の「上げ底」は消費者にとっては「悪」として捉えられがちですが、実はメリットもあります。ぎっちりとごはんやおかずが詰められた弁当の場合、電子レンジで加熱すると加熱ムラにより、「中央だけ冷たい」といったことが起きがちですが、底に工夫をすることで加熱ムラが少なくなるという側面があります。
また弁当をしっかりと仕切ることで、配達面や持ち帰りの際に弁当が傾いてしまっても、おかずがずれたり、味が混ざったりしにくいという利点もあるのです。
「だます目的」で販売をしたら詐欺になる
「上げ底」の弁当で、期待した量が入っていないと、消費者としては「だまされた」と感じることもあるでしょう。他者をだますという行為は、民法上「詐欺」にあたります。民法では「詐欺による意思表示は、取り消すことができる」とあるため、もし詐欺にあった場合は、その取引を取り消しできるのです。
例えば、「牛肉100パーセントのハンバーグ」という名前で販売しているのに、実際は豚肉を使ったハンバーグを提供していたという場合がこれに該当します。一般的に豚肉は牛肉よりも安価であることが多く、牛肉と偽って実際は豚肉を提供していたとなれば、「不当な価格のハンバーグ」となり、消費者に不利益が生じます。
このような場合、消費者は「豚肉のハンバーグ」と気づいた時点で返品したり、料金の支払いを拒否したりできるのです。
コンビニ弁当の上げ底が詐欺にならない理由
コンビニの「上げ底弁当」が詐欺に当たるかどうかは、コンビニ側に「消費者をだまそう」とする意思があったかどうかが争点となります。コンビニ弁当は、成分表示のラベルが貼られており、弁当に使用された材料や調味料のほかに、全体のグラム数が表示されています。
一見大盛りに見えるけれど、実は上げ底でごはんやおかずの量が少なかったというケースであっても、ラベルを見れば実際の量が分かるので、消費者側が確認できる状況にあります。そのため、コンビニ側が、弁当の詳細を明らかにしている以上、「詐欺」には該当しないと解釈することができるのです。
コンビニ弁当を買うときは、見た目だけでなくラベルもよく見て購入を
コンビニ弁当の「上げ底」に関して、消費者の視点からすると「量が少なくて期待外れ」「見た目にだまされた」とネガティブな感情になってしまうこともあるでしょう。しかし、上げ底は必ずしもデメリットだけでなく、運搬上の理由や加熱ムラを防ぐといった、企業の工夫という側面もあります。
コンビニ側が成分表のラベルで、弁当の中身や量を開示している以上、見た目よりも量が少ないからと言って「詐欺」とは言えません。今後特に「量」を重視してコンビニ弁当を購入する際は、見た目だけで判断するのではなく、ラベルもよく確認して、納得したうえで選択する必要があるでしょう。
出典
e-Gov法令検索 民法
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級